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5-8

「はい。あなたは?」

 慣れない敬語でしどろもどろなさまがおかしかったのだろう。青年は自分の金髪をくしゃくしゃとかきながら、朗らかに笑む。

「いいよ別に。僕だってまだ二十歳なんだし、お互いそういうのはナシで話そうよ」

 友好的に話す青年とは対照的に、幸太郎の対応はぎこちない。人と話すことは得意でもなければ苦手でもないが、さすがにいきなり話しかけられるとは思ってもみなかった。

 しかしそのぎこちなさも、数分話してくるうちに緩和された。幸太郎の適応力が格別に高いわけではない。金髪の青年と話せば、言葉が勝手に滑り出てくるような感覚で話が進む。鳩尾あたりでわだかまる言葉を、不可視の糸で青年が釣り上げているかのような巧みさだ。未だに他人さは消えないものの、幸太郎の順番が回ってくるころには、少しくらい話せているようにはなっていた。

「面白い話をありがとうね。おかげで列も苦じゃなかったよ」

 去り際に、もう一度青年から声をかけられる。幸太郎も、一応礼を述べておいた。「こっちこそ、ありがとう」

 にこにことした顔を崩さない青年が黒い瞳を細め、おどけてみせる。「両手に花って、君は罪な男だね」

「まあ、あれはなんというか、僕もうまく説明できないんだけどね」

 曖昧な笑みを浮かべる。こればかりは、一般人に対してどう説明していいのかが皆目見当がつかない。

 最後に適当な挨拶を交わし、幸太郎は青年と別れる。

 そこで、ふと引っかかった。

 ――あの人に、今日女の子ふたり連れてきてるなんて言ったかな?

 たしか言っていないはずである。そこまで込み入った話をした記憶はない。精々当たり障りのない世間話で、その証拠に幸太郎はあの青年が誰と来ているのかを知らない。しかし、と幸太郎は考える。スピカのルックスは幸太郎の意思に関係なく人の目を集める。きっと先の青年もスピカを見て、その際に幸太郎がオマケとして目に映ったのだろう。そう考えると、何一つ矛盾がなく収まった。

 奈々子の待つ席に戻り、幸太郎は顔をしかめる。テーブル席に、スピカがいなかった。

「スピカは?」

「ちょっといろんなモノ見てくるって」

 奈々子の言伝に、幸太郎の頬が痙攣する。「本当にフリーダムで欲求に忠実だな」

 炭酸飲料を喉に通して程ないタイミングで、スピカが帰ってきた。ナンパ等は軽やかにかわしてきたのだろうか。それとも撃退してきたのだろうか。怖くて訊けるはずもないが、一瞬だけ考えが幸太郎の頭をよぎる。


またしても昨夜、更新ができませんでした。何か最近忘れっぽくて困ります。

さておき、アクセス3000越えました。わーい! 本当に感謝です!

それはそれとして、現在新人賞用の作品も考えてますので、もしかするとフェリキタスの更新が停滞する恐れが浮上しております。その際はまたご連絡しますが、どうかその可能性もあるんじゃないかな程度にお考え下さい

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