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4 糖度7 (とても甘いです)

 きちんと踊れるかどうか心配していたダンスだったが、王妃教育を子供の頃からみっちりと受けていた私はしっかりと身体にしみついていた。


(さすがライバル令嬢!! 凄いわ!!)


 しかもディラン様との息もピッタリで、みんなの前で模範としてもダンスを披露した。この分ならきっと主人公とのダンスバトルでも、いい勝負になりそうだ。


(よかったわ~~これなら、いい勝負になるんじゃないかしら……)


 私が少しだけ安心して、みんなでワルツを踊っているとディラン様に身体を引き寄せられた。


「私と踊っているのに考え事かな? 酷いな」


(顔が、身体が近い~~~!! 

 ディラン様の身体、鍛えられてるのからか、男性って感じで……たくましくて。

 ちょっと!! 私、何考えてるの?! 

 これってセクハラ思考じゃない?! 

 ダメよ。ダメ、ダメ。セクハラ思考はダメよ!!

 雑念よ~去って!!)


私は小さく息を吐いて呼吸を整えながらセクハラ思考を頭の中から追い出して答えた。


「まだまだ未熟ではありますが、この分なら人前でダンスを披露しても問題ないかと、ほっとしておりました」


するとディラン様がさらに身体を寄せるような動きになった。


(ひぇ~~~近い~~近い~~~)


 私が動揺していると、ディラン様の声が耳元で聞こえた。


「ふふふ。そんな可愛いこと言って。

 これ以上、僕を煽るのはやめてくれないかな? 

 結構ギリギリなんだよ?」


 ディラン様のセクシーエロヴォイスでそんなことを囁かれる私の身にもなってほしい。腰が砕けそうになりながらも懸命に耐え、今こうして立ってきることが奇跡だ。


「私もです……よ?」


すると一瞬ディラン様に抱きしめられた気がした。


(こんな振付けあったかしら?)


 「(も~~可愛すぎる!! 可愛くなったキャメロンに虫がつかないように、みんなの前で見せつける必要がありそうだな)」


 私が不思議に思ってディラン様を見つめると、ディラン様は何かを考えた後、私を見てにっこりと笑った。


「ダンスパーティーがとっても楽しみだね、学院の全ての人の前でこんな風に君と(の仲を見せつけながら)踊りたいな。

 夜会とは違って、他の令嬢と踊らなくていいところが最高だよね」


「え、ええ。そうですね」


 その言葉を聞いて私の胸にトゲが刺さったような痛みを感じた。

 そうなのだ。


 夜会ではディラン様は社交のために多くの令嬢と踊られる。でも学院主催のダンスパーティーは基本的にパートナーと踊ればいいのだ。

 中には夜会のように多くの方と踊る人もいるが、踊らなくても全く問題ない。

 ゲームの中では、ディラン様は主人公とだけしか踊らなかったはずだ。


(ダンスパーティーは、ディラン様は私ではなく、主人公とご出席されますわ……)


 つまり、ディラン様と踊れるのはもう、今日と後はダンスバトルの日が最後なのだ。

 その後は、主人公と恋に落ちるのでディラン様はパーティーでは主人公をエスコートする。だから、きっと夜会で会った時に義理で踊ってもらえない限り、踊ることはできないが、元婚約者だった私と踊るのは外聞が悪いので、もう2度とディラン様と踊ることもないのだろう。


(ディラン様の幸せのためとはいえ、つらいな……)


 私は思わずディラン様を見つめた。


(ダメよ! ダメ!! 大体、ディラン様と踊れるだけで奇跡なんだから!! 今を楽しもう。今は、私と踊って下さってるし、今だけは、今だけ)


 私もディラン様の耳元に唇を寄せて呟いた。


「ディラン様と踊れて、幸せです♡ ずっとこうしていたいです」


「(あ~婚約者が可愛い過ぎる押し倒したい……ダメだ!! ダメだ!! 理性頑張れ!!)」


 ディラン様が言葉にならない程の小声で呟いた気がするが、音楽と周りの音で聞こえなかった。

私は最愛の人とのダンスを楽しむことにしたのだった。





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