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優しいだけの嘘つきは今日もラブコメを演じる ~幼馴染、義妹、婚約者、金髪碧眼、親友に迫られてます! 俺? ごくごく普通の陰キャモブですが……  作者: なつの夕凪
~第一章 天使同盟編~

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第189羽♡ 男の娘1人÷(天使3羽+小悪魔2羽)=戦闘?


 トイレから婦警さんコスプレに着替えて戻ると、バイト上がりの加恋さんと葵ちゃんだけでなく、なぜか前園と宮姫までいた。


 「ちょっと、おが……じゃなかったカスミンなんて破廉恥な格好してるの? 今すぐ地上から消滅して!」


 「宮姫……開口一番から酷くない?」

 

 いつものようにばい菌でも見るような視線でわたしを罵る。

 どうやら宮姫はわたしが霞だろうとカスミンだろうと変わらないみたいだ。

     

 「酷いですねぇ、胸のない先輩が勇気を出して際どいコスプレをしているというのに」


 「葵ちゃんそれフォローになってないから、胸のことは言わないで!」

 

 胸なんてあるわけない。

 もともと男の子だし……。

 

 あぁ――やっぱり豊胸パットが欲しい。

 

 でもあれこれ理由を付けてカスミが買わせてくれない。

 

 バイト代のほとんどはわたし(カスミン)が稼いでるのに!

 

 「ようようネーちゃん随分かわいい格好してるな、ちょっとスカートの中も見せてみろよ」


 「ちょちょっと凛ちゃん! やめて」

 

 なぜかヤンキー化した前園が楓のチャイナドレスのスカートをめくろうとする。

 女の子同士だからセーフなのか? 

   

 「ふ~右も左も美少女だらけや……眼福じゃのうカスミン、ひっく」


 移動中にどこかで一杯やってきたらしい加恋さんがオッサンみたいなことを言う。

 

 最近バイト時間以外はいつもアルコールが入っている気がする。

 

 大人ってお酒飲まないとやってられないほど辛いのかな……。

 いや、加恋さんが酒好きなだけか。


 「他人事みたいに言ってないで皆を止めてください! あと、どうして前園と宮姫がここにいるんですか?」

 

 「あたしゃ知らんよ。カスミンが呼んだんじゃないの? カラ味噌の外にいたから連れてきただけよ~」

 

 えっ?

 どういうこと?


 「さっきオレと電話した時、一人カラオケしてるって言ってただろ? すずすけと相談して、じゃあ押し掛けちゃおうって、てか楓このパンツ、マジ? こんなのオレ持ってない」

 

 「凛ちゃんやめて! 言わないで!」

 

 あぁそういう事か。

 通話中、経堂で一人カラオケしていると言ったかもしれない。

 

 でも来るなら事前に一言連絡が欲しい。

 

 一人カラオケがいつの間にか六人カラオケになってしまったし。

 

 ……って呑気な事を考えている場合じゃない。

 楓がピンチだ!

  

 「加恋さん、妹さんが大変な事になってますよ!? 早く助けてあげてください!」


 「いや~女子同士のソフトパイタッチとパンツ確認はスキンシップ範囲でしょ。前園さんあたしが許す、もっとやれ」

 

 「了解です望月先輩、というわけだ楓、観念しろ」

 「いやぁーー!」

 

 ちょっと! 

 加恋さん何言ってるの!?

 

 誰も頼りにならないならわたしが楓を助けるしかない!

 

 「やめて前園!」

 「……いいよカスミン、代わりにえっちぃ恰好の楓と、ここで何をしてたのか教えて」

 

 「アイドル活動のための自主練だけど」

 「楓、それは本当?」

 

 「うん、ちょっとでも練習した方が良いよねってそれで」

 「それはすまない楓、あとパンツのことは黙っておく」

 

 「凛ちゃん!? それ言ってるの同じだよぉ」

 

 楓の悲痛な叫びがむなしく響く。

 はたして深紅のスカートの向こうにはどんな秘密が!?

  

 「お凛ちゃん……楓ちゃんに何をしているの?」

 

 ブチ切れモードの宮姫が前園を睨む。

 それを見た前園がタジタジになる。

 

 「すずすけ……ま、まぁ待て落ち着こう、楓があまりにもかわいいから勝手に身体が動いた――ってイタタタっ! 背中つねるの止めろって!」

 

 保護者宮姫がヤンチャな前園にお仕置きする。

 今日も今日とてふたりの仲は良い。

 

 でも……宮姫に会ったらわたしは()()()をしないといけない。

 

 これだけ人がいるとふたりきりになるタイミングは難しい。

 

 どうしよう……


 「は~い加恋さん教えてください。カスミン先輩の回りには百合の花が何本咲いているんですか?」


 「あたしもわかんないけど多分全方位で咲き乱れてるんじゃん? そこの前園さんと宮姫さんは『姫園のふたり』と呼ばれる白花うちの名物カップルだよん」

 

 「「カップルじゃありません!!」」

 

 葵ちゃんへの回答を『姫園のふたり』が即座に否定した。


 「すごい、息ピッタリですね」

 「中等部からの熟年夫婦だからね、熟年って言っても今年で16歳のはずだけど」

 

 正直なところ、ふたりが仲が良すぎて妬けます。

 でも宮姫とわたしは幼馴染で前園とわたしは今、仮カップルだったりで。

 

 わたしたち三人の三角は少し複雑だったりで……。

 

 「で、カスミン先輩は誰が本命なんですか?」

 「お~それ、あたしも気になる~ 教えてカスミン!」

 

 「本命とかないです。皆同級生です!」


 急に白羽の矢が立ったが、即座に否定した。

 そうだ、わたしたちは同級生で間違いない。


 「はぁ……がっかりです先輩」

 「カスミン0点、そりゃないわ」

 

 「えぇ!? 何がいけないんですか?」


 「自分で考えてごらん、まぁこの場に全員いないから答えられないのもわかるけど」

 

 「カスミン先輩には他にも女がいるんですか?」

 「うん。義妹と社長令嬢、どっちもめちゃんこかわいい」

 

 「うわっ!? 先輩はホント罪深いですね」


 「そして今日、かわいいあたしたちもカスミンの毒牙に……しくしく」

 「あ~んカスミン先輩、優しくしてくださいね」

 

 ディ・ドリームの二大悪魔は好き放題いい加減なことを言う。

 お願いだからもう止めて。


 「わたし何もしません!」

 「だってさぁ……残念だね葵ちゃん」

  

 「そうですね加恋さん……まぁ煮え切らない先輩は置いておくとして、アイドル対決の関係者が揃った以上、何も無しって訳にもいかないですよね、前園さん?」

 

 「もちろんだよ……じゃあ早速だけど前哨戦といこうか」

 

 葵ちゃんと前園が突如戦闘モードに突入した。

 女の子ってこんなにもバトル好きなの!?

 

 バトル系少年漫画主人公もびっくりだよ!

 

 みんな仲良くしよ?

 そうだ! 恋バナとかどう?


 ……なんて怖くて言えない。

  

 「では前園さん、前園さん、楓さん、宮姫さんチームとわたし、カスミン先輩、加恋さんの3対3のチーム戦でどうでしょう?」


 「いいよ、勝負の判定方法は?」

 「カラオケの採点機能で……とりあえず全10回戦で勝利の多い方が勝ちです」

 

 「わかった、それで行こう」

 

 「ではまず勝負服に着替えましょう。楓さんとカスミン先輩だけじゃなく全員でコスプレしましょう」


 「なるほど……ルックス対決も込みか」

 

 両者の目からバチバチと火花が散る。

  

 あぁ今すぐ家に帰りたい。

 家でかわいい妹のお世話をしたい……。 

 

 「わたしはアイドル対決に関係ないし応援でいいよね?」


 「ダメだすずすけ、今日のところはオレ達ダイナマイツ・おっぱいシスターズ♡のメンバーとしてがんばれ!」

 

 出たぁーー!

 前園の考えたダサヤバなユニット名。

 そして宮姫の離脱を無理やり止めた。

 

 気に入っているのその名前?

 さくらもダメだって言っていたけど。

 

 「え? なにその名前!? わたし絶対いやっ!」

 「トリプル・おっぱいシスターズ♡は?」

 

 「もっといや! ()()()()ってワード外して!」

 「すずすけはワガママだなぁ……じゃあDEF(デフ)で」

 

 「アルファベット三文字? それなら良いけど語源は?」

 「オレたち三人のおっぱいサイズ」

 

 「ちょっとお凛ちゃん! 何言ってるの!?」


 ……そう言えばわたし、葵ちゃん、加恋さんのユニット名はまだ決まってない。

 店長はいつ教えてくれるのだろう。


 過去の関係者証言より楓はファンタスティックなF、前園はエレガントなE、そして追加データとして宮姫はディープなD……と。

 

 おっと……忘れよう。

 絶対忘れないだろうけど。

お越しいただき誠にありがとうございます。


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 カスミンになるとすっかり女の子ですね。でも豊胸パット、買ったとしたら洗濯するのはカスミですよね……。なんだか切ない映像が浮かびます……。  消去法でバレてしまったすずの……。忘れないにしても、忘れ…
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