sign 8 (side 周一)
すみません、更新がだいぶ遅くなりました。
なんとか3月中には完成させないと…と思っています。
定時を少し過ぎた頃、俺は仕事を切り上げて会社を出た。
柴原からの連絡の後、俺は目の回る勢いで仕事を片付けた。
昨日とは打って変わったその姿に、誰もが目を見張っていた。
同僚や上司からはその変化に、「何かあったのか?」と本気で心配されたが答える時間も惜しいくらいだった。
昨日はほとんど仕事を進められなかったため、最善を尽くしたものの、全て終わらせることはできなかった。
残った仕事は持ち帰って家ですることにし、俺は急いで帰り支度を始めた。
俺の午後の働きぶりを見た周りの人間は、定時であがることに何も文句を言わなかった。
それほどまでに切羽詰まって仕事をしていたようだ。
会社を出たのは定時を15分過ぎた頃だった。
俺は急いで柴原との待ち合わせの場所に向かった。
待ち合わせのカフェに着くと、2人掛けのテーブル席に柴原の姿があった。
柴原は神妙な顔で窓の外を見つめており、俺には気づいていない。
「柴原ごめん、遅くなった。」
声を掛けるとハッとして柴原はこちらを見た。
「高崎!…遅かったわね。」
ムッとした怒りの表情を浮かべたが、すぐに表情が緩んだ。
遅れてきた俺に文句の1つも言いたかったのかもしれないが、息を切らせて登場した俺を見て許してくれたのかもしれない。
「それで、裕美に何かあったのか!?」
柴原の向かいに腰かけ、水を持ってきた店員にコーヒーを頼むとすぐに俺は本題に入った。
昼休みの柴原とのやり取り以降、何度この言葉を心の中で唱え続けただろう。
昼の会話で、裕美に何かあったことは間違いないと感じていた。
俺に何も言わずに部屋を出て行った理由もきっとそれなんだろう。
柴原が知っている、裕美が俺には言えなかったこと…
何なのだろう。
知りたいけど、知るのが怖い。いや、俺はちゃんと知らなくちゃいけない。
裕美のためにも、俺自身のためにも。
柴原はくるくると周囲を確認した。
周りに人がいないことを確かめると、ゆっくりと小声で話し始めた。
「きっとあんたは何も知らないだろうから、始めから全部話すわね。ホントはこんな所で話すべき内容じゃないと思うんだけど…。」
そして俺はグッと身構えながら、次の言葉を発しようとする柴原を見つめた。
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