表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
優しいだけの嘘つきは今日もラブコメを演じる ~幼馴染、義妹、婚約者、金髪碧眼、親友に迫られてます! 俺? ごくごく普通の陰キャモブですが……  作者: なつの夕凪
~第一章 天使同盟編~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/258

第25羽♡ 堕天使遊戯


 今日のノルマを終え、公園を後にした俺と宮姫は、夜道を歩きながら話をする。


「前園のことだけど……俺から先にいいか?」

「どうぞ」


「宮姫と前園は元々親友同士なんだよな。どうして距離を取ろうとするんだ?」


 前から気になっている。

 今日もそうだったけど前園が宮姫に話しかけると宮姫は避ける。

 

 中等部時代ふたりはとても仲が良かったらしい。

 でも俺が高等部に入学してからはふたりが楽しそうに話しているところを一度も見ていない。

 

「ボタンの掛け違いみたいなものだよ。別に喧嘩してるわけじゃないし」

「前園はさっきも寂しそうにしてたぞ」


「今はこうするの一番いいと思ってる、詳しい理由は言えないけど」

「じゃあいつか仲直りするんだな?」


「……それはわからない、勝手なお願いかもしれないけど、お凛ちゃんと出かけるなら絶対に彼女を傷つけないで」


 こんなにも前園の事を気にかけているのにどうして?

 宮姫は誰かとぶつかるタイプではなく、人当たりが良く友達も多い。

 

 高校入学時、知り合いがいなかったリナは宮姫と同じクラスになったことで、かなり世話になったらしい。さくらも同様で宮姫とは上手くやっている。

 

「わかったよ……俺にとっても前園は大切な友達だし変なことは絶対にしない」


 必要以上に宮姫や前園のことに介入することはできない。

 だけど、できれば仲良くしてほしいと思う。

 

「知ってる限りだけどお凛ちゃんが学校の男子とふたりで出かけるのは初めてだよ、校内で知れたら大事件だよ。

 

 もちろん緒方君と出かけること自体、『天使メール』のシナリオに沿った可能性はあるけど」


「……だよな。そう考えるのが自然に思える」


 『天使メール』は白花学園非公式生徒会から天使宛に送られてくるシナリオのようなもので、メールを受け取った天使はシナリオ通りに行動しなければならない。

 

 天使たちは俺と同様、秘密を握られており、背けばバラされてしまうかもしれない。本人の意思と関係なく非公式生徒会に従うしかない。


「でも緒方君が『天使メール』で貰ったシナリオを解決の糸口になるかもしれないし」

「そうだな」


 俺が非公式生徒会から『天使メール』は五月のゴールデンウイーク明け、つまり今年の天使同盟メンバーが発表された日と同じだった。


------------------------


 From:abcababc212tttaaaaaaaaaa@abcabc212.co.bizo

 To:XXXXXXXXXXXXXXXXX@abcabc4444.co.jp

 Subject:天使メール 

 

 こんにちは緒方霞


 こちらは白花学園高等部非公式生徒会です。

 

 おめでとう!


 あなたは明日から始まる堕天使遊戯のメインキャストに選ばれました。

明日から天使たちとの素敵な学園生活が始まります。


 シナリオ:


 七月三十一日までに天使達の傷を塞ぐこと


・癒しの天使 宮姫すず

・櫻花の天使 赤城さくら

・気ままな天使 高山莉菜

・月明かりの天使 望月楓

・放課後の天使 前園凛


期限までに目標が達せられない場合、あなたは大切なものを失います。


 ルール:


・天使たちと非公式生徒会や天使メールについて話をしてはいけない。

・堕天使遊戯について外部に公表してはならない。

・非公式生徒会のシナリオを書き換えてはならない。

・パートナーである癒しの天使と一緒に問題を解決しなければならない。

・癒しの天使と会った日は必ず彼女とキスをしなければならない。


 それでは素晴らしい学園ライフを!


------------

 

 このバカげた「天使メール」だけなら、悪戯だと思い無視していた。

 次に届いた「天使メール」には誰も知るはずのない俺の秘密が書かれており、無視することができなくなった。宮姫も同じだった。


------------


From:abcababc5545tttaaaaaaaaaa@abcabc4322.co.aglc

To:XXXXXXXXXXXXXXXXX

Subject:天使メール 

 

こんにちは宮姫すず


こちらは白花学園高等部非公式生徒会です。


おめでとう!


あなたは明日から始まる堕天使遊戯のキャストに選ばれました。


天使名:癒しの天使


明日から白花学園高等部天使同盟十二天使一翼として素敵な学園生活が始まります。


シナリオ:

 緒方霞と一緒に七月三十一日までに天使達の傷を塞ぐこと


・癒しの天使 宮姫すず

・櫻花の天使 赤城さくら

・気ままな天使 高山莉菜

・月明かりの天使 望月楓

・放課後の天使 前園凛


期限までに目標が達せられない場合、あなたは大切なものを失います。


ルール:


・他の天使たちと天使メールについて話をしてはならない。

・堕天使遊戯について外部に公表してはならない。

・非公式生徒会のシナリオを書き換えてはならない。

・パートナーである緒方霞と一緒に問題を解決しなければならない。

・緒方霞と会った日は必ず彼とキスをしなければならない。


それでは素晴らしい学園ライフを!


------------

 

 今日は六月九日、期限の七月三十一日までは一か月以上時間はある。

 

 今のところ『天使達の傷』が何を指すのか見当も付かない。


 ルールに接触しないように、それとなくリナや楓に気になっていることや悩みがないか聞いてみたことがある。

 

 だけど、ふたりからは事態の解決に繋がるような回答を得ることはできなかった。

 

 それに()使()()()()と言うなら目の前にいる宮姫も『傷』を抱えていることになる。

 

 『堕天使遊戯』が始まってから、宮姫と協力して非公式生徒会に繋がるものがないか色々調べたが、今のところ目ぼしい成果はない。

 

 ひょっとしたら、シナリオを解決するには普段と違うことをしないといけないのかもしれない。

 前園とふたりで出かけることも、何か意味がありそうだ。

 

「ところで本当に前園と出かけても良いんだよな?」

「わたしが止める権利はないよ、緒方君がお凛ちゃんに変なことしないか心配だけど」


「そこは信じてもらうしかない、でも宮姫がどうしても俺のこと信用できないなら出かけるのを止めるよ」

「じゃあこうする……緒方君が今回の件をやり遂げたら緒方君を信用する」


「え~今の段階で信じてくれよ~」

「無理~だって緒方君いつもいやらしいもん」


 一緒に住宅街を歩く宮姫の表情は暗くてよく見えない。

 でも少しだけ笑っているように感じた。

お越しいただき誠にありがとうございます。


お時間がございましたら「いいね」「評価」「誤字修正」「感想」「ご意見」など頂けましたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なつの夕凪の作品
新着更新順
ポイントが高い順
☆バナー作成 コロン様★
― 新着の感想 ―
天使たちの午後 波乱の幕開けの予感……! あちゃー、カスミンのことで脅されているんですね。なら、仕方なし!
キュンキュン♪なストーリですね(*´ω`*) まさか! 謎の指令があるとは!!! 更にストーリが面白くなって来ました(*^^*)
[良い点]  謎がたくさん!  誰がなんのために。  やり方はともかく、天使達を救おうとはしている…のですかね……。  優しいだけの『嘘つき達』  ラストのすずの様子に、どこまでが嘘なのかな、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ