27話 盗賊幼女⑤
「一時はどうなることかと思ったわ」
道が分からず小一時間街の中を彷徨っていた俺達は、ずぶ濡れになりながらもようやく《ホテル安宿》の看板が掲げられたお高い宿へと辿り着いた。先ほどまで滞在していたところだ。
セリナは安堵の表情を浮かべる。雨で濡れたローブは彼女の美しさをより際立
てていた。直視するのも憚れるくらいの綺麗さだった。
「それよりさ、濡れたままの格好だと風邪引いてしまう」
目線を逐一外しながら俺は呼びかける。
「私もベトベトで気持ち悪い」
リストの平坦な胸が雨に濡れて、より強調されている。こうして2人の胸を比較すると日を見るより明らかだ。胸の大きさはかなり重要となる。
「セリナとリストは先に風呂に入りなよ。俺は後からでいいからさ」
レディーファーストを心得ている俺は紳士だな。自分で気持ちの悪い優越感に浸り2人を誘導する。
「そう、助かるわ。二斗も風邪を引かれては困るから、早めにでることにするわ」
リストに手招きをして。
「リストちゃん。いきましょうか」
「うん!」
ーー
リストの笑顔をみれて、俺はホッと一安心する。しばらくして、先ほどの騒がしさはなくなり物静かな雰囲気に酔いしれていた。
俺は未だに異世界に来てやりたいことが見つかっていない。自力で生活できるくらいのお金を集めることは残念ながらできていなく、クエストを単発で行うにしても割に合わないものが数多く存在している。例えばモンスター討伐とか。死を覚悟して挑む割にはいまいちの報酬だったりする。異世界の現状を俺は知りたい少なくとも現世よりもそう思えるようにはなってきている。
「お待たせ二斗」
「にいやん入りなよ」
旅館の服を貸してもらったらしく、赤と青色入り混じったような浴衣を着ている。リストは随分図々しい物言いだな。
「そうするね」
俺は風呂へと足を運んだ。大きいベッドで3人で寝る事に......
--
次の日の朝を無事迎えられた俺たち。
あれ...体が動かない
手と足を絡められている。
「二斗......」
「にいやん.......」
揉めクチャになってしまっている。
これが両手に華というやつか。2人の甘い息が俺の耳元を通り抜ける。
「そろそろ起きてくれないか」
この状況はさすがにまずいだろう。早くしないと俺の理性がバーストしてしまう。
「ん」
「はふう」
やっと起きたか。これで俺も束縛から開放される。やったね。
「なんで私二斗に抱きついているの!?」
セリナは慌てて手と足を解く。その時に足蹴りが俺の顔に当たり痛い。
「ちょっとそんなに暴れないで、痛いって」
「にいやんは私の物」
リストは離さないどころか一層抱きを強くする。何をやっているんだか。
「二斗。リストから離れなさい!さもなくば!」
やばい平手打ちの構えをしてこちらを見ている。路地で出会っていて以来の強烈なビンタが来そうで。
「リスト離れろよ」
無理矢理引き剥がす事にした。リストはコロコロと転がっていきベットから退場していった。「はぁ~」と深い溜め息を吐き、朝から疲れがたまっていた。
「そういやリスト。クエスト受付ってどこにあるか知っているか?」
俺はリストがこの街に詳しいと見込んで話しかける。
「いあ、知らないよ」
ポカンとした表情を見るに、存在自体も知らないのだろう。
「じゃあ、今日はクエストを受けに行こう!」
俺は1人でテンションを上げることに。
「でも、私の場合街の人に見つかるとまずいんだよね」
下を向きながらたどたどしく答える。
そうか彼女は指名手配の身だから。こうなったら変装をさせよう。
「リストは外に出るなよ。俺とセリナで変装道具を買ってきてやる」
「ありがとうにいやん」
目をキラキラとさせこちらを見る。眩しい子供の無邪気な姿がこんなにも可愛いだなんて。
「任せておいてくれ」
「二斗いきましょうか」
俺たちは変装道具を買いに街へと出て行く。




