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久しぶりの寂しさ
⑤
今週、達也は、毎日、百合のもとへ通った。
百合の店は、土日が定休日なので、平日は毎日通えた。
土日は、達也も自分の家に帰らないといけない。定休日と合い、ちょうどよかった。
百合は、いつも穏やかに優しく、達也を迎え入れた。
ある日、達也は百合に話の流れで、自分が単身赴任なことを話した。
百合は聞こえていたのかいないのか分からない仕草をしていた。
金曜日になった。達也は、来週までの日々が遥か遠くに感じ、寂しい気持ちになった。
「土日は百合さんの料理を食べれないな‥」
思わず、百合の前で呟いた。
「坂本さん、土日は家に帰られるのですよね」
「そうだね、また来週来るよ」
「長いですね、来週まで」
百合は達也から顔を逸らした。
達也は、百合の顔を見たが、百合は顔を合わせない。
「ごちそうさまでした」
達也は、代金をテーブルに置いた。
店を出ると、弟が遠くでチラシを配っていた。