なんで自分の人生なのに思い通りにならないんだ
「ぼくは、とてもふつうなじんせいをあゆんでいきたいとおもいます。」
小学生のとき、クラスで発表した自分の目標がこれだ。クラスのみんなは、億万長者になるとか、有名人になるとか、小学生としてごく一般的いわゆる普通な目標だったと思う。
思えば、この時から僕は普通な人生の道から外れていたんだと思う。
〜10年後〜
「こんにちは〜、山下く〜ん。今日も一仕事お願いするわよ〜。」
妙に大胸筋が目立つ男がオネェ感を出して近寄ってきた。
「すみません、なんの話ですか?というかあなた誰ですか?」
とりあえずとぼけてみる。
が、問答無用とばこりに首根っこを掴まれてしまった。
「んふふ〜、分かってるくせに〜、ほら行くわよ〜」
やはり、というか当然、というか僕を連れて行くらしい。
いつもこのようなやりとりをしてから仕事に向かっているので、もう慣れてしまった。
だが慣れたからといって許せることではない。
「いい加減離してくれませんか⁉︎この格好めっちゃ恥ずかしいんですよ、井上さん!」
「あら、いつものことじゃな〜い。遠慮しなくていいのよ♪」
そう、いつものことなんだ。それはつまり、僕の日常だということだ。
この妖怪退治の仕事を含めてな。