花梨との再会
花梨(梨奈)からの返信内容から察すると、彼女は色々な感情はあるものの、僕と会う事については納得しているようだ。その理由の根幹が、秘密がバレた事への恐怖なのか、お金なのか、性行為の師としての僕への情なのかはわからないが……。
とにかく一度会わないと始まらない。花梨(梨奈)の背中を押さなくてはならない、との思いを込めてDMに返信した。
「僕のために時間を割いて頂き、丁寧なお返事ありがとうございます。あの050からの電話はやはり梨奈さんだったのですね。すぐに出られず申し訳ございませんでした。梨奈さんのお立場からすれば、『何としても他者に知られるわけにはいかず』もよくわかります。寧ろ、僕がいつも長時間予約してお話ししている間、完璧に別の自分を演じられていたことを素直に尊敬しますし、『いつも長時間、負担かけてしまっていた』と申し訳ない気持ちです。もし、本当にお会いしていただけるなら10万円お支払いしようと思っていますので、一度、人助けだと思って会って頂けないでしょうか?私がこの街に居られるのもそんなに長くないかも知れませんし、いつまでもズルズルと梨奈さんの人生の邪魔をするのは本意ではありません。是非ご検討頂けたら幸いです。」返信後、また暫くは返事がなく過ぎたある金曜日、梨奈から連絡が届いた。
「お返事遅くなり申し訳ありません。承知しました、お会いしましょう。明後日の日曜日、12時-14時の2時間であればお会いできます。なるべく市街から離れている方が良いのですが、○市に、タリーズというホテルがあります。(駐車場があります)そちらでもよろしいでしょうか?12時少し前に到着できるように向かおうと思いますが、ご都合いかがでしょうか?」梨奈はとうとう僕に抱かれる覚悟を決めてくれたようだ。
「本当にありがとう、必ず伺います。日曜日、楽しみにしています。」と返信し、いよいよ日曜日を迎えた。
11時20分にはタリーズに到着し、事前に部屋の状況を見ると、日曜の昼にも関わらず盛況で数部屋しか空いておらず、慌てて一部屋にチェックインした。
チェックイン後、事前に空調と風呂の準備を整え、フロントには駐車場で待ち合わせするために、一時的に部屋を空ける旨を説明し駐車場の愛車の中で彼女の到着を待った。
11時57分を過ぎた頃、臙脂色の車が駐車場に入ってきた、運転席を見ると梨奈である。愛車から出て、彼女の車の近くまで近づくと茶系のワンピースを着た彼女が車から出てきた。長かった髪は肩にかからない位まで短くなっていた。
「こんにちは!お久しぶりです!」相変わらずの向日葵のような笑顔である。
「こちらこそ、来てくれてありがとう。久しぶり……。髪切ったんだね、似合いますよ。……ここでは何なので、早速だけど部屋に入りましょうか。」と彼女をホテルまで誘った。




