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折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!  作者: たぬきち25番


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16/17

16 糖度∞(計測不能。恋愛糖度が振り切れました!激甘注意!!)

 




 私が主人公ナターシャとディラン様の恋が始まらなかったことに安心して「ふ~」と大きく息を吐くとディラン様の声が聞こえた。


「ああ~妬けるな」


ディラン様が恨めしそうに私の顔を覗き込んできた。


「え? 妬ける?」


 私はディラン様が言っている意味がわからずに首を傾げた。


「君は僕が好きだって言ってくれるけど、ナターシャを見ている時の顔の方がいつも真剣そのものだ。今回だって、ナターシャのことが心配でバルコニーに出ていたんだろ? それにおそらく君はずっとナターシャに王妃を譲ろうとしていた。違う?」


 (あれ? なんだか、私がすっごく主人公のナターシャ様のことが好きってことになってない? それは誤解だけど……でもそんなことより、私が身を引こうとしていたことも知られていたなんて!!)


「え? ……どうしてそれを……」


 私が動揺しながら目を泳がせるとディラン様が困った顔をして溜息をついた。


「やっぱり。でもね、もう無理だよ?」


「それは、どういう」


ディラン様は私の耳元に顔を寄せ呟くように言った。


「実は君はもう僕の『お手付き』って噂が貴族中に流れてるんだ♪」


(はぁ……ディラン様のこの声……身体の力が抜けそうになるのよね……ってダメよ!! しっかり!! え~と? どういうこと?? 『お手付き』ってつまり、男女の関係って事でしょ? 私たち今日、キスを初めてした清い関係なのに、どうしてそんな不埒な噂が?!)


「どうしてそんな根も葉もない噂が?!」


耳元で聞きえた囁きにクラクラしたが、私は気力を保って尋ねた。


「まぁ、噂っていうのは大抵、根も葉も無い場合が多いけど、今回はその噂を利用して貴族中に拡散させたんだ。」


 予想外の返答に私は大きな声を上げてしまった。


「えええ?! どうしてですか?! 結婚前にお、お、お手付きなど、ディラン様の評判に関わります。実際のディラン様はとても紳士ですし、ディラン様にとってのよくない噂など!!」


チュッ♡


 私が焦っていると、ディラン様に抱き寄せられて唇にキスをされた。


チュッ、んっ~チュッ、チュッ~~♡


 そして何度もキスをされた。


「ああ~~可愛い。自分のことよりも僕のことを心配してくれるなんて!!

 ねぇ、キャメロン。そう言ってくれるのは有難いけど、僕は……僕はそこまで紳士じゃないかもしれないよ?」


 ディラン様が切なそうに見ていたが私は、そんなディラン様の手を握ると真剣な顔で力強く言った。


「ディラン様は紳士です!! それに誰よりもカッコいいですし、誰よりも素敵で……」


チュッ♡


 私はいつの間のかディラン様にキスで唇を塞がれていた。

 そしてゆっくりと唇が離され切なそうな視線を向けられた。


「ストップ。僕はそんな紳士じゃないよ……今回だって、この噂が広まれば君は僕以外には嫁げないと思ったから利用したんだ」


「え?」


「君も知っての通り、ナターシャを僕の妃にしたくて動いてる一派もいたからさ。

 確実に君を妃にするために噂を利用させてもらった。

 王族の僕のお手付きの娘を嫁にしようっていう貴族はいないから」


 ディラン様の言う通り他の貴族に私がディラン様と肉体関係を持ったと思われているのならば、私がディラン様のお子様を懐妊していない保証はない。もし私がディラン様のお子様をご懐妊していた場合、嫁として非常に困った存在になるだろう。高位貴族に目をつけられ、王家にお伺いをたて、大変な苦労を背うことになることは想像できる。

 つまりもう、王族と肉体関係を持ったと思われている私は王族以外には嫁げない令嬢になっていたのだ!!


「確かに」


「幻滅した?」


ディラン様が悪いことをして叱られるのを待つ子供のような所在なさそうな表情で私を見ていた。


チュッ♡


「え?! キャメロンからなんて初めて……」


 私はディラン様にキスをすると、キスをしてしまって顔を見るのが恥ずかしくなってディラン様の腕に腕を絡めると、頭をディラン様の肩に寄せた。


「……私もディラン様を誰にも渡したくないと……思ってしまったので……同じかと」


 ディラン様の体温が上がった気がするが、もしかしたら上がったのは私の体温かもしれない。


「ねぇ。まだお茶飲みたい?」


「え?」


 気が付いたらいつの間にか私はソファーから立ち上がったディラン様に抱き上げられていた。

 抱き上げられたまま、ディラン様が唇を寄せてきた。深いキスに眩暈を感じていると、唇が離され、顔が赤くなって余裕のなさそうなディラン様と目が合った。


「もうさ……僕の好きにしてもいい?」


 私はディラン様の首に腕を回した。


チュッ♡


 そしてディラン様の頬にキスをした。


「はい」





ーー……その日、私たちはベットの上で……。



 たくさん『好き』だと言って。


 たくさん名前を呼び合って。


 たくさんのキスをして。


 月が照れて雲に隠れてしまうくらい甘い夜を過ごしました。


 しかし、ディラン様の名誉のために言わせて下さい。


 ディラン様はとっても紳士♡ですので、噂が本当になるようなことはなく、私たちは清い関係のままである、ということをご報告しておきます。



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