「おまじない」
授業の鐘がなった後、屋上から出て、教室へと向かった。
「ほんっと頭いいよな!王子!」
「いや、別にそんな・・・」
「そんなになんなくていいのに~」
クラスメイトの声が聞こえる。
どうやら、クラスの出し物が決まったらしい。
私には関係ないけど。
あくびをして教室のドアを開ける。
「あ、白鳥さん!
文化祭の出し物決まったよ!」
「そんなの、聞いてればわかる。」
笑顔で言ってくる王子に対して仏頂面で私は返す。
そりゃあ、クラスメイトからのブーイングはくるわけで。
「あれはないよな・・・」
「せっかく王子がいってくれたのに!」
分かってるよ、悪いって分かってる。
「私別に、教えてなんて頼んでないし。」
私には関係ない。
どうせまた、裏切る。
人は、人をしたに見ることでしか生きる価値が見出せない。
私は無言で、椅子を引いて座る。
そして、またヘッドホンを付ける。
「・・・・・・ね~。」
「・・・・・・・・・うん!」
クラスメイトの声が薄れる。
この方がやっぱりいい。
すると、前からまた笑顔で王子が現れた。
「次、体育だよ?
大丈夫なの?」
「・・・もう行くから。」
そういえば、忘れてた。
私はバッグから体操着を出して立つ。
「白鳥さんってなんで、笑わないの?
そういえば、笑った所見たことないな~?」
「じゃあ、なんで貴方はいつも笑ってるの?
全然楽しくないことでも笑ってる。」
すると、王子の顔が曇った。
なんかいけないこと言っちゃった?
「俺は、笑うのが好きだから笑ってるんだよ?
白鳥さんは好きじゃないの?」
その答えはyes。
私が笑った所で何も変わらない。
ただ、みんなが不気味がるだけでしょ?
「そっか・・・じゃあ、おまじない教えてあげよっか?
笑うのが楽しくなるはず!」
王子はそう言うと、自分の指を口の端っこに持っていて
ぐーっとのばす。
「ほらゃ、これえ、たのしくなるえひょ?」
「・・・ぷっ。」
王子って顔なのに、この顔はちょっと酷すぎて笑ってしまった。
「あ!笑った!」
また、そう言って王子スマイルする。
この人純粋なのかな。
「王子~行くぞー?」
王子の友達らしき人がこっちを向いて驚いていた。
誰だって驚くよね。
「今行くわ!
じゃあね、白鳥さん!」
王子は友達の所へ行くと、またニコッと笑っていた。
いいな、幸せそうで。
そんなこと思いながら、女子更衣室へ向かった。