イベント終了
ロングハースト家のある地域の祭りも、それはもう盛大に行われた。
当然、みんなから歓待された。
ロングハースト家の名料理人キャシーや手伝いのレディたちの料理は、控えめに言っても美味すぎた。しかも、大量すぎた。ついつい食べすぎたり飲みすぎたりした。
それはそうよね?
だって、勧められて断るってことが出来るわけはない。
というわけで、さらに太った説が横行することに。
男性は、レディの微妙な心情がわからない。だから、平気で口に出す。
そんないわれのない誹謗中傷は、気がつかないとかきこえないふりをしてかわすことにした。あるいは、心も耳も閉ざした。
そんなふうにして、この地域でも楽しくすごすことが出来た。
バートと彼の愛する人を送ってくれたロングハースト家の使用人が戻ってきた際、直接お礼を伝えた。それから、彼にバートとその愛する人の様子を尋ねた。
「彼らを無事送り届けましたが、ずいぶんと横柄な態度でクリスさんに接していました。あの髭の太っちょは『おれは、領主だぞ』などと言っていましたが、いいのですか?」
「ごめんなさいね。あなたもずいぶんと言われたでしょう? あの人、領主を夢見る楽天家さんみたいだから。残念な人だと思って許してあげて。それよりも、クリスに手紙を渡してくれた?」
「アミ様、もちろんです」
今回、留守番をしてくれているカニンガム公爵家の管理人のクリスは、わたしが戻るまでバートと彼の愛する人をうまくあしらってくれるはず。
「アミ、よかったのか? ポールとダイアンから話はきいていたが……。あれほどひどいとはな」
「あなた、ひどいなんてものではありませんわ。ポールとダイアンの決断は、正しくて適切でしたわね。つくづく感じました」
「ああ、ハニー。英断と言ってもいいだろう。カニンガム公爵家にとってだけではない。この公爵領のすべての領民にとってもだ」
ジョニーとローラの会話をききながら、わたしも同意せずにはいられない。
「このあと、ウィロビー村の祭りに参加して明日戻る予定にしています」
「いよいよか。アミ、彼はこちらに向かっているのか?」
「ええ、ジョニー。すべてが滞りなく終わったそうです。舞踏会や宴に誘われたそうですが、うまく断って出立したということです」
「アミ、楽しみだわ。わたしたちも、明日うかがうわね。もちろん、キャリーも同道してもらうから」
「ああ。彼に彼女の料理を食ってもらって、こんな田舎臭いところでもイケてるというところを実感してもらうんだ」
「ローラ、ジョニー、ありがとうございます。心から感謝します」
ジョニーとローラとハグをしあい、ロングハースト家をあとにした。
そうして、最後の訪問地でも大歓迎されたとともにもれなく太らされてしまい、ようやく今年のイベントのひとつが終了した。
無事、カニンガム公爵家への帰途についた。