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優しいだけの嘘つきは今日もラブコメを演じる ~幼馴染、義妹、婚約者、金髪碧眼、親友に迫られてます! 俺? ごくごく普通の陰キャモブですが……  作者: なつの夕凪
~第一章 天使同盟編~

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第40羽♡ 猛妹注意!(下)

 

 目を覚ましたばかりの茶色の瞳はまだ重たそうで僅かに開いているだけ、今にもまた閉じてしまいそう。

 

 それにリナの頭はまだ寝たままっぽい。

 

「おはよ……」


 寝てた時から俺にくっついてたけど、さらにぎゅっと抱きついてくる。

 

「よく眠れたか?」

「ん~わかんない」


「そっか」

 

 少し寝ぐせの付いたショートボブの髪をさらさらと撫でる……。

 シャンプーの甘い香りがして触り心地も良い。

 

 かわいいだけの妹は全く抵抗しない。

 

 今は寝起きの天使タイム。

 つまりリナは純度百パーセントの無垢な状態。

 

 数分経ったら覚醒していつもの凶悪凶暴なリナに戻る。

 そして代わり映えのない慌ただしい日常が始まる。


「一緒に寝たの?」

「そういうことになるな……」


「どうしていつも一緒じゃないの?」

「それはな……」


 俺たちが一緒で良い時間が過ぎちゃったからそばにいても、ずっとそばにいられないんだ……。


「哀しい顔してる、辛いの?」

「違う……」


「無理しないで……」


 今度はリナが俺の頭を撫でてくれる……。

 

「いつもありがとうお兄ちゃん」


 やばい目が曇る……。

 

 まだダメなんだ……。

 でも……もしこのまま上手くいくなら俺は……。


「リナ……」

「あれ兄ちゃん? どうしたのだ?」


 どうやら天使タイムは終わりを迎え小悪魔の義妹もどき様がお目覚めになったらしい。


 ……良かった。

 

 ピンポンパンポーン――!


『本日のリナちゃん天使タイムは全て終了しました。次の天使タイムは明日の早朝予定です。ご了承ください』


 そんなアホなアナウンスが脳内に流れた気がした。


「おはようのチュウはまだ?」

「……しねーよ。ていうかやっぱりさっきも起きてたのか?」


「ん?」

「何でもない」

 

「ところで兄ちゃん、まさかとは思うけど、このまま何もしないで起きるつもりじゃないよね?」

「いや……そのまさかだけど、何か問題でも?」


「うそぉ~~~~ん!? 昨晩も無防備な妹が横で寝てたのにどうして何もしなかったの?」

「何かしてたら気持ち悪いだろ」


「いやいやいや――もぎたて食べごろJKだよ? 普通アレコレするでしょ~!?

 それともわたしが気づいてないだけでお楽しみになった後? 


 昨夜はお楽しみでしたね。BY宿屋のオヤジ?」


「宿屋のオヤジ随分と品がないな。心配するな……な~んにもしてないから」


「ぐはっ……清い身体は守れたけど一人の女子としては負けた気分だぜ……あれか? 

 ブルータスお前もおっぱいなのかぁあああ!? 

 

 男はみんなおっぱい星人なのか?」


「おっぱいなんて一言も言ってないし……あとブルータスそもそも関係ないだろ!」


「嘘を付け~このおっぱいブルータスがぁあ! そして聞け。

 

 この前授業で持久走をやったんだけど凛ちゃんとすずと楓ちゃんのA組B組合同おっぱい三銃士は走る度にゆっさゆっさのバインバインでやんの、もうおっぱいそのものが走ってるって感じ……

 

 んで結局、空気抵抗の少ないわたしとさくらのサッカー部組が圧勝だったわけだけど……なんか負けた気がしました。とても悲しかったです」


「……それはご愁傷様です」


「ちきしょぉめがぁあああ~~~~! 

 わたしだって巨乳になりたいよ~夏場に胸元に汗が溜まって大変とか、男子の視線が気になるとか言ってみたいよ~キィイイイイイ~ガァッテム!!


 ……と言うわけで、さっさとプリチーかつセクシーなこのわたしに手を出してくださいませ。お兄様!」


「乱暴な言葉使うんじゃありません。だが断る。手は出しません」


「はぁ……やはりそうきたか。……あくまでわたしを拒むと言うのか、なら仕方ない。実力行使させていただきます♡ 


 はぁああああ! うなれ我が剛力!」


「ん?」


 リナの腕の力が一気に増し、俺の体を完全にロックする。

 

 何これ? マジで動けないんだけど、万力みたいに凄い力なんですけど!?

 

「抵抗しても無駄だよ。帰宅部で男子の中でも人一倍華奢(きゃしゃ)な兄ちゃんに運動部で常に体を鍛えてるわたしが負けると思うかね?

 

 しかもそれだけじゃ~ないぞ! 


 わたしはあの伝説の暗殺拳『赤城神拳』の伝承者赤城さくら師匠からお兄ちゃんがムラムラしちゃった時に正当防衛するための締め技を教えてもらったのだよ。


 ちなみに今兄ちゃんにかけてる技はわが師さくらが独自開発したその名も『赤城ロック』! 一度決まれば逃げれない優れ技。どう? 動けないでしょ?」


「ぬぅ……確かに全く動けん……だがなリナよ考え直せ! 話せばわかる。まずは落ち着こう。


 あと『赤城神拳』とか適当なことを言ってると後でマジ怒られるぞ!」


「わたしとて、こんな手を使いたくなかったよ。

 だがもう遅い……本能の赴くままおいしく兄ちゃんをいただきます!」


「いや~ちょ~やめて~~~!」

「大丈夫、優しくするからさ~ ぐへへっ観念してね~」


 ソレどう考えても女の子の台詞じゃないだろ!というツッコミよりも先に、凶悪なハンターと化したリナが襲い掛かる。

 

 どうするの俺? 

 いや――どうなるのわたし? 

 

 緒方霞はお婿に行けないくなるし、

 女形(おがた)カスミンもお嫁に行けなくなっちゃうよ~~~!?

プロレス好きです!


伝説の暗殺拳赤城神拳はフィクションです。


40話目で目標だった10万字に到達しました。

ここまでお付き合いいただき誠にありがとうございます。


お時間がございましたら「いいね」「評価」「誤字修正」「感想」「ご意見」など頂けましたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
天使タイムが相変わらず短い。 女形カスミンの貞操は守り切れるのか⁉️ (╹▽╹) あ、あと10万文字達成、おめでとうございます! (*ノ・ω・)ノ♫
[良い点]  楽しげなじゃれ合いの中、たまに気になるカスミの台詞。  天使タイムのリナの様子も含めて、互いに言えぬことがありそうで。  実際そんなことになったらどんな反応を見せるのかな、と思いつつ。…
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