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喫茶幻影館「コスプレ」

作者: 佐倉四季彩

僕の名前は和男、大学を卒業し大手銀行に就職して5年が経ちました。


同期達はみんな、どんどん偉くなっていくのに僕は、相変わらずそのまま。


今日も鬼のような支店長に怒鳴られてしまった。ふ


でも唯一僕に優しくしてくれる小百合さん、本当に優しい人なんだろう。


そして、あいつが同期の丸山、口が上手いのか要領がいいのか、今では課長になってしまった。


丸山がやって来た。

丸山「和男、また支店長に怒られたんだってな。」「何かやったのか?」「あっそうか、何もやらないから怒られたんじゃないのか。」

「和男、お前支店長に目をつけられてるからな、その内どっに飛ばされるぞ。」「気を付けろよ、じゃあがんばれよ。」「「本当同期とは思えないよ。」


仕事が終わり、和男が帰ろうとすると。


丸山「なぁ、今日合コンがあるんだけど付き合わないな。」


和男「いや、僕は。」「ちょっと忙しくて。」


丸山「お前が忙しい分けないだろうよ。」


和男「僕はいいよ。」


丸山「いいから行こうぜ、なぁ。」


そこに小百合さんが来て。


小百合「課長!和男さん、嫌がってるじゃないですか。」「課長だけで行けばいいじゃないですか。」


丸山「何だよ小百合、分かったよ。」


そして丸山は一人で合コンに行った。


丸山「ちぇ、あいつがいれば俺が目立つのによ。」「それにしても何だ小百合のやつ。」


和男と小百合は一緒に帰っていった。


小百合「和男さんって本当におとなしい人ですね。」


和男「はい。」


小百合「あんな課長にガーンと言ってやればいいのに。」


和男「でも僕は争い事が嫌い何です。」


小百合「ふーん、じゃあ、ここでさよならね。」


和男「はい、さよなら。」


和男「あぁ、小百合さんに嫌われちゃったかな。」


でも僕には大好きな趣味があるのです。

それは、勇者の格好をする、いわゆるコスプレです。

今流行っているゲーム、クリスタルソードの中に出てくる勇者グレンの格好をするのが好きなんです。


勇者の格好をしている時は何だか勇気が出て強くなった気がするんです。


あぁあ、今日も支店長に怒鳴られちゃったな。

色々な事を考えながら歩いていると。


和男「おや、あんなところに喫茶店何か有ったっけ。」「珈琲でも飲みたくなったな、ちょっと寄っていくかな。」


和男「喫茶幻影館、変わったなまえだな。」


和男は店のドアを開けた。


店の中には客は一人もいない、カウンターの奥にはマスターがコップを洗っていた。


マスター「いらっしゃい、どうぞお座りください。」


和男はカウンターの席に座った。


マスター「何か浮かない顔をしていますね。」


和男「やっぱり分かりますか。」「毎日毎日、支店長に怒られ同期にはばかにされ、ちょっと疲れちゃて。」


マスター「そうですか、大変なんですね。」


和男はため息ばかりついている。


マスター「あ客様、特別に美味しい珈琲を作って差し上げます。」


しばらくすると、和男の前に珈琲が出された。


マスター「さぁどうぞ、お飲みください。」


和男「ありがとう。」


そう言って和男はその珈琲を一口飲んでみた。


和男「美味しい!マスターこの珈琲すごく美味しいです。」


マスター「ありがとうございます、そう言って頂けると嬉しいです。」


和男「何だか元気が出てくる感じがします。」「そうだ明日コスプレのコンテストが有るんです、初めて出るんで緊張してるんです。」


そこから和男は大好きなコスプレの話を延々と聞かせていた。


和男「それでね。」


マスター「好きなんですね。」


和男「あっ!すみません、一人でずっと喋ってしまって。」


マスター「良いんですよ、私もお客さまの嬉しそうな顔を見るのが好きですから。」


和男「ありがとうございます。」「コスプレをしてる時は何でも出来そうな気がするんだけど。」


そう言って和男は、黙ってしまった。


和男「それじゃあ帰ります、いくらでしょうか。」


マスター「お金はいいです、お客様の楽しそうな顔を見れたので。」

「気をつけて帰って下さい。。」


和男「ありがとうございます。」


そう言って和男は帰っていった。


次の朝、和男が目を覚まし。


和男「ん~ん。」「さぁ今日は初めての、コスプレコンテストだ、緊張するなぁ。」

「勇者グレン、これで勝負だ。」


和男はコンテスト会場へと向かった。

会場に着くなり和男は。


和男「すごい、みんなすごい、やっぱりすごい、気合いがはいってる。」


「みなさん、それでは始めます。」「一番から三番のコスプレイヤー順番に並んで下さい。」


「第7回コスプレコンテストを始めます。」「誰が優勝するかを決めるのは会場のみなさんです。」


ナンバー一番、忍忍武勇伝のモズク姫!どうぞ!


和男「だんだん僕の順番が近づいてきた。」「もうだめだ、緊張し過ぎて爆発しそうだ。」


ナンバー五番、クリスタルソードの勇者グレンです、どうぞ!


和男「クリスタルソードは、人気のあるゲーム俺のコスプレを見て、みんなはどんな反応をするんだろう?」


さぁ、どうぞ!あれ?どうしました。


和男「帰りたい、やっぱり帰ろうかな。」


その時、帰ろうとした和男、床にあったコードが足に引っかかり倒れそうになりそのままステージに出てしまった。


勇者グレンが現れました。


和男「あ!あ!もうどおでも良いや。」


たぁ!どぉりゃ!

和男は、目をつむり剣を振り回した。


会場はビックリしたように静かになった。


しばらくすると。


わぁ、すごい。


観客席から声が上がった。


そして、拍手と歓声がなりやまなかった。


コンテストが終わり、いよいよ順位の発表です。


それでは発表です、第7回コスプレコンテストの優勝者は。


クリスタルソード勇者グレンの和男くんです。


会場から大きな拍手があがった。


和男「え、嘘?俺?」


さぁ、前にどうぞ。おめでとうございます。

和男くん、優勝ですよ一言どうぞ。


和男「はい!うれしいです。」


コンテストが終わり、和男はまだ優勝したのが信じられなかった。


帰り道、和男はだんだん現実に帰っていった。


和男「あぁ~あ、また明日仕事か。」「支店長の怖い顔が浮かんでくる。」「やだなぁ。」


和男がうつ向いて歩いていると。


足が引っ張られるような気がして和男は足元を見ると。


和男はビックリした。


和男「わぁ、何だ!」


足元に小さなピンクのドラゴンが足を引っ張っていた。

和男がドラゴンをよく見ると。


和男「お前は、クリスタルソードの中に出てくるピンクドラゴンのルーじゃないか。」


ルー「勇者様。」


和男「勇者?僕が勇者?」


ルー「先ほどから勇者様を見ていました。」


和男「え!あれは、コスプレのコンテストで、」


ルー「勇者様、助けて下さい。」「勇者様の力が必要なのです。」


和男「僕は勇者じゃないって、あれはコスプレと言って。」


ルー「それじゃ行きますよ。」


和男「行くってどこに?」


ルーは和男の足をつかんだ瞬間、和男とルーの姿が消えてしまった。


和男が姿を現した場所は、クリスタルソードの最後の戦いの場面、魔王の城。


和男「嘘?ここは、まさか。」


ルー「助けて下さい。」「お姫様がサファイア姫が魔王に連れ去られてしまっのです。」


和男「無理、無理、絶対に無理。」


ルー「大丈夫です、あなたは勇者ですあなたならできます必ず。」


そう言ってルーが呪文を唱えると和男とルーは一瞬にして魔王のいる城の前に移動した。


ルー「勇者さま着きました、あの城に魔王がいます。」「魔王を倒してサファイア姫を助けて下さい、お願いします。」


和男「魔王を倒すなんて絶対に無理。」


ルー「あなたは、勇者です。」「勇気を出して下さい。」「さあ、行きましょう。」


和男は震えながら城の中に入って行った。


ルー「魔王!勇者様がお姫様を助けに来たぞ。」「出てこい。」


姫「助けて!」


魔王「姫を助けるだと。」


奥の方から魔王の声がした。


魔王と姫が現れた。


ルー「勇者様魔王が出てきましたよ。」


和男は魔王を見た。


和男「無理、絶対に無理。」


サファイア姫「勇者様助けて!」


和男は思わずサファイア姫の顔を見て驚いた!


和男「あ、小百合さん?サファイア姫は小百合さん?」


サファイア姫「勇者様助けて下さい。」


そこに魔王の手下が表れた。


手下「魔王様、私がアイツを倒して見せますよ。」


魔王「やれ。」


手下「お前など魔王様の手をわずらわせるほどでもないわ、この私で十分だ。」


そお言って手下は襲いかかってきた。


ルー「勇者様この剣を使って下さい。」


和男は剣を手に取った。


和男は襲って来た手下に剣を振り回した。


和男「うわぁ!」


手下「お前は俺様が倒してやる。」


和男が顔を上げ手下の顔を見る。


和男「あ!丸山、丸山じゃないか!」


手下「何を言っている。」


和男は日頃の丸山の態度、うっぷんが。

そして、剣を手下に振りかざした。


和男「うわぁ!」


和男の剣が手下にあたった。


手下「痛い、何する!死んだらどうするんだ」「あ!血が出た!」「うわぁ!」


そう言いながら手下は逃げてしまった。


和男「何なんだアイツは?」「丸山そっくりだ。」


ルー「勇者様早く、お姫様を助けて下さい。」


和男「でもやっぱり無理。」


ルー「大丈夫ですあなたなら、出来ます。」「さぁ早く。」


和男は魔王に向かって行った、そして、魔王に剣を振りかざした。


魔王「そんな力では、私を倒すことなど出来ないぞ。」


ルー「勇者様、あなたの秘めた力をこの剣に込めて下さい。」


和男はお姫様を助けるために力を剣に込めた。

そして、剣を魔王に振りかざし、剣が魔王にあたった。


魔王「ギャー!」


魔王は和男の一撃に倒れた。


和男「俺が魔王を倒した?俺が。」


サファイア姫「勇者様、ありがとうございます。」「あなたなら、出来ると思いました。」「本当にありがとうございました。」「ありがとうございました。」


マスター「お客さん、起きてぐださい。」「お客さん。」


和男「うーん。」「え!あれは、夢!夢だったのか。」


和男はまだあの魔王との戦いに興奮していた。


和男「でも、あの夢ずいぶんリアルだったなぁ。」「あ!いけねぇ、もぉこんな時間だ、明日もまた支店長に怒られるのかなぁ。」

「マスターご馳走さま、珈琲美味しかったです。」「さようなら。」


和男は店を出て急いで家に帰った。


和男「何だか、すごく気分がいいな。」「まあいいや早く寝よ。」


次の日銀行にて。


支店長「和男どうした、何かいつもと違うな。」「悪いが今日は入口の前でお客さんの相手をしてくれ。」


和男「はい。」


和男は入口に立ってお客様に挨拶をしていた。


和男「お早うございます、お早うございます。」


その時店内が騒がしくなった。


きゃー!


強盗「おまえら、静かにしろ!」


強盗はカウンターの女性に拳銃を向けた。


強盗「早く金を詰めろ。」


和男は怖くなって体が動かなくなってしまった。

お客様もみんな座り込んでしまった。


その時何か声が聞こえた。


ルー「勇者様、あなたならできます。」「さぁ、勇気を出して。」


和男「ルー、あれは夢じゃ、なかったのか。」


和男は魔王を倒した事を思い出し。そして、強盗に飛びかかった。

強盗の拳銃を奪い強盗の顔に一発。

強盗が倒れその上に和男がのしかかった。


和男が同僚の丸山に叫んだ。


和男「丸山!早くお客様を誘導して避難させるんだ。」


丸山は怖くて一人で逃げてしまった。


和男「丸山!なにやってんだ!」


それを見ていた小百合が。


小百合「和男さん私に任せて。」「お客様、早くこちらから逃げてください。」


お客が小百合の誘導で逃げていたその時、店内に警察官が突入してきた。

そして、強盗は捕まった。


支店長が和男に近づいてきた。

支店長「よくやったな、見直したよ。」「今まで悪かったな。」


和男「いいえ、これもみんな魔王、いや支店長のおかげです。」


支店長「魔王?」


この銀行内の出来事を携帯で録画していた人がこの動画をテレビ局へ投稿した。

早速この動画が全国に流れた。


それを見ていた銀行本店の社長が直々に和男のいる支店へ向かった。


社長「支店長、テレビを見たがあの社員の事なんだか。」


次の日

和男は支店長に呼ばれた。


支店長「実は昨日社長がいらっしゃてな、お前を本店に来てくれと言われたんだが。」


和男「    」


和男が会議室から出てきた。

和男の目の前に小百合が立っていた。


小百合「社長さんから本店に来てくれって言われたんだって。」「おめでとう。」


和男「俺は本店には行かないよ。」


小百合「何で?」


和男「俺はお客様の顔を見ながら仕事がしたいんだ、本店に行ったら会社の偉い人ばかり見ながら仕事をしなくちゃならないし。」


和男「それに。」


小百合「それに、なんなの?」


和男「いや、何でもないよ。」


和男は、心の中で。


「ルー、ありがとう、僕は変わる事が出来たよ。」


マスター「良かったですね。」「いつでも来てください、その時はまた美味しい珈琲を作って差し上げますよ。」






























































































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