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2-9

「頭が痛い。粉砕しそうだ」

「つまり、それってどういうこと?」

 幸太郎の疑問に、俊和ではなくスピカが答えた。

「厳密な部分は省くが、お前が中華料理店の店主としよう。もちろん店内のメニュー表には中華料理しか書かれていない。しかし何かしらのミスでメニューにグラタンが記載されていたとする。客がそれを注文してきて、在庫を確認してみたらなんとグラタンを作るのに必要なメニューと、ご丁寧にレシピまであった。敢えて強引でもいいから喩えると、こういうことだろうな」

「なんかわかるような、わからないような」

 幸太郎も俊和と同じく唸り始めた。スピカの言わんとしていることは、わからないではないような気がしていた。しかしちゃんと意味が飲み込めているかと考えると、それはそれで別の問題である。

「流れに沿ってない質問だけど、つまりここに居る奈々子は本物ってことでいいの?」

 幸太郎にとってはいかなる手段で奈々子が再現されたといった部分は瑣末な出来事に過ぎない。結局の所、奈々子が幸太郎の知る彼女であるか、そこ以外大した興味はなかった。

「なんならDNA鑑定にでも出してみたらどうだ? ただ、一度死んだはずの人間が何くわぬ顔で堂々と存在していることを世間が許すかは別の話だがな」

 その答えが聞けただけで、幸太郎は以降の話は正直どうでもいいような気さえしてきた。カレーパンを完食して目を細めている少女がそのままの奈々子であれば、他に何も求めるつもりになれない。

「じゃあいいや」

「お前なあ……」

 幸太郎の暢気な安堵に俊和が食ってかかる。「まずは現状を疑えよ。こんなの、それっぽく理屈はついてるが漫画やアニメの世界だぞ」

「お前はまだ疑っているのか」

 そろそろ面倒くさくなってきた。そんな雰囲気すら滲ませるスピカの声色に、俊和は正面から反駁する。

「当たり前だろ。逆にこの有様を受け入れろってお前が言うんだったら、その戦争って部分も含めて何か納得できるモノを見せてみろよ」

「よし、見せればいいのか」

 スピカの語調に、幸太郎は嫌な予感を嗅ぎ取った。言葉の中に混ざったニュアンスが、昨日幸太郎が撃退用にと持ちかけた脱衣命令直後の「よし、脱げばいいんだな」と酷く似ている。今度は何が起きるんだとひやひやしながら、幸太郎は顛末を見守る。

「じゃあ幸太郎、両手を差し出せ」

「切断してくっつけました。みたいな手品だけはお願いだからやめてくれよ」

「それで佐合俊和が納得できるのなら、やってやってもいいが」

 絶対やめろと念を押して幸太郎は両手を見せる。手のひらを天井に向かい合わせるような形で、スピカの前に突き出した。まさか本当に切断するんじゃないだろうなと脂汗を浮かべながら、スピカの様子を見守る。もし刃物の類を出しやがったら速攻で手を引っ込めてやる。幸太郎は固く誓った。


書きたいなーって作品がポンポン浮かんでしまって困っております。ファンタジーなんですが、好き勝手書きたい反面なんとか収集つけなきゃって気分です

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