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優しいだけの嘘つきは今日もラブコメを演じる ~幼馴染、義妹、婚約者、金髪碧眼、親友に迫られてます! 俺? ごくごく普通の陰キャモブですが……  作者: なつの夕凪
~第一章 天使同盟編~

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第194羽♡ 美少女2羽おかわり?

 

 ――7月23日火曜日午後9時……。


 問題だらけのカラオケ大会の後、帰宅した俺はさくらに電話しドタバタだった今日一日の出来事を報告していた。

 

 「つまりカラオケ大会が荒れたのは全てダーリンが悪いと」

 「まぁそう思っている」

 

 「聞いた話からだと必ずしもダーリンだけが悪いとは思わない、もっと上手い切り抜け方があったかもしれないけど、後出しじゃんけんと同じで過去の事はどうとでも言えるわ」

 

 「あの……怒ってません?」

 「望月さんはカラオケに誘ったのに、わたしには声を掛けなかったことにかしら?」

 

 「はい」

 「面白くはないわね、でもダーリンの場合、常に誰かしら女の子と一緒にいるのが当たり前で、いちいち腹を立てたら切りがないわ」

 

 女子高生と言うより会社経営者らしい冷静で現実的な思考だ、それとも人として器がデカいのか。いや多分両方だ。


 恐らくさくらは普段から俺のことで見て見ぬふりをしてくれているのだろう。

  

 カラオケ大会のことを黙っていたら後で怒られると思い、慌てて電話した俺とは大違いだ。


 俺はフィアンセ様にはいつも苦労かけている。

  

 「……ごめん」

 「別に謝って欲しいわけじゃない、何も言わないと年単位で音信不通になるダーリンが、こうして連絡してきただけでもマシかしら」

 

 「中学のことまだ怒っている?」

 「もちろんよ、一生許さないわ」

 

 小学校六年の夏から中三の夏までの三年間、同じ東京に住んでいたにも関わらず一度も会いに行かなかったことは許してくれないらしい。別に会いたくなかったわけではなく、何となく恥ずかしくて会いづらかっただけなんだけど。 

 

 「どうしたら許してくれる?」

 「それは自分で考えて欲しいわね。それでダーリンが話したかったのは明日凜さんが家に泊まることと今日のカラオケ大会のことだけでいいかしら?」

  

 「あぁ」

 

 下宿先選考のため前園が明日家に泊ることは、リナと親父がいるからさくらとしては問題ないらしい。ただ我が家の保護者は前園が泊まりに来ても恐らく姿を見せないだろうからいないに等しい。でも話のこじれるような余計な事は俺も敢えて言わない。

  

 「わたしからも連絡事項があるのだけど、いいかしら?」

 「ん?」

 

 「二学期からダーリンに監視をつけさせてもらうわ、ふたりほど」

 「何で? しかもふたりって多くない!?」

  

 「お祖父様の誕生日会で親族にはダーリンがわたしのフィアンセであることを喧伝けんでんしたでしょ、親族連中は緒方霞がいずれ自分たちの障害になると認識したはずよ、この先ダーリンの粗探しや言いくるめて味方に引き込もうとするかもしれない」


 「普通の高校生相手にそこまでやるか?」 

 

 「今ある特権が脅かされるとしたら、何をやっても不思議じゃないわね」

 

 現赤城グループ会長である赤城安吾あかぎあんご氏の誕生日会で発生した赤城家の内紛は未だに火がくすぶっているようだ。さくらのフィアンセとして少しだけ首を突っ込んだが、罵詈雑言ばりぞうごんが飛び交うドロドロした世界だった。

 

 「それで監視はいつからでどうやるつもりだ?」

 「休み時間にダーリンを狙う怪しい人間がいないか確認する人間がひとりと、あとバイト先にもひとり付ける」

 

 「あの……緒方霞にプライバシーは無いのでしょうか?」

 「もちろんあるわよ、トイレとか更衣室では」

 

 「それ最低限のプライバシーじゃん!? あと俺の身辺を探るなら普段前園たちが俺のそばにいること自体がまずくないか?」

 

 客観的に見ると俺は婚約者がいながら、楓やリナや前園や宮姫などの複数の女子と親しくしている禄でも無いヤツになる。大スキャンダル発覚で一発アウトでは?


 「今のところは大丈夫かしら、仲が良いのと付き合っているは別よ、例えばダーリンと凜さんが放課後に友人として遊んでいたとしてもわたしが容認していたら浮気にはならないでしょ、もちろん友人の一線を越えれば話は別だけど、()()()()()()

 

 最期の「大丈夫よね?」だけ声色が下がり棘があった。

 

 ぴえん……怖いですさくらたん。 


 「だ、大丈夫です。どうかご安心ください」

 「何でそんな自信なさげに言うの? 何かあったら婚約時の制約に基づき、多額の慰謝料を請求するから肝に銘じて」


 「気を付けます」

 

 さくら基準で、どこまでがセーフでどこからがアウトかわからないが、俺基準ではこれまで友人同士でやらないようなことをした憶えがある。それも一度や二度ではない。


 過ぎた時間は戻らない、以後気を付けよう。


 「監視のふたりとは近々顔合わせの場を設けるからよろしく」

 「……はい」

 

 さくらの提案に渋々応じる。元々俺には拒否権はない。

 

 「かわいいから変な気を起こさないように」

 「えっ!? 女の子?」

 

 「用があるから切るわね、ごきげんよう」

 「ちょっと待てさくら! あっ」

 

 ……通話は切れていた。

 

 やれやれ、また面倒事が増えた。

 

 二学期から俺を監視する女子を仮にA子とB子としよう。

 

 学校の休み時間はA子が監視、バイト先ではB子が監視、週数回の女子サッカー部の手伝いでは、さくら自ら俺を監視。

 

 これすなわち自宅以外は全て監視の目が光っているってことでは?

 

 A子は本当に学園の中だけだよね!?

 B子はバイトが終わったら、家まで着いてきたりしないよね!?

 

 監視しても良いけど、さくらが危惧するような刺客は本当に来るのだろうか。


 二度と来ない青春アオハルの日々を無為に浪費する陰キャを見たら、何もせずいなくなるのでは?

 

 ……そう言えばA子とB子はかわいいって言ったな。

 

 少しだけ気になる。


 以前、監視対象と監視をしていた探偵が恋に落ちる映画を見たことがある。極限状態ではつり橋効果で一気に進展することがあるらしい。

 

 俺とA子またはB子が極限状態になり何かあったらどうする?

 その場のノリで行く着くところまで行ってしまったら?

 

 なんて……絶対にないな。

 

 さくらは絶対に間違いが起きない人物を選んでいるはずだ。

 

 それどころかA子ないしB子をうっかりよこしまな目で見たことがバレて、さくらに報告されたら大変だ。

 

 くれぐれも気を付けるようにしよう。

 

 俺は後日、A子とB子に会うことにある。

 5人の天使とは違う立ち位置のふたりに散々苦しめられる事になる。


お越しいただき誠にありがとうございます。


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 あとが怖いというのもわかるのですが。  頑張ったカスミには拍手を送りたいです。  よく話しましたね……。  さくらは締めるところはきちんと、という感じですが。なんとなく、追い詰めきることはできなさ…
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