彼女の力
ガラミティ一家に捨てられ、クロノスファミリーに拾われるものの、師匠であるボスが殺され、孤児院暮らしをしているマックスは、病気で倒れていた少女ロザリアと出会い、彼女が行先が決まっていない事からしばらく同じ孤児院に入る事となった。
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マックスは、いつも通りに魔能術の力を確かめに行こうとしていた。
コンコン
「なんだ?」
「お邪魔するわ。マックス」
「何の用だ。ロザリア」
ロザリアが入ってきた。
「今からどこに行くの?」
「魔能術の力を確かめに行くところだ。あの時お前を見つけた時もそうだった」
「私が病気で倒れた時ね」
「ところで、何の用で来たんだ?」
「あなたの本当の目的は何?」
真剣な表情で聞いた。
「結果的にガラミティ一家を潰す事さ。前にも言ったが、師匠の仇でもある。奴らは反ベイリーカ勢力と言われる奴らと手を組んでいる奴らだ」
「こちらにも反ベイリーカと親ベイリーカに分かれているのね」
「現大統領のロジャール・ガランクの政権に対して反発して、抗議デモ、酷ければテロ事件も起こすような奴ら。それが反ベイリーカ。俺の親族はアイツらと協力関係を組んで行動している」
「私の祖国のリチシア国は親ベイリーカの国って聞いた事があるわ。だけど中には反ベイリーカの人達もいる。お父様達はもしかしたら、反ベイリーカ側の人間なのかも」
「まだわからん。とりあえず俺は魔能術の確認をしに行く。また後で会おう」
バタン
こう言って、マックスは自分の部屋を後にした。
一方、ガラミティ一家は、自分達のアジトにて協力関係にあるリチシアマフィアのドロフィーファミリーと会議を行っていた。
「これからベイリーカ国をどうしていくかを話し合う。ただ、今回の会議で欠席者もいる。キャズルとジャックに我が息子を探しに行かせた。今回はリチシア国からドロフィーファミリーも参加して下さっている」
「よろしくお願いします」
ドロフィーファミリーのボス、ガタス・ドロフィーが敬礼をした。
「今回この会議を開いたのは、ガランク政権に対する対抗措置についてです。ガランクが大統領に就任してから、国の状況が悪化した。今のままでいいのかという事です」
ロバートがこう言うと、
「ガランク政権に対して私達ができる事は、今の政権をぶっ壊すためにガランクを殺すか拘束するかなどもあり得るわね」
ルシーアはこのような意見を出した。
「せめて前大統領を辞めさせるデモ活動がなければ…」
「これもあり得る」
ガラミティ一家とドロフィーファミリーは、全員で意見を出し合いながら、会議を進めていった。
意見を出し合って数時間後、
「俺達が動いたらあのクロノスファミリーが復活なんてあり得んだろうな」
ガタスが聞くと、
「あやつらは私達で滅ぼした。もう二度と出てくるまい」
ロバートがこう答えた。
マックスは、孤児院の庭で、人形を相手に魔能術を使う練習をしていた。
「魔能術 催眠の力!」
キュイーン!
人形にオーラが出て、マックスに操られている状態になり、
「そういえば最近、人形に何かをやらせる事をしていなかったな」
と口にし、庭の端まで往復するように操った。
「クロノスを復活させるのに、何か手掛かりになる事はないのか」
その後マックスは、孤児院のスタッフから許可を貰い、クロノス復活の手掛かりを見つけようと、外に出た。
孤児院から出ていくマックスを、部屋に戻っていたロザリアが窓から見ていた。
『何だか嫌な予感』
こう呟いていた。
街の中に出たマックスは、手掛かりを探そうと歩いていたところ、マフィアらしい男達2人が捜索しているところを目撃した。
マックスは、路地裏に隠れて男達の方を見ていた。
「ボスの息子が生きているのかわからんけど、本当にいるのか?」
「もうとっくに死んでたりして」
などと言葉を発していた。
更に、一人の男が次のように言った。
「ボスであるロバート・ガラミティ様の息子はどこにいるのやら」
その男は、ロバートが捜索に行かせたキャズルとジャックであった。
「!?」
マックスは、自分が狙われている事がわかり、路地裏の裏からこっそり出て行こうとすると、
「そこまでだ」
マックスは、キャズル達に見つかってしまう。
「マクシミリアン。お前に選択肢を2つ与える。1つ目。お前の考えが変わっているんであれば俺達に協力する事。2つ目。もし歯向かうのであればここで殺されるかの2つ。これはボスの命令だ」
「俺を捨てた奴のところには戻る気はない。もし戻ったとしても、今の孤児院の方がよっぽどマシだからな」
「テメェ…。家族の元に帰りてぇとも思わねぇのか?」
「家族?お前らのように俺を捨てた人間が、そう言える立場にないんだよ」
「何俺達に口答えしてぇんだよこの野郎!!」
「貴様らの元には絶対に戻らないんだよ!!」
「マクシミリアン!!貴様はこれからどうするんじゃゴルァ。アァ?」
「お前達ガラミティをぶっ潰す。それだけだ」
ジャックが次のように聞いてきた。
「で?俺らを潰そうと考えてんのか?ナメてんのかゴルァ!!」
「ナメてなんかいないんだよ。クロノスファミリーを再び結成する。次こそは貴様らぶっ潰すためにだ」
ドーンッ!ドーンッ!
ギリマックスに当たらない箇所にジャックは銃を発砲した。
「調子に乗るなゴルァ!!ぶち殺すぞ!!」
ジャックはマックスの口答えに相当な怒りを爆発させた。
その時、
「魔能術!幻覚の力!」
キラーン!
何者かが魔能術のオーラを出し、2人は幻覚を見せられるようになった。
「ボス?なぜボスがここにいるんですか?」
「一体何なんだ?」
「これは幻覚の力」
「ロザリア?」
ロザリアがペンダントから光のオーラを出して立っていた。
そしてオーラを解除すると、キャズルとジャックから幻覚は消えた。
「一体どうなっていたんだ?」
「俺にもわからんぞ」
2人はマックスとロザリアに対して、こう怒鳴った。
「貴様らは魔能術使用者か!!」
「こんな力をよくも俺達に使いやがってよ!!」
マックスは、2人に対して、
「俺を捨てた奴のところに戻そうとした事、後で後悔させてやる。魔能術 催眠の力」
キュイーン!
マックスは催眠の力で2人に催眠術をかけ、適当な場所に2人を移動させて、マックス、ロザリアがある程度離れてから魔能術を解除し、解放した。
孤児院に戻る帰り道。
「まさか、お前に助けられるとはな」
マックスがこう言うと、
「なんとなく嫌な予感がしてた。マフィアの抗争が多い中、よく外に出ていたら当然襲われる。私がいなければこういう事にはならなかったわね」
とロザリアは言う。
「うるさい。お前がいなくてもどうにかなっていた」
マックスは強がるように言った。
その途端、真剣な表情となり、次のように言った。
「ところで、お前も魔能術使用者だったんだな」
「ええ」
「お前の力は敵に幻覚を見せていたな。幻覚の力ともいうのか?」
「その通り。正式名称は「魔能術 幻覚の力』。私の力は他人に幻覚を見せ、その人を困惑させる能力。困惑しているすきに殺す事もあるわ。あなたの力こそ『魔能術 催眠の力』なの?」
「そうだ。俺の力はどんな相手にも催眠術をかけられる能力だ。そして操り人形のように俺の思い通りに操る。用が済めば、殺すか、解放するかだ」
「あなた以外にも催眠の力が使える人はいるの?」
「カルロ・クロノス。クロノスファミリーの先代ボスだ。俺はそのカルロからこの力を教えられた。お前の能力は誰から教えられたんだ?」
ロザリアはマックスにこう聞かれて少し嫌そうな表情で答えた。
「お父様…」
マックスも心配そうな表情となり、
「そうか。お前は父親から打たれたりしてたんだな…」
と口にした。
一方、ガラミティ一家は、アジトにて戻ってきたキャズルとジャックと話し合いをしていた。
「マクシミリアンを連れ戻せないとはどういう訳だ?」
ロバートが聞くと、
「すみません。ボス。一瞬だけ幻覚が見えてしまい、更に催眠術まで使われて気付けば奴らはいませんでした」
とキャズルは答えた。
「だからといってマクシミリアンと幻覚使いを逃すのか?調子に乗るのもいい加減にしなよゴラァ。えぇ?ジャック!お前は何も言わないで黙ってるだけ?」
「いや…その…」
ルシーアがかつてのレディース時代を彷彿させる言い方でキャズルとジャックを責めた。
「誠に申し訳ございませんでした!」
「申し訳ございませんでした!」
キャズルとジャックが謝罪した。
「仕方ない。今回は見逃してやる」
「はい」
「はい」
「但し、次お前達が任務に行く時マクシミリアンを私に引き渡せなければ、どうなるかわかっているだろうな?破門されるか殺される覚悟でいけ」
「はっ!」
「はっ!」
ロバートからこのように言われ、2人は、次の任務次第でガラミティに残るか破門されるか殺されるかが決まってしまった。




