sign 1 (side 周一)
初めて小説を書きました。
非常に拙いとは思いますが、完結できるようにがんばります!
――――彼女の様子がおかしい。
そう感じ始めたのは、いつ頃からだっただろう。
共通の知人を通じて、付き合い始めて1年半。
お互い部屋は借りてあるのだが、俺の部屋で同棲みたいな状態になって早5ヶ月。
俺は時々仕事が忙しくなって、帰宅は日付が変わる頃…なんてこともある。
しかし彼女―――裕美は必ず手料理を用意して俺の帰宅を待っていてくれる。
裕美もOLとして働いているのに。
「おかえりなさい。今ご飯温めるね。お風呂入ってきて。」
裕美の優しい笑顔と声に、疲れなんか一気に吹っ飛ぶ。
俺の帰りが遅い時は、裕美は先に夕食を済ませている。
温かい手料理をがっつく俺の横で、お茶を飲みながら楽しそうに今日一日のことを話すのだ。
寝るときはいつも一緒にベッドに入るのだが、どんなに寝る時間が遅くても裕美は早起きして、必ず朝ごはんを準備してくれる。
「おはよう。髪はねてるよー。鏡見ておいで。」
クスクスと笑う裕美の笑顔一つで、俺はこの上なく幸せになれる。
こんな素晴らしい彼女を持てて、本当に俺は世界一の幸せ者なんじゃないかって思うのだ。
できれば同棲みたいな状態じゃなく、すぐにでも結婚したい。
でも結婚するからには、絶対に裕美を幸せにしたい。
世の中金がすべてじゃないけど、結婚するからにはそれなりに貯蓄が必要だ。
大卒で今の会社に入社してもうすぐ3年の俺は、やっと大きな仕事を任せてもらえるようになったレベルで、裕美を幸せにできるほどの余裕も貯蓄もまだ足りないと感じている。
だからもう少しだけ。
もう少しだけ、結婚は待ってほしいと裕美にお願いしてある。
裕美もそれに同意してくれていて、『周ちゃんがいいと思えるまで私は待ってるから。だから今は仕事に専念して。』とこれまた優しい笑顔で言うのだ。
あぁ、やっぱり俺は幸せ者だ。
裕美との幸せな結婚生活を頭に描いて、今日も仕事に向かう。
―――裕美との同棲はうまくいっていると思っていた。




