第263羽♡ 終わりと始まり
――時は遡ること7月31日、午後11時22分。
波乱続きの第32回非公式生徒会WEBミーティング終了後、
副会長と新会長が残り、ふたりだけのミーティングを行っていた。
「会長、就任早々お疲れさまでした」
「ありがとうございます、副会長も」
「今後忙しくなると思いますが、引き続きお願いします」
「いえ、こちらこそ」
「火中の栗を拾うようなものですからね」
「そうですね。我々には敵が多すぎます。緒方霞以外にも、第三新聞部、三条院や彩櫻のグループ、それに時任蓮司、数え始めたらきりがありません。そして内部の不満がかなり溜まってますね」
「えぇ、前会長はよく頑張りましたが、ここらが限界でした」
「元々、彼女は今日までの予定でした。無理をさせ過ぎてしまったと思います」
「今回のこともあり、役員も今は半信半疑です」
「非公式生徒会内部に天使がいたこと……役者と脚本家が同じなら、舞台を準備する側が戸惑うのも当然です」
「そして、あなたも天使だ」
「はい、ですが深い意味はありません……さて、終わりと始まりの天使メールを準備しましょう」
「……かしこまりました」
「今日じゃなくても構いませんよ。あなたもお忙しいでしょうし、明日の件で」
「私がいなくても、彼女たちが頑張ってくれるでしょう」
「頼もしいですね。こっそり覗きに行こうと思ってます」
「かまいませんが、くれぐれも気を付けて」
「ただの高校生として行くだけです。何ら問題はありませんよ」
「そうですね、では」
「はい、おやすみなさい」
WEBミーティングアプリは、それぞれ退出済みとなった。
◇
――翌8月1日、午後11時58分。
誰にも知られずに、一通のメールが送信された。
差出人は、存在しないはずの“非公式生徒会”。
件名は、たったひと言──「天使メール(八月一日)」
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From:sdfkbbc244tt8g4eeytk_epl@zfgkuiy45.ru.bigining
To:(緒方霞のメールアドレス)
Subject:天使メール(八月一日)
こんばんは緒方霞
こちらは白花学園高等部非公式生徒会です。
七月三十一日をもちまして、堕天使遊戯が終わったことを宣言します。
・癒しの天使 宮姫すず 獲得ポイント:-5 総合ポイント:-47 総評:もっと頑張りましょう
・櫻花の天使 赤城さくら 獲得ポイント:-5 総合ポイント:-98 総評:もっと頑張りましょう
・気ままな天使 高山莉菜 獲得ポイント:-5 総合ポイント:+72 総評:素晴らしい
・月明かりの天使 望月楓 獲得ポイント:-5 総合ポイント:-78 総評:もっと頑張りましょう
・放課後の天使 前園凛 獲得ポイント:-5 総合ポイント:+76 総評:素晴らしい
総評:もっと頑張りましょう
判定:落第
本日のワンポイントアドバイス:五人同時に告白は非常識です。もっと女の子ことを考えましょう。
♡堕天使戯曲 開幕のお知らせ♡
九月一日より、堕天使戯曲を開幕します。
緒方霞と天使同盟十二翼は、強制参加となります。
詳細は追って連絡します。
また、堕天使戯曲開幕に伴い、一部ルールが変更となります。
緒方霞は癒しの天使、櫻花の天使、気ままな天使、月明かりの天使、放課後の天使と協力して堕天使戯曲を演じてください。
戯曲が美しい旋律を奏でれば、セカイはあなたたちを祝福するでしょう。
目標が達せられない場合、あなたは大切なものを失います。
それでは楽しい学園ライフを!
※このメールは自動生成されています。
本メールに関するお問い合わせは受け付けておりません。
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……遠くで、何かが聞こえた気がした。
「○△、まだ起きてたの? 明日も早いから早く寝なさい」
「ごめんね、×△。軽くストレッチしてから寝るよ」
「そう、あまり遅くならないようにね、おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
ドアの閉まる音が、静かに部屋に響いた。
これが、堕天使遊戯の終わりであり、
同時に──堕天使戯曲の、静かな開幕だった。
~~第一章 堕天使遊戯編 終幕~~
お越しいただき誠にありがとうございます。
本日夜にあとがきと番外編2話を投稿後、完結フラグを立てる予定です。
ぜひ最後までお付き合いください!




