表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あおとみずいろと、あかいろと  作者: 蒼真まこ
あかの章~朱里

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/65

お弁当タイム

「で、昨日はどうだったわけ?」


 パンを齧りながら、海斗がさらりと聞いてくる。


「ダメだった。撃沈」

「撃沈って何したわけ?」

「『気持ち悪い』って言っちゃった。おじさんにも子供っぽいところ見せちゃったし」

「ありゃりゃ」

 

 翌日の昼休みも、海斗と一緒にお昼を食べることになった。目的は話を聞いてもらうためだけど、今日はあまり食欲がわかない。おじさんの特製お弁当を食べる気がしないなんて、私としては異常だ。


「でもさ、おじさんは嬉しかったんじゃない?」


 お弁当を抱えたまま肩を落とす私を気遣ってか、海斗が声をかける。


「なんでよ?」

「わかってないなぁ、朱里は。娘のように可愛がってた姪っ子の前に、実の父親が現れたんだぜ? 父親のところに行っちゃうかもしれないって不安になるだろ。ところが姪っ子は実の父より、おじさんに素直に甘えたんだ。嬉しくないわけないだろ」


 海斗の言う通り、おじさんはあの後も変わらず優しかった。ううん、いつも以上に優しかったぐらいだ。ということは、おじさんも不安だったのかもしれない。何年も会ってなかった弟が、突然現れたんだもの。


「海斗の言うことは正しいかもしれない」

「だろ? だったら弁当はちゃんと食べな。残して帰ったら、朱里の大好きなおじさんが心配するぞ」

「そっか。そうだね。うん、海斗の言うとおりだ」


 お弁当の蓋を開け、箸を持つと「いただきます」の声と共に食べ始める。


「良かったら海斗も食べる? おじさんのお弁当美味しいよ」


 話を聞いてくれたお礼におすそ分けしようと、海斗にお弁当を差し出した。ひょいと覗き込むと、卵焼きをひとつ取り出し、口に放り込んだ。


「あ、本当だ、美味いわ」

「でしょ? もっと食べていいよ」

「いや、もういい。あとは朱里が食べな。ちゃんと食べとかないと午後がもたないぞ」


 どことなく子ども扱いされてる気がするけど、これが彼なりの優しさなんだろう。


「朱里はおじさんに大事に育てられてきたみたいだな」


 残り一個になった卵焼きを大事に食べながら聞き返す。


「なんでわかるの?」

「わかるさ。おまえ、びっくりするぐらい素直だもん」

「なにそれ、バカにしてるの?」

「バカにしてるわけじゃないけどさ。なんかいいな、と思って」

「何がいいの?」

「だから、なんていうか。か、可愛いなって」

「やっぱ、バカにしてんじゃない」

「違うだろっ! あ~もう、本当におまえってガキだな! 少しは男の気持ちも理解しろよ」

「男って誰よ。おじさんのこと?」

「おまえの頭の中には、おじさんしかいないのかよ!?」

「そうよ、悪い?」

「うわ……開き直りやがった。こりゃ先が思いやられるな~」


 海斗は髪をくしゃくしゃとかき回しながら、ぼやくように呟いた。


「ま、いいさ。ゆっくりいけばいいんじゃないの? 朱里は朱里のペースでさ。実の父親といきなり和解できるわけないしな」

「うん、そうだね。話聞いてくれてありがとう。また明日も一緒にお弁当食べようね」


 話を聞いてもらった感謝の気持ちを伝えようと、私は精一杯の笑顔を浮かべて頭を下げた。顔を上げると、海斗の顔が赤くなっている。あれ、私何か失敗した?


「お、おぅ。また明日も話を聞いてやるよ」

「うん、ありがとう」

「じゃあ、オレ先に行くわ」


 海斗はそう言うと、ロボットみたいなぎくしゃくした動きで去って行った。変なヤツ。でも私の話を話を熱心に聞いてくれる。変なところはあるけど、いいヤツだ。話を聞いてくれるお礼に、今度何か奢ってあげようかな。

 何を奢ってあげるか、あれこれ楽しく思い浮かべながら教室に戻っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] おじさんとの関係も好きですが、海斗くんとの関係も良いですね〜(//∇//)これからの展開が楽しみ♪です。 朱里の周りの人たちがとても魅力的(o^^o)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ