表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
優しいだけの嘘つきは今日もラブコメを演じる ~幼馴染、義妹、婚約者、金髪碧眼、親友に迫られてます! 俺? ごくごく普通の陰キャモブですが……  作者: なつの夕凪
~第一章 天使同盟編~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

201/260

第190羽♡ 追憶と懺悔とコスプレと

 

 今日はよくわからないことが色々あった。


 あり過ぎて頭の中の整理が追い付かなくなってきた。


 午前中は蒸し暑い学園の部室棟で広田と風見さんの作った辛口カレーを食べた。


 その後、経堂に移動してアイドル活動の自主練のため一人カラオケをすることにした。

 

 途中で楓を呼んで二人カラオケとなった後、バイトを終えた加恋さんと葵ちゃんが合流することになった。


 葵ちゃんに男だとバレないよう慌ててカスミからカスミンに変わり、服も男子の夏用制服から婦警さんコスに着替えカラオケルームに戻った。すると加恋さんと葵ちゃんだけでなく、宮姫と前園も来ていた。

 

 わたしと女の子五人の計六人でカラオケ。

 

 一人では広いと思ったカラオケルームも六人だと席はぎゅうぎゅう。

 

 カラオケ対決することになり、後から来た四人もコスプレすると言いだし、現在着替えて戻ってくるのを楓とふたりで待っている。

 

 ……やっぱりよくわからない。

 何でこうなったのだろう。

 

 「ねぇカスミ、あ、ごめん()()()()制服、良く似合うね」

 

 深紅のチャイナドレス姿の楓が話しかけてくる。わたしに合わせてコスプレしてくれたけど、出るところがしっかり出ている楓がチャイナドレスを着ると見てる方が恥ずかしくなる。


 「ありがとう……でもスカート丈が短くてちょっと不安かも」

 

 今履いているスカート丈はバイト先の夏ユニフォームよりは長い。


 バイトの時はスカートの下にいつも短パンを履いている。でも今日はカスミンになる予定がなかったから履いていない。何かの拍子に男物のボクサーパンツが見えてしまわないか心配。

   

 「ごめんね、衣装が沢山あったから何を選んで良いかわからなくて」

 

 「受付カウンターにはハンガーラックなかったよね? どこに衣装あるの?」

 

 「カウンターから廊下に進むと一番手前の部屋が衣裳部屋になっているの、中に試着ルームも完備してるよ」

 

 コスプレ衣装に気合を入れ過ぎでは……それともこの店ではコスプレをするのが普通なの?

 

 事実はわからないけど恐るべしカラオケ来て味噌経堂店。

  

 「楓のチャイナドレスも良く似合ってる、かわいい」

 「良かった。こういう衣装を着たことないから不安で」

 

 ……ん?

 

 先日の勉強会でメイド服から始まり、ナース服、スク水と激しいコスプレ姿をわたしに見せつけたよね?


 楓の中ではあの出来事は無かった事になっているの?


 「カスミとは別にカスミンという別の女の子がいるみたい。クラスにいたら男子にモテそう」


 「それはないよ。男子苦手だし」

 

 「苦手なんだぁ。じゃあ中学の頃、一人だったわたしをカスミが助けてくれたみたいにカスミンが困ってたら、今度はわたしが助けるね」


 「ありがとう、でもカスミンで学園に行くことはないから大丈夫かな」

 「それもそうだね」


 「でも……もしそんな日が来たら保育園の頃みたいに、わたしの背中を押してくれたら嬉しい」


 保育園の卒園半年前に入園した楓ちゃんは、内気だったわたしやすーちゃんと違い、男の子よりも強くてカッコいいスーパーヒーローだった。それから中学入学まで六年間会えなかったけど、楓ちゃんのことはしっかり憶えていた。

 

 「わたしは何もしていないよ。むしろふたりを踏みにじっている」

 「えっ?」

 

 楓はそう告げると申し訳なさそうに顔を背けた。 


 ……ねぇ、それはどういう意味?


 質問する間もなく、着替え終えた加恋さん達が戻って来た。

 

 「お待たせ~カスミン、楓、見て見てあたしたちの麗しい姿を!」

 

 楓と話している途中で、コスプレ衣装に着替え終わった四人が帰って来た。

 

 「白花学園高等部望月加恋()()()でーす。現在イケメンで誠実でお金持ちの彼氏募集中です……ひっく」


 「加恋さんJKコスプレですね。とても似合ってます」


 白のブラウス、紺のプリーツスカート、赤のリボンタイ。いかにもコスプレ用と言った感じであまり個性のない制服だけど、モデルが良いからか輝いて見える。


 加恋さんは高等部を卒業してまだ二年も経ってない。

 制服を着てたら十分に高校生に見える。


 ……だけど酒臭が全てを台無ししている。

 あぁ勿体ない。


 「ちょっと待てよカスミン? 何で棒読みで言うんだよ?」

 「16歳というのはさすがに……」


 「言われなくてもわかってるよ! そもそも15歳のカスミンや葵ちゃんと一緒に、20歳(はたち)のあたしがアイドルやってるのだって、キツいなぁと思いながらも日々頑張ってるわけよ、そんな健気な加恋ちゃんに、まだ現役JKで十分いけますよ! 萌え萌えキュン♡ と言うのが江戸っ子の人情ってもんじゃないかい?」


 ……江戸っ子の人情ってなんか違う気がする。


 「加恋さん、どこからどう見ても現役JKです。えーと萌え萌えキュン」


 「ちょ、待てよ! 全然言葉に力がこもってないよ、萌え萌えキュンの時はちゃんと両手でハート作れ! あと年長者を常にいたわれ! ひっく」


 なんか面倒くさい……酔っぱらいの相手はほどほどしておこう。


 「宮姫はアリスか……これは」

 

 ――やばい。

 凄く似合っている。

  

 空色のワンピースに、白のエプロンドレス、黒のリボンに金髪のウィック姿は清楚感があり、小顔の宮姫にはぴったりだ。

 

 「恥ずかしいからあんまり見ないで」

 

 プイと横を向いてしまうけど……その仕草も拗ねた少女の様でかわいらしい。

 宮姫なら赤ずきんちゃんとかシンデレラのコスプレとかも似合いそう。


 「カスミン、オレはどうかな?」

 「前園はすごくカッコいい」


 中世ヨーロッパ風の紫の執事服を着こなし、薄い金髪の髪は後ろで束ねている。


 学園中の女子がときめいてしまうのもわかる。

 あのアイスブルーの深い瞳に吸い込まれそう。


 「良かった、今日はかわいい子がいっぱいいるから、男装にしてみた」

 

 いつものようにくったくのない笑みを浮かべる。

 イケメンはいつどんな姿でもイケメンらしい。

 

 エルフ系美少女にして最強イケメンの前園凛……勝てる人間はこの世にいるの?

 

 「……最後に葵ちゃんだけど、何それ?」


 「カスミン先輩が、わたしに対する不埒ふらちな願望を具現化してみました」

 

 「そんなこと思ってないから! 全然思ってないよ!」

 「またまた……先輩もっと自分に素直になりましょうよ~ほら、かわいいでしょ?」

 

 「……かわいいとは思う」

 「どの辺がですか? 教えてください」

 

 「そ、それは言えない」


 「やっぱりお尻ですか? かがむと下着が見えちゃわないか心配になりますね、宜しければ先輩も一緒に着ます?」

 

 「えっえ!? わ、わたしはいいよ、この格好のままで」


 際どい婦警さんコスプレも十分に恥ずかしい。

 でも白の体操服に紺のブルマなんて絶対にあり得ない!


 「そうですか、先輩とお揃いが良かったのに残念です」


 ……いくらカスミンでもブルマは無理。


 コスプレした5人はそれぞれかわいいけど、インパクトだけなら葵ちゃんの体操服が一番強烈だった。


 なんで体操服とブルマまで置いてるの?

 恐らく需要があるってことだよね。


 あれこれ考えるとなんか怖い……

お越しいただき誠にありがとうございます。


お時間がございましたら「ブックマーク」「いいね」「評価」「誤字修正」「感想」「ご意見」など頂けましたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なつの夕凪の作品
新着更新順
ポイントが高い順
☆バナー作成 コロン様★
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ