マックス
マフィアの抗争が多い国、ベイリーカ。
現大統領のロジャール・ガランク大統領の就任後、消費税の減税、先代大統領が行った移民受け入れや、スパイ活動を廃止する事などが定められ、国は安定したかのように見えた。
しかし、反ベイリーカ勢力と呼ばれる者達が今の政権に対して批判し、テロ事件や抗争があちこちで起こるようになり、国全体の治安は悪くなりつつあった。
その中でも勢力が大きかったのはガラミティ一家と呼ばれるマフィアだった。
国内で抗争を起こす団体はマフィア、テロリストなど多数で、親ベイリーカ勢力と反ベイリーカ勢力に分かれており、ガラミティ一家は反ベイリーカの代表的存在となっていた。
親ベイリーカ勢力代表は、クロノスファミリーなどであった。
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ベイリーカ国のトスボンにて、雷が鳴り、雨が降っている道端に、一人の幼い少年がいた。
彼の名はマクシミリアン。後にマックスと名乗る事となる。
彼はガラミティ一家のボス、ロバート・ガラミティの息子である。母親は、ルシーア・ガラミティで、元レディース総長。ロバートに会った事で更生し、共に活動している。
彼の両親は自分達の後継者として育てていた。
しかも、無理矢理にも彼をガラミティのボスとして育て、彼はそれを望んでいないのにも関わらずだった。
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遡る事数日前…
戦う為の訓練で、彼は銃の使い方や戦う為の戦闘能力などが強くなっていった。
ある日、マクシミリアンは初めて任務が与えられた。
「マクシミリアン、お前に任務を与える。私達に歯向かうマフィアやテロリストどもを殲滅させてこい」
「僕は親ベイリーカ勢力とは戦いたくない」
「全く、なぜいつもお前は私達に歯向かうんだ?」
「歯向かっているんじゃなくて…」
すると、ロバートはマクシミリアンに対し、足で蹴り上げた。
「バカ野郎!私達のやる事が間違っているとでもいうのか?」
「そもそもなんで僕が強制的にガラミティと関わらなければならないんだよ!」
「ワガママを言うな!この家に生まれたからこそこういう運命だ。お前は俺達の跡継ぎだから強くならなければならない」
「正にその通りね。あなたはね。私達の思い通りに育てられるの。私達の跡継ぎとして生きなさい。あなたにガラミティ一家の未来がかかってるのよ。まだ文句を言うのなら追い出すわよ」
「父上や母上の言いなりになり、父上や母上みたいな反ベイリーカ勢力にはなりたくない!」
「全く、俺達に口答えしたな、マクシミリアン。お前は使い物にならない。破門だ。ルシーア、もうコイツは俺達の息子じゃない」
「本当、あなたの方が自分勝手すぎるわ。私達が一生懸命育ててきたのに、なんて事を言うの」
「…」
「連れてけ」
マクシミリアンは、仲間達によってアジトから引きずり出され、車に乗せられた。
「放せ!」
「おとなしくしてろ!ボスの命令も聞けない役立たずが!」
騒ぐマクシミリアンを仲間達が取り押さえながら車に乗せて、適当な道端に着いた時、車から投げ飛ばすように放り出した。
「私達に口答えした事。破門された事を後悔するがいい。しばらくは野宿でもしているんだ」
ロバートはこう言って、彼らは立ち去っていった。
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マクシミリアンは一人でこのように呟いていた。
『少し言いすぎたかもしれないけど、父上や母上は何を考えているんだ。なんで俺が無理矢理ガラミティのボスになんかならなければならないんだ。そもそもなんでガラミティの未来が僕にかかってるんだよ。おかしいよ』
しばらくすると、集団で足音が聞こえてきた。
「誰なんだ、あの足音は?」
足音はだんだんと近づいてきて、マクシミリアンの前で全員止まった。
「誰だ?」
「クロノスファミリーだ。そこで何をしている?」
「クロノス…、ファミリー?」
「お前、ずぶ濡れだぞ。放って置けないからアジトまで来るんだ」
マクシミリアンは、クロノスファミリーの人らとアジトに行った。
クロノスファミリーは親ベイリーカ勢力の代表的なマフィアだった。
ボスのカルロ・クロノスは、『魔能術 催眠の力』使用者であらゆる相手を催眠状態にし、敵を拘束する能力を持っている。
操られている人間は、金の紐のようなオーラが出ており、目も虚ろになっている。すなわち、完全な人形のように使われる状態である。
クロノスファミリー結成のきっかけは、ボスであるカルロやその仲間であるアルなどがいたミュージックバーでダンスセッションで踊り合っていた仲間達とそのまま組んだチームが始まりだった。
クロノスファミリーには、ボスのカルロ・クロノスや仲間のアル、その他メンバーなど何十人かがいる。
アジトの中はミュージックバーのようなアップテンポの音楽が流れていた。
「そういえば、自己紹介がまだだったな。俺はカルロ・クロノス。このファミリーのボスだ。こっちは長い付き合いのある仲間のアルだ」
「よろしく頼むぜ!」
「お前さんの名前は?」
「僕の正体を言ったら敵対組織の名前かもしれないけど、僕はマクシミリアン・ガラミティ。ガラミティ一家に捨てられたんだ」
「奴らはお前を捨てるような奴らだったんだな。具体的に何をして捨てられた?」
「父上や母上は自分らの思い通りにして無理矢理僕をボスにしようと企んでいるんだ。僕は反ベイリーカ勢力と行動をしたくない。奴らと行動したら国がぶっ壊れる。だから反発した。そしたらお前は俺達の息子じゃないって」
「酷いな。奴らは息子であるお前を大事にしていなかったという事か」
「そうなるかもしれない」
「そうか。ところで、お前の名前なんだが、このままではガラミティの令息とバレてしまう。それにマクシミリアンは名前が長い。そこから文字って『マックス』というのはどうだ?」
「マックスか。丁度いい名前です」
ガラミティの令息、『マクシミリアン』が『マックス』になる瞬間であった。
「音楽が流れているからお前も来い」
「え、ちょっと俺には…」
メンバーがサークルを組んでいるところにカルロに連れられ、
「お前もいけ」
アルに言われてマックスもサークル内でリズムをとった。
『なんかこうやって集団で踊り合うの楽しいかもしれない』
マックスは、この時にダンスセッションをした事をきっかけにダンスセッションに興味を持つようになったのであった。
それから数日後のある日、休暇を取ったカルロは、こう言った。
「最近あまり会っていない妹のレジーナと姪っ子のリリィがここに来るという事をお前に伝える。少しうるさくなるが、気にしないでくれ」
「分かりました」
レジーナはカルロの妹で、彼より一つ下。夫はいたようだが、既に死亡しており、娘のリリィと2人で暮らしている。
リリィは6歳とまだ幼く、父親の顔を知らずに育った。
しばらくして、レジーナとリリィ親子がやって来た。
「久しぶりね。カルロ」
「久々だ。レジーナ」
「久しぶりです。カルロおじさん」
3人はテーブルに座って紅茶やコーヒーを飲んでいた。
一つ多い事に気づいたリリィは、
「この紅茶は誰のなの?」
と聞いてきた。
「最近弟子を迎えた。マックス。来てくれ」
マックスがやって来て、
「彼はマックス。私の弟子だ」
「この子がお兄様の弟子?ガラミティの令息とかでは?」
「確かにその通りだ。しかし、彼は父親であるロバートに捨てられていた。しかも親からは虐待を受け続けて育てられた。放って置けないから拾った」
「ガラミティ一家はひどいわよね。実の息子を酷い目に合わせて」
「それもあるが、俺達は奴らを倒すために行動を起こすからな」
「カルロさんの言う通りで、俺は父上に酷い目に遭わされて育てられました。俺もいつかはカルロや仲間達と一緒にガラミティを倒します」
マックスはこのように宣言した。
数時間が経ち、レジーナとリリィが帰った後、カルロはマックスに教えなければならない事がありやってきた。
「マックス。お前に教えなければならない事がある」
こう言うと、マックスに懐中時計を差し出した。
「懐中時計?」
「俺はコイツを使ってオーラを出し、人間を操れる。この力をお前にも授ける」
カルロは、マックスに『魔能術 催眠の力』を与えた。
使用アイテムには、主に懐中時計など多くの道具が使われる。
「敵に襲われた時とかにこの力を使え。ただし、無闇に使いすぎたらエラーを起こし使えなくなる。そこだけは気をつけて」
「分かりました」
こうして、マックスはカルロから魔能術を貰った事により、魔能術使用者となった。
魔能術使用者になったマックスは、数々の練習を重ねて強くなっていく事となった。




