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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。
この連載作品は未完結のまま約半年以上の間、更新されていません。
今後、次話投稿されない可能性があります。予めご了承下さい。

猫婚〜吾輩は雪見大福である。飼い主はニャコである〜

作者:めぐすり
 吾輩は雪見大福である。
 白い猫である。
 人間たちは吾輩をメインクーンなどと分類しているらしい。
 アライグマのような乱暴者と同一視されるのは、甚だ遺憾だが理知的で心優しい猫として、寛容な心で許そうと思う。

 そんなことより吾輩は憂いていた。
 猫飼い主達の結婚状況を憂いていた。
 ほんの少し身体が丸くなったせいで、飼い主からオヤツのちゅーとろが貰えないことを憂いていた。

 それもこれも飼い主が落ち込み気味なのが悪い。
 残業帰りのお疲れモードでも優しい飼い主だが、お酒が入ると「出会いがない」と嘆く日がある。
 仕事は充実しているらしい。
 花形の秘書課などと呼ばれる組織に配属されて、氷帝と呼ばれる若きイケメン社長という推しのそばで仕事できて嬉しいと言っていた。
 正直、飼い主がなにを言っているのかわからん。

 職場に出会いがあるではないか。
 吾輩はそう思うのだが、社長とやらはあくまで観賞用らしい。
 仕事が出来すぎて、自分にも他人にも厳しい。
 ミスで叱責や詰問されることなどはない。
 けれど優しいわけではない。
 なんでも無言で人を見限り、他の部署に飛ばすのだとか。
 そのため氷帝とやらが社長になってから秘書課は入れ替わりが激しいらしい。
 飼い主が秘書課に配属されたのもそのおかげだとか。
 人間とは大変である。

 飼い主の愚痴が増えたのは先月の誕生からだ。
 どうも人間社会では25歳を過ぎればアラサーという呪いにかかるらしい。
 いくら仕事が充実していようと、恋人がいないと焦燥感に駆られて悲しくなるのだとか。
 人間とは複雑である。

 ちなみに吾輩のちゅーとろが減ったのはその前からだ。
 飼い主が吾輩を見て、深刻な表情で「ダイエットさせなきゃ。私も一緒に頑張るから」などと言い始めたのだ。
 人間とは失礼である。

 そんなとき吾輩は知ってしまった。
 家を守っているときに、適当にテレビ番組をつけていて知ってしまった。
 人間は猫を飼うと結婚しないらしい。
 なんと犬を飼うよりも結婚しないらしい。

 これは家猫として看過できない問題である。
 このままでは家猫の地位が危ない。
 飼い主の婚活を促進しなければ。

 こうして吾輩は外に出て、電車に乗り、飼い主の会社に向かった。
 そして現在、吾輩は社長室で氷帝と対面している。
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