第二十一話 鬼が出るか蛇が出るか
お待たせしました!
遅れて申し訳ありません!
女神さまとの修行から一ヶ月たった。
…………確かにミルティスさんは一ヶ月の修業をするって言ってたけどさ。
普通に考えて一ヶ月って神界での一ヶ月だと思うよね。
これがまさかの勘違いだったようで。
ミルティスさんの言う一ヶ月って、地上での一ヶ月だったんだよね。
ここでこの世界での暦や時間を説明していこう。
一年は336日
一年は12ヶ月
一ヶ月は28日
1日は24時間
1時間は60分
1分は60秒。
ここまでは、ほぼ地球と一緒である。
違う部分があるのは、月の読み方や、曜日の読み方である。
曜日はそれぞれ、
月曜日 = 漆の日
火曜日 = 紅の日
水曜日 = 蒼の日
木曜日 = 翠の日
金曜日 = 葵の日
土曜日 = 灰の日
日曜日 = 橙の日
月はそれぞれ
一月 =焔の月
二月 =冰の月
三月 =天の月
四月 =聖の月
五月 =霆の月
六月 =血の月
七月 =陽の月
八月 =陰の月
九月 =星の月
十月 =無の月
十一月 =霧の月
十二月 =狂の月
という風に、月や曜日は数字ではなく色や魔法の属性の頭文字がつけられている。
まあ、それはさておくとして。
思い出してほしいのだが、前にミルティスさんはこの神界は地上での一秒が一週間になっていると言っていた。
俺が確認していないのが悪いのだが、ミルティスさんは地上での一ヶ月間を想定して俺を鍛えてくれるという。
地上での一ヶ月を神界の時間間隔に変換すると、約五年と二か月になる。
神界では魂の成長のみで、肉体には一切の成長がみられない。
なので、太りもしなければ痩せもせず、身長は伸びもせず縮みもしない。
女性からすれば楽園なのだろうが、俺からすればただの地獄である。
なにせ、飯を食わされず、ただひたすらにしごかれ続けるのだ。
鍛錬の仕方はいたって単純。
ミルティスさんが生み出す化け物共を塵も残さず殺しつくすというものである。
俺の勝利条件は化け物を増殖し続けている装置さんを止めるというものだ。
しかし、この条件で修行してから約二年経っている。
二年だ。
二年間、いろいろな方法を試してきたが、そのどれもが失敗に終わった。
まさにクソゲーの鏡である。
ていうか本当にどうやって攻略すればいいんだよ。
時間が経つにつれて魔物のレベルが上がり、一体だけならなんとかなるものの、集団で来られると流石に相手にできない。
一応、奥の手は残している。
え? じゃあ奥の手を使えって?
いや、別に使ってもいいんだけどさ、どうなるかわからないんだよね。
なにせ俺も開発はしておいて使ったことが一切ないから、計算上での威力しかわかってないし、何が起こる変わらないんだよなぁ……。
だが、いい加減終わらせないと話が進まない。
…………………仕方ない、やるか。
「鬼が出るか蛇が出るか……」
一体どんな魔法なのか、一言で言い表すのであればただ単純に、強すぎる爆弾といったところだろうか。
いや、爆発なんて生易しいものじゃない。
国を消し飛ばすことのできる程の核爆弾と言ったところか。
……もうそれ核爆弾じゃなくね?
ま、まあそんなことは置いておいて、なぜ俺がこれを二年間一度も使わなかったのか。
単純な話、強力過ぎる分、消費する魔力量も尋常ではないのだ。
いくら魔力量が∞だといっても、いったん発動すればそれで終わりというような魔法ではなく、発動してから消滅するまで魔力を消費し続けるという厄介な代物なのである。
半分神であり、【MP回復上昇】のスキルがついているとはいえ、需要と供給のつり合いがなっていない。悪い意味で。
需要と供給が釣り合っていないということは、魔力を完全に使い切るということである。
そうなるとどうなるのかというと、ご察しの通り、俺は気絶する。
気絶すれば、周りにいる魔物たちに襲われてGAMEOVERである。
以上の理由から、使わなかったのである。
いや違うな。使わなかったのではなく、おいそれとは使えなかった、という方が正しいか。
ちなみにいうと、この魔法には無詠唱だとかなりの時間を使うので、詠唱を織り交ぜることによって発動時間の短縮を図っている。
…………正直な話、かなり恥ずかしいのだが、四の五の言っていられない。
『全ての終結 それは無。
すべての物が行きつく先は
無たる終焉
終わりの果てには何もない
……終焉』
そう唱え、前方の敵に向かって魔法を発射した。
次の瞬間―――――
―――――視界が白に染まった。
*
*
*
*
*
「!?」
突然感じた巨大な魔力に私は緩めていた気を一気に引き締めた。
この魔力は、晃さん?
でも、これほどの魔力を使うところなんて見たことがない。
まず、この魔力量はちょっと、本気でシャレにならないのではないかしら……?
そう思い、私は急いで晃さんを探す。
………………いた!
私はすぐさま止めようと、最も発動速度が速い魔法で、晃さんを攻撃しようとするが―――――
―――――視界が真っ白に染まった。
思うよりも先に体は勝手に動いた。
反射的に使用したのは、私たち神だけが使える防御壁。
それでも、彼が放った魔法(?)による衝撃は防ぐことができなかった。
いったいどんな魔法を使えばここまでの威力が放てるのだろうか。
しばらくしてやっと目が利いてきたので、私は周りを見渡す。
目の前に広がっていたのは、真っ白な空間の中に、場違いの、真っ黒な球が浮いていた。
……あれは一体……。
あれが何かを確認するために、私は晃さんを探す。
晃さんは先ほどの場所で気を失っているらしく、ピクリとも動かない。
あれほどの魔力を消費したのだから、当然と言えば当然だけれど…………。
「それにしても、本当に一瞬で消し飛びましたね」
私が作り出したモンスター達。
本来であれば、あそこまでの量を出現させるつもりはなかったのだが、晃さんがどんどん狩り尽していくのを見てつい調子に乗ってしまった。
反省はしているが後悔はしていない!
閑話休題。
晃さんが放ったあの魔法。
もしこれが件の魔法であるとするならば、彼は無意識の内に目覚めつつあるのかもしれない。
…………極神と並ぶ、いや、もしかすると極神を超える力を持った神、絶神王に…………。
明日からテストなので、テストが終わるまでは執筆いたしません。
テストが終わり次第バリバリ書き進めていきますので、どうか見捨てないでください(懇願)




