幕間4♡ 百合×百合堕天使お風呂危機一髪!
夜遅くなったため緒方君は宮姫さんを自宅に送っています。
送り狼にならない事を祈りつつ、高山さんと前園さんのマル秘お風呂タイムをお楽しみください。
緒方君が出てこないので三人称となります。
(やっぱり一人で入れば良かった……)
「ふふんふふんふんふんふん~♪」
ご機嫌に鼻歌を歌う前園凜とは逆に一緒に湯船に浸かる高山莉菜は後悔していた。
先日泊まりに来た望月楓のグラマラスな肢体もヤバかったが、凜は楓とは違うヤバさがある。
北欧系ハーフらしい白磁の肌、同年代女子の平均値をはるかに超える豊かな胸、さらにキュッと絞まるウエストはリナよりも細く、それなのにお尻は驚くほど小さい。そしてカモシカのような脚線美。
女子高生の理想がこれでもかと詰め込まれている。しかも現在進行形で成長し続けている。
「ん? どうかした妹ちゃん?」
渋い顔で凜を見ていたのかもしれない。
アイスブルーの澄んだ瞳をぱちくりさせながら莉菜を見つめている。
「……何でもない」
凛の身体に見惚れていたなんて言えるはずもない。宮姫すずが凜に固執するのもわかる。服を脱いでも凜は天使と呼ぶのにふさわしい容貌をしている。
「何でもなくはないよね、ねぇもっとそばにおいでよ」
「いい……暑いし」
「え~いいじゃん、ちょっとだけギュッとさせて、お願い」
「やだ、わたしそろそろ上がるね、凛ちゃんはごゆっくり」
何だか怪しい雰囲気になってきたので莉菜はそそくさと湯船から上がろうとした。
ところが……
「ダメ、逃がさない、えーい」
「わっ!?」
両手を広げた凜は突然莉菜の背中に抱きついてきた。一度は立ち上がった莉菜はジャボーンという大きな音を立てて、再び湯船に浸かる。
「つ・か・ま・え・た♡」
「ちょっと凛ちゃん離して!」
莉菜の背中で柔らかな二つのお山が潰れる。
合わせて何とも言えない女の子の良い香りもする。
同じシャンプーやボディソープを使ったはずなのに凜は何かが違う。
「え~いいじゃん」
「やだ、恥ずかしいし」
「じゃあ止めても良いけど、代わりに今日妹ちゃんがつんけんしている理由を教えて」
いつもは天真爛漫な莉菜だが、数日前から霞に塩対応としか言い様がない態度をとっている。普段の莉菜と霞はベタベタし過ぎているので、ようやく普通の兄妹ぐらいの距離感だが、莉菜の豹変ぶりに義妹もどきマジラブの霞は戸惑っていた。
これらは全て霞攻略のための作戦であり、実際は兄に甘えたい気持ちを必死に抑えている。全ては勝利のためであり、今はまだ塩対応を止めるわけにはいかない。
「つんけんなんてしてない」
「緒方も心配していると思うよ」
「に、兄ちゃんに何か頼まれたの?」
「聞かなくてもわかるよ、だって今日の妹ちゃんずっと変だし」
凜はそう告げる。
実際にはリナの様子を伺って欲しいと霞に頼まれている。
だがそのまま伝えると莉菜がへそを曲げてしまうので余計な事は言わない。
「ねぇそろそろ離れてよ」
「うーん、どうしようかなぁ? やっぱりもう少しだけくっついてようよ」
「無理、のぼせちゃうし」
「そっか……じゃあ仕方ないね」
傍若無人な凜から解放された莉菜は湯船の一番端まで移動して、自身の身体を隠すように両手で覆い、唸り声を挙げて凜を威嚇する。だが凜に効いている様子はない。
「怒った顔もかわいいね、いいなぁこんなかわいい子が妹なんて」
「か、からかわないでほしいのだ!」
「からかってないよ、妹ちゃんもちゃんと成長してるね、特にこの辺とか」
白く長い手はすっと伸びると、莉菜の敏感な部分に触れる。
「ひゃう……だから勝手に触らないで!」
「ねぇ思うんだけどさ、緒方は思ったほどおっぱい派じゃないのかも、おっぱい好きならとっくに楓の圧勝だよね? でもあのふたりは進展しているように見えないんだよね」
「……確かにそうかもしれないけど、はぅっ、だからそこはダメなのだ」
「誰かさんのためにオレ達は日々女を磨いているのに今日も何もないと思うと寂しくない? だからさ今晩はちょっとだけイタズラをしてもいいよね?」
「イタズラって何を?」
「えーと……コショコショ」
誰にも聞かれるはずもないのに凜は莉菜に耳打ちする。
「えぇぇ――!? そ、それはいくら何でもえっち過ぎるのだ!」
「でも緒方の場合、これくらいやらないと響かないよ」
「……そうかもだけど、どうしてもやらないとダメ? 心の準備が」
「さくらや楓ならこのくらいのこと平気でやると思う。そりゃオレだってきついよ、でも二人でなら何とかなるでしょ」
「確かに……よ、よし、わかったのだ」
「ありがとう妹ちゃん、一緒に頑張ろう」
「うん頑張ろう凛ちゃん! ところでさ随分とわたしの身体を弄んでくれたね」
「悪い、あまりにもかわいいからつい」
凜は舌をチョロっと出しておどけて見せる。
ところが……
「許しません、これから復讐させて頂きます、凛ちゃんお覚悟!」
「え?」
小動物のような少女の目つきが突然変わりギラリと光る。
凜は莉菜を侮っていた。身体は小さいが生粋の体育会系で常に鍛えている。瞬間的なパワーなら運動神経抜群の凜を凌駕する。
先ほどまでと打って変わり、今度は莉菜が凜に襲い掛かる。
「ちょ、ちょっと待って妹ちゃん! そこはすずすけにも触らせてないから」
「ほう……ではすずとふたりの時は何をどうしているのか話しなさい」
「別に何にもしてない……あん……ダメっ」
「嘘を申すでない、何ならそのボディに直接聞いても良いけどどうする? ほれほれほれ」
「あっ……そんなに強く触っちゃダメだから、わ、わかった、話す、話すからもう止めて! あうっ!」
莉菜に逆襲された凜はあっけなく崩れ落ちる。
(ぐっ……ダメだ、身体に力が入らない……まさかあの妹ちゃんがこれほど手強いとは……無念)
「ふっ口ほどにもない、さて……面白そうだし凛ちゃんの言う通りちょっとだけ兄ちゃんにイタズラでもしようかね、ぐふふふっ」
今宵、楽しいお泊り会は背徳の宴となる。
そう遠くない未来で生贄になる哀れなお兄ちゃんはまだ何も知らない。
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