61話 自己嫌悪のその向こうへ
修行を自分から絶った二斗はこれからどうする。
一先ず死ななかった自分の生命力を褒める所といった感じか。それか、痛みを味わえなんていってたからわざと殺さずに生かしたのか。それは俺にもわからない。まぁ気分は最悪だ、吐きそうなくらい気持ち悪い。
なぜか、首吊り用のロープが張られている。それもかなり新しいピンと張られている。
「騎士として自分の手は汚したくないのだろう」
此れを使って自殺を図ればきっとユベルは罪に問われる事はないだろう。だが、それこそが俺の中では一番むかつくことであって、もう誰かの思い通りになるなんてうんざりなんだよ。俺が道を切り開く。木製のベッドから俺は起き上がる。
下にはスーツなんてものは敷いてなくて痛いの何の。
さぁここから脱出する算段を立てよう。
窓も鉄格子できておりとてもじゃないが開きそうにない。扉はというと
「開かないか……」
錠を外さなければ取れないようになっており厄介極まりない。そうこうしている内に誰かきたようだ。
「調子はどうだい」
声から姿は見えてなくても察する事ができる。痛む体を動かして鉄格子にもたれ込む様にして、
「こんな牢獄に閉じ込めておいてそんな態度を取るのか。体は痛いし本当に嫌になっちゃうよな」
上から柵越しから上から正に見下ろすようにして、ただ哀れむかのごとく見ている。
手を口に持っていきふむと一人で納得したかと思うと何かに指を指し始める。
「君にとっておきのプレゼントを用意したんだがどうやら使ってはないみたいだね。私はキグナス様の命令で修行を手伝ってあげる事にしたが、当の本人がこんなにも滑稽だとは思っていなかったよ」
やはり俺を殺そうとしていたんだな、芽生えてくるのは生きたいという意志だった。俺は力を振り絞り立ち上がる。
「痛みを此れかと思うほど俺は味わった。だから、お前を超えるために俺は修行をしたい。そしてセリナを必ず救ってみせる」
ユベルは何もいわず後ろを振り向くとそのまま歩き始める。こつこつと白いセイント軍の紋章が模られた靴で音を立てながら。
「おい、なんとかいったらどうなんだユベル!」
階段の手前で足を止めた。そして、
「私と君との関係は師弟関係だ。それなりに礼儀を払わなければ私は貴様に教える事など何もない。先ずはその言葉の使い方を直していけ。だがまぁ先ほどの君のまっすぐな瞳真に迫る表情。それに免じて今回だけは許してやる」
「教えてくれるという事でしょうか」
敬語を使うなんて嫌なんだが仕方ない此れも修行のうちだ。
「ああ、さっき鍵は外しておいた。ついてこい」




