「めんどくさい」
「めんどくさいなぁ・・・。」
誰にも聞こえないように、小さく呟いた。
来月、8月はもう文化祭なのだ。
文化祭の出し物を決めようという話らしい。
「しーらーとーりーさん!」
突然、肩をぽんっと叩かれて、びっくりしたと共に
私いじめられるの!?とかいう被害妄想をしてしまった。
後ろを向くと、王子スマイルのまさに ゛王子 ゛がいた。
確かにかっこいいが、そんなにかな。なんて思っちゃう。
「・・・なに?用があるんだったらはやく」
と言いかけたところで
「ゆっくり話したいんだけどいいかな?」
と反論された。
何この人、私の苦手のタイプだ。
周りの女子は白鳥さんに王子が話しかけてるよなんて、ひそひそ話してるし、できる限り近づかないで欲しいんだけど。
「えっとさ、白鳥さんは文化祭何がしたい?」
思わず、「は?」とか言いそうになった。
この半年なんにも話しかけてこなかった奴が何、いきなり。
怖いというより、気持ち悪かった。
「何でもいい、というか
話ってそれだけ?」
すると、王子はまたにっこり笑って
「うん、それだけ!
ごめんね、時間かかっちゃった。じゃあ!」
そう言って席に戻っていった。
___あの人は一体何者なのだろう。
少し気になった。怖いほど綺麗な真っ黒の目に吸い込まれそうになった。
気のせいかな、ただかっこいいだけなのかもしれない。
「ほんとに、あいつと喋ってきたのかよ!」
こっちまで聞こえてるわ。
私だって人間だし喋るわ。
「うーん、でもみんなの言う魔女って感じではなかったよ?
普通にいい子だったけど・・・」
え、何、魔女ってなんですか。
私の能力その反対だからね?
ツッコミどころいっぱいの会話だったが、めんどくさくなったので手を挙げて委員長に「保健室行ってきます」と言って
ヘッドホンと、スマホをもって教室を出た。
「めんどくさ。
屋上でも行こうかな。」
___もちろん、私だって話したいよ。
みんなで話したいって思うけど、怖い。
また、私が一人になるのが怖い。