花梨との別れ
その後、約1年の間、花梨の出勤に合わせ約50回のリスキリングを繰り返した。8月31日の彼女の誕生日にはケーキでお祝いもさせてもらった。何やら、2つ下の妹が居て芸能関係の仕事に就こうとしており、姉としては不安である事。美容脱毛を業として手掛けながら、自分では医療脱毛の方が良いと思い、矛盾を抱えながら仕事をしている事。この仕事は歯科矯正のローンを返すために始めた事。今年、○県の10kmマラソンに出て約1時間で完走した事。本名は麻美である事、等々、全てが事実だとしたら、こちらが心配するほどの個人情報を教えてもらった。僕はなかなかに痛い客ではあるのだろうが、花梨はいつも僕に微笑みをかけてくれるため、僕は毎週の花梨とのプレイがこの街での生き甲斐と感じるくらいのめり込んでいった。毎回120分のデリヘルの予約時間のうち、技術講習が60分、彼女からのサービスと会話が60分という配分で、講習については「花梨の気持ち良いところに、花梨の指示通りの刺激を忠実に再現する」という骨子であり、花梨の指導の成果で、途中からは60分の講習時間の間に、クンニと手マンで安定して7〜8回以上、日によっては15回程度は花梨を絶頂に導く事が出来るようになるまでに僕の彼女に対する前戯の技術は向上していった。彼女も自分の指導によって次第に成長していく僕を生徒のように感じてくれているようだった。
特に、指では花梨のGスポットの位置を完全に把握出来た事から、毎回右手の中指を入れると同時にピンポイントで花梨の最も敏感なところに指先を置けるようになった。彼女の身体への負担を考えてやらないが、やろうと思えば指先だけで何十回も続けて絶頂に導ける自信もついた。途中から始めたクンニと指の合わせ技も花梨のお気に入りだった、このプレイでは短時間でほぼ100%彼女は絶頂を迎えるので、僕もこのプレイを気に入って多用した。
そんなある日、花梨から告白を受けた。
「ヒロキさん、私、来週でこのお店辞めることにしたんです!ここで働く理由だった歯科矯正のローンも返し終わったし、昼の仕事も忙しくなってきたので……。」僕にとっては非常に残念ではあるが、いつまでも働く職場ではない事は理解できる。翌週の花梨の最終日、要らないとは思うが、約1年の感謝の証として小さな花束を持参し最後になる講習を受けた。僕は、改めて花梨にある申し出をしてみた。
「花梨さん、1年間色々教えてもらってありがとう!おかげで単身赴任生活が随分充実したし、花梨さんのアドバイスで少しはマシな前戯も出来るようになったよ。それで、もし花梨さんが良ければなんだけど……、これからもお金は払うから2人で会ってもらえないかな。」僕は会社の名刺と連絡先を渡し、身分を明かした上で花梨に新しい関係を提案した。花梨は、
「ヒロキさんにはホントに良くしてもらいました、ありがとうございます!でも、今日でお別れしますね。でも、……もしかしたら連絡するかも知れません。」との言葉でお別れをした。
(まぁ、そうは言っても連絡は無いだろうな)とは思っていたが、ある日の会議中に050から始まる知らない携帯電話から連絡があった。打ち合わせ中であったため、後で何度か折り返したがコールするも繋がらなかった。(もしかして花梨では?)と思い、その後も日を開けて何度か連絡したが、誰も電話には出ないままだった。