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迷宮へ

訓練が始まってから三ヶ月が過ぎ、王様との謁見も無事に済ませた僕らは毎日訓練に励んでいる。ただこの前の謁見のために一日中作法訓練を強制的にやらされた疲れが抜けてない。

あのお経の授業なんとかして欲しいんだけど、偉い人らしくてどうにもなるそうにないんだよな。勇者なんだからもう少し優遇してくれたっていいだろ。

それに謁見って言っても喋ったのは会長で僕は跪いてただけなんだから。



それから全部で八十人以上いた生徒も今は六十にくらいに減っている。他の奴らは訓練に根を上げて待ちの方へ行ってしまったからだ。

人には向き不向きがあるからそういう選択も大切なんだろうな。スキルによってはどう頑張っても戦闘には介入できなさそうな人もいたし。それでも仲間が減っていくのは少し寂しい。

まあ外も外で一から生活していくのはなんだかんだで大変らしいからお互い帰れるようになるまで頑張ろう。


そう言えばコツコツと続けていた僕達の自主練は最近やっと成果を見せてきた。もともとステータスが強化されたいたのもあるけど訓練で上位の方に食い込めるようになってきた。

まあ、勇者組には勝てないんだけど。あいつらは元のステータスだけじゃなくて成長速度も強化されてるみたいでステータスの伸びが異常なんだ。ここも人それぞれだろうからこの速さでも十分だけど。



訓練の方にも変化がでてきた。

謁見用だった作法訓練は少なくなって代わりに実戦形式の授業が増えたのだ。

やっぱり実践は素晴らしいな、習ったことを使って何かできるってすっごく楽しい

さらに、昨日実地訓練が実践になり、迷宮用のパーティを決めておくように言われた。


迷宮探索は迷宮の性質や冒険者が慎重になるため一回一回にとっても時間がかかるらしい。だから、訓練では半日使って訓練をするらしい。

結構長いと思ったけど、実際に冒険者が探索に行く時よりは短いからましだな。それにこの前の訓練で一日中外生活させられたからな。他の科目の試験も含めてたらしいけどいきなりすぎだろ。

あの軍曹声だけじゃなくて考え方もおかしくなってる。


それは置いといて、問題はパーティの方だ。昨日の今日で迷宮に行く仲間なんて簡単に決められるはずないのにな。こういうのは信用が大切だと思う。

あと、単純にうるさい。


「ねえ、君僕達のとこ来ない?うちはあのテニス部のレギュラーがいるんだ」

「ふん、そんなもん関係あるか。うちには勇者に次いで四番目に剣術の成績がいい奴がいる」

「こっちには回復魔法の使い手がいるぞ」


さっきからひっきりなしに来る勧誘がうるさい。

こっちは食事中なんだよ、もう少し考えて話しかけてほしいんだけど。

まあ、僕なんかがそんなこと言ったらどういう目に遭うかは何となく想像がつくから言わないけど。


「僕は入るとこ決まってますから。すいません」

「あっそ。早く言えよ」

「別に君が欲しかったわけじゃないから」


だったら話しかけてくるなって言うんだ。最後の奴何も言わないでどっかに言ったし。

さっきも言ったのにこれじゃあきりがない、さっさとここを離れないといつまでも来そうだな。

少しお皿に残っていたスープを一気に飲み干し、そのまま急ぎ足で食堂を出た。

外から見ると食堂はいつも以上に混んでいて、あちこちで小さい喧嘩が怒っている。


他の人には悪いけど先にパーティ決めといてよかった。

あの中で決めても後で意見が合わなくなったりしそうだったから。


「雪人、あの時仲間に入れてくれてありがとう。あそこにいたかもと思うとかなり怖くなってきたよ」

「うん、僕も裁賀が入ってくれて助かった。一人欠けてたらパーティとして認められなかったからな」


そうそう、狭い迷宮の通路を移動することを考えて迷宮には十人前後で入るんだ。だけど、六人くらいだとうまく役割を分担できないから七人以上にしなきゃいけないんだとか。

裁賀のお陰でギリギリ七人だったんだ。あの時勇気をもって話しかけてくれた裁賀には感謝しないとな。


「パーティの登録は直斗がしてくれたんだっけ?」

「うん、今朝登録してるの見たよ」

「ならよかった、ってあの人だかりあいつらで会ってるかな」

「そうだね、涼火さんとか香代さんとか隆吾とかみんな人気だからね、しょうがないよ」


確かに、あいつらは人気だもんな。

涼火は誰にも優しい、香代は強い、隆吾も結構強いからな、一人でも仲間にできたら儲けものとか思ってんだろ。こういう時はもっとどん欲に言った方がいいんだったかな。

まあ、そんなことよりここをさっさと離れよう。せっかくだし早めに集合場所行っとくか。 


「じゃあ裁賀、先に集合場所行ってる」

「うん、僕もすぐ行くね」




部屋に戻って迷宮のための用意をする。ある程度のことは朝食前におわらせておいたからそんなに大変じゃない。槍と盾、それに防具をつけておしまいっと。

集合場所になっている玄関外にはもう二つパーティが来ていた。

一つ目は会長がリーダーの職業に勇者が付く通称勇者組、もう一つは光川君達のパーティだ。こっちは日本で仲が良かったもの同士で集まってるみたいだ。


しばらく待っていると隆吾達と、それからまた別のパーティが出てきた。

パーティのリーダーは山峰学(やまみね まなぶ)、A組の学級委員だったやつだ。クラスが違ったから詳しいことは知らないけど努力家で、責任感があるって聞いたことがある。

確かにメンバーもほとんどA組だったやつだし、信頼されてるんだな。


僕はみんなと合流して武器や防具、陣形の確認をしておいた。

いくら訓練といっても本当に死ぬ可能性があるから、少しでも準備は万全にしておかないと。


出発準備が整い、集合時間になってもそれ以上人が増えることはなかった。食堂の方からはまだいろんな声が聞こえてくる。

パーティ作りも大事だけど時間もちゃんと把握しないと。


「それでは迷宮へ向かい訓練を開始する。用意ができたら馬車に乗れ」


僕達は軍曹の合図で一斉に動き出した。







迷宮への入り口はいつも使う練習場のさらに北にある。ちなみに迷宮の横は冒険者組合で、万一魔物が迷宮から出てきたときに備えているらしい。

これは直斗が言ってたんだけど、組合と国は全く関係がない組織らしい。上下の関係がないってことだけど。だから王城から離れた場所に組合を置きたくて迷宮の管理を任せているのかもしないとか。

一応予想だけど。


入る前に軽くおさらいすると迷宮は太古に何かの力で作られて、様々な幻獣や神獣、魔獣が暮らしているそうだ。最奥のボスを倒すとその魔物も待っている莫大な財産が手に入るとか。他にも古代文明によって作られた施設の遺産って見方もあるとか。

でも、今回の目的はあくまで魔王退治であって迷宮踏破ではないのだからそんなこと気にしなくていいんだな。と言うかむしろ気にしないほうがいい。ここでは焦らずに習ったことの確認や連携攻撃の練習、レベル上げとかをしてくべきなんだ。


今日の授業は実地訓練なのでいつものように軍曹が担当だった。いつもの授業のやり方からも分かるように生徒達にあまり人気はない。一応すごい人ではあるらしいんだけど、日本人の僕達には軍曹の規律遵守の教え方は合わなかった。普通にうるさいって言うのが九割だったし。。

ただ言っていることに間違いはないので訓練はちゃんと聞かなきゃいけない。そうしないと本当に命の危険があるからだ。


そんなことを思っているとの軍曹が僕達の前に立って言った。


「今日はお前たちが迷宮の中でもうまくやっていけるかをテストする。パーティごとに入っていって五階にいる騎士団の副団長からこの石をもらってくるんだ。この石には特殊な仕掛けがしてあるからそこら辺の石を持ってきてもすぐ分かるぞ」


いやいや、テストっていきなりすぎじゃない。ここに来たのは単に訓練の一環でそんなに気を貼るようなものじゃないと思っていたのに。


遅くなったので連続投稿です。

明日も投稿予定なのでよろしくお願いします。

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