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sign  作者: 雪菜
4/14

sign 4 (side 周一)

今までどんなに俺の帰りが遅くなっても、裕美は寝ずに俺の帰りを待っていてくれた。


だけど最近、先に寝てしまっていることが多くなった。それに朝も早くに出勤している。


仕事が忙しいのだろうか?


最初はそう思っていた。

俺も俺でかなり大きな仕事をまかせてもらえるようになってきて、帰りが遅くなったり、休日出勤をしたりする日々が続いていた。



以前から『俺の帰りが遅い時は、先に寝てていいから』とは言い続けてきた。


裕美だって働いているのに、必ず晩ご飯と朝ご飯を用意してくれる。

しかも朝は必ず俺よりも早く起きているんだ。

俺のために無理はしてほしくないとはずっと思っていたし、俺のせいで裕美が体を壊すようなことになってほしくなかった。



でも裕美は「こうやって周ちゃんと話せる時間が、私の元気の源なんだよ。だから全然無理なんかしてない。」と言って、日付が変わる頃に帰ってきた俺を優しく迎えてくれていた。



しかし最近は『お仕事お疲れ様。ちょっと疲れてるから先に寝るね。』というメモが、ラップをかけた夕飯の隣に置かれているだけ。


夕飯を食べ終わってそっとセミダブルのベッドに潜り込むと、裕美は俺に背中を向けるようにして寝ている。



朝も俺が起きると、もう支度を終えた裕美がいて、

「周ちゃんごめん、今仕事が忙しいんだ。先に出るね。ご飯は用意してあるから食べて。」

と告げてすぐに出勤してしまう。


メールを入れても、電話を掛けても、なんとなく彼女の返信や返事に元気がない。


そんな生活が1週間近く続いた。




さすがに、仕事が忙しいだけにしてはちょっとおかしい…と思い始めた。



俺の仕事が忙しくて、拗ねているんだろうか?

一緒にいたくないと思ってる?

俺のことが好きじゃなくなった?



考えれば考えるほど、思考はマイナスな方向に行く。

彼女が俺に愛想を尽かした、なんてことを考えたくもなかった。


彼女が何と言おうと、俺は彼女と別れる気なんてないんだ。

彼女と結婚するために、今仕事を頑張っているんだから。



彼女が何を思っているのか分からない。

そのためにも時間を見つけて彼女と話をしなきゃならない。

でも彼女の本当の気持ちを聞いて、別れたいと思っていることがわかったら…怖い。



ウジウジと考え、結局彼女と話をするきっかけも作れないまま3日が過ぎた。




すぐに彼女と話し合っていれば…と後悔するのは間もなくのことだった。

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