表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
優しいだけの嘘つきは今日もラブコメを演じる ~幼馴染、義妹、婚約者、金髪碧眼、親友に迫られてます! 俺? ごくごく普通の陰キャモブですが……  作者: なつの夕凪
~第一章 天使同盟編~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

135/258

第127羽♡ はじめての夫婦ライフ(#17 誕生日会という名の戦 その1)


 空気が重い……

 

 こんなギスギスした誕生日会は始めてだ。

 

 参加している赤城家親族の人たちはみな笑顔を浮かべ、一見和やかそうに見える。

 

 だが俺とさくらが彼らに挨拶に行くと、明らかに見下した視線を向け、中には横柄な態度を見せる人までいる。

 

 面白くはないが、どこの馬の骨ともわからない俺にそうした態度を向けるのは百歩譲って仕方ないのかもない。

 

 だが本家の長女であるさくらにも同様の態度をとるのは明らかに異常だ。


 

 7月15日日曜日午後1時過ぎ――

 赤城家本館一階にある大広間で誕生日会は行われている。

 

 誕生日会の主役である先代赤城グループ代表で、現在は会長の赤城安吾(あんご)氏は今日で63歳になるらしい。

 

 髪の毛には多少白髪が混じっているが、体格はがっちりしており肌艶はだつやも良く実年齢より若々しい。

 

 大広間中央に設置されたテーブル席に一人陣取り、親族達は挨拶と共にプレゼントを渡すため列を作っている。

 

 だが遠くから見ていると今日の主役は全く笑っていないこと、親族達が張り付いた笑顔を浮かべ、こびへつらっているのがよくわかる。


 また身振り手振りも合わせ大袈裟に安吾氏を持ち上げてる人もいるが、その言葉は全く心がこもっていない。

 

 「ごめんなさいね……毎年こんな感じなの。でもあんまり難しい顔はしないよう気を付けて」

 

 「あ、ごめん」

 

 辺りに聞こえない様にさくらが小声をかけてくる。

 どうも顔に出てしまっていたらしい。気を付けないといけない。

 

 赤城家がギスギスしている理由は30年ほど前にさかのぼる。

 

 安吾氏は三兄弟の三男であり、本来は家督やグループ代表を継ぐ立場ではなかった。

 

 しかし安吾氏と歳の離れた長男には商才がなく、次男も同様だった。また会社や従業員に対し真摯でもなかった。


 1990年代初頭、長男と次男は会社資金を不正流用し私腹を肥やすための投資に当てた。結果、これらの投資はバブル崩壊の際に、そのほとんどが焦げ付き、赤城グループに多額の負債を招いた。

 

 この事件は世間に明るみとなり、グループの株価は暴落し、社会的信用も失墜した。


 事態を重く見た当時の当主は、責任を取り赤城グループ代表を退任し、決定権のない会長職となり、長男、次男は重役を退任するだけなくグループからも追放となった。

 

 そして当時赤城グループとは関係のない大手銀行で働いていた安吾氏は急遽赤城グループの後継者としてグループ代表と家督を継ぐこととなった。

 

 その後、安吾氏は長男、次男勢力が要職を独占していた時代にくすぶっていた社員たちと力を合わせ、会社を立て直し赤城グループは以前よりも大きな企業体として再生した。

 

 一方で追放した長男、次男には赤城家から生涯生活に困らない程度に支援を続けた。また、その近親者には、事件後しばらく経った後に、希望があれば赤城グループ内での仕事に復帰させた。

 

 だが年月が経とうと長男と次男は反省することはなく、その近親者達も同様であった。長男と次男が亡くなった後は、ますます横暴になり当たり前の様にグループ内での厚遇対応と重要ポストを要求してきた。


 応じない場合は、犯罪まがいな事を匂わせてくることもあったとのこと。


 「さて……カスミ君わたしたちの番よ」

 「あ、あぁ」


 誕生日会参加者のプレゼント渡しが一通り終わり、俺とさくらが渡す番がようやく回ってきた。

 

 俺たちは白花学園高等部の制服を着て誕生日会に出席している。

 

 他の親族達は、年齢問わず、男性はタキシード又は高級ブランドのスーツ、女性はパーティ用のドレスか着物だが、さくらが言うには()()()()()()()()()()()()()で着飾るのはおかしいとのこと。

 

 俺たちは白花学園高等部の制服で出席している。


 誕生日会の前にさくらが『制服以上にわたしたちに相応しい服はない』と言っていた時は疑問だったが、今は俺も制服で良かったと思う。

 

 着慣れていて落ち着くし、制服だと巨悪と戦う学園バトルアニメみたいで何だか燃えてくる。

 

 こんな状況でも、余裕すら感じるフィアンセと共に赤城家のラスボス?安吾氏の元へと進む。

お越しいただき誠にありがとうございます。


お時間がございましたら「ブックマーク」「いいね」「評価」「誤字修正」「感想」「ご意見」など頂けましたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なつの夕凪の作品
新着更新順
ポイントが高い順
☆バナー作成 コロン様★
― 新着の感想 ―
[良い点]  さくらの周りは色々と……。  本来ならこの年齢の子どもが知ることではない内容も、既に働いている彼女にとっては知らねばならぬこと、なのですね。  これだけ優秀なさくら。  さくらが受け入…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ