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優しいだけの嘘つきは今日もラブコメを演じる ~幼馴染、義妹、婚約者、金髪碧眼、親友に迫られてます! 俺? ごくごく普通の陰キャモブですが……  作者: なつの夕凪
~第一章 天使同盟編~

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第179羽♡ 緒方霞と時任蓮司(上)


 「いらっしゃい()()()()


 「緒方ですよ……夜分遅くにすみません。失礼します」


 ――7月22日月曜日午後9時。

 俺は時任蓮司の家を訪ねた。


  三階建ての大きな家は、時任先輩の母親が著名な漫画家であり、これまでの印税で立てた御殿らしい。なお父親に当たる人物はドラマや映画などの爆破シーンなどの火薬調合する技術者らしく現在は仕事拠点がハリウッドのため、長らく別居生活をしているとのこと。


 玄関から真っすぐ進み、突き当りの仕事部屋らしき机が沢山ある大部屋に通された。普段は漫画家の仕事部屋らしいが丁度の原稿上げたばかりらしく、今は先生を含めて誰もいない。


 ここでアシスタントをしている前園も今日の夕方までは働いていたそうだ。


 「驚いたな……後輩の女の子だと思っていた山田さんが、噂に聞く緒方霞君だったなんて」


 以前さくらとふたりで先輩に会った際、俺はカスミンの姿で山田信子という偽名を名乗った。あの時は緒方霞として会うより、見た目は女の子?のカスミンの方が、先輩も警戒せずに話してくれるかと思ったが、今日は緒方霞として会うしかなく、話をややこしくしたかもしれない。


 「俺の事知ってるんですか?」 


 「君は有名人だからね、高等部入学後わずか数か月で五人の天使を言葉巧みに手なずけたと」


 「……それ全部嘘ですからね」


 「でも仲が良いのは事実だろ?」

 「前園以外の四人は入学前から知り合いですから」


 「凜とはどう仲良くなったのかな?」


 「俺はいつも早めに登校して自席で寝てるんです、すると前園が毎日のようにイタズラに来るですよ。恐らくクラスで浮いてる俺に気を使ってくれてるんだと思います」


 「それは凛らしいね。で、その凜についての話と言うのは?」

 「その前に一つ相談したいことがあります」


 前園には悪いと思うが、蓮司先輩となるべく早く会うために敢えて前園の名前を出した。案の定すぐに会えることとなった。だが蓮司先輩との話のメインは別にある。


 「何かな?」

 「先輩は非公式生徒会をご存知ですよね?」

 

 「あぁもちろん……白花学園高等部に在籍したことがあれば、誰でも一度は必ず耳にするからね」


 「では前園や宮姫が天使同盟に選ばれていることについてどう思いますか?」

 

 「本人達に聞いたわけではないけど、恐らくふたりとも選ばれたのは嬉しいことではないと思うよ。天使同盟というだけで日常が騒がしくなるからね」

 

 「前園のパリ行きについては知ってますよね?」

 「凛とノーラさんからある程度は聞いているからね」

 

 「どう思いますか?」


 「ようやくすずちゃんと和解できたばかりだし、正直なところ少し複雑な想いだよ。このまま高等部卒業までは日本に残って欲しい。だけどこの国では凜の才能が埋もれてしまうかもしれない。以前芸能活動をしていた時も、日本人らしくない容姿で役の使いどころがないと正当に評価されなかったからね。でも国を変えば、凜はもっと伸びる可能性はある。パリに行って再スタートするのは良いと思う」

 

 「先輩は前園のことをとても大切に想っているんですね」

 「もちろんだよ、ずっと妹のように大切にしてきたからね」

 

 「では前園が天使同盟一翼であることで、不利益を被ることは何としても避けたいですよね」


 「そうだが天使同盟に選ばれたからと言って何か巻き込まれたりすることはないよ」

 

 「表上はそうですね」

 「ん? 最近、何か事件でもあったのかな?」

 

 「ないです。皆が知っている限りでは……」

 「気になる言い方だね」

 

 「()()()()()()()()()()()()()()ですよ。非公式生徒会が起こした事件は、無かったことになります。また事件に巻き込まれた天使も口を割ることはありません、恐らく不利益があるからでしょう」

 

 未明に見つけた掲示板のスレッドを保存したものをスマホで先輩に見せる。先輩は一通り熟読した後、溜まっていた息を吐き終え呟く。

 

 「驚いた。こんなものがあるなんて……だけど書いたのはボクではないよ」


 「俺も最初は先輩がコメ主だとは思いませんでした。だけど幾つかの痕跡や証言を重ねていくと、これを書いたのは先輩しかいないというのが結論です。ちなみにこのスレッドはコメ主も質問側も全部一人の人間で書かれています。様は自作自演ですね」

 

 「ボクがこのスレッドのコメ主だという理由を聞かせてもらえるかな?」

 

 時任先輩は、静かだが射貫くような鋭い視線を俺に向けてくる……

お越しいただき誠にありがとうございます。


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