週末
③
達也は、週末、家に帰り、早速、大学時代の写真を探した。
しかし、見つからなかった。
台所で夕飯の準備をしている妻の麻美に聞いてみた。
「俺の大学時代の写真はどこにある?」
「確か、2階のタンスの奥じゃないかしら。どうかしたの」
「いや、取引先の人が同じ大学と言ってたので、もしかして写っているかなと思ってさ」
達也はヒヤヒヤしたが、顔に出さないように気をつけた。
麻美は、それ以上聞いてこなかった。
キャベツを千切りするのに集中している。
それと、あまり興味がないのだろう。
達也は、2階に上がり、タンスを探った。
すぐに、写真が数十枚、バラバラと出てきた。
懐かしいな、この頃は楽しいことだけだったと思いにふけりながら、見ていった。
一枚一枚とじっくりと見ていった。
最後の一枚になった。
それは、達也が友人達と校内の広場でガッツポーズをしている写真だった。
その写真は、達也達がポーズしている後ろに、たまたまチアリーダーが沢山いて、皆で肩を組んでいるのが遠くに見える。
達也は、麻美がチアリーダーだったことを思い出し、再び見ると、麻美が小さく写っていた。
そして、達也は目を疑った。
麻美の横に百合が写っている。
麻美と肩を組んでいる。
チアリーダーで百合と麻美は一緒だったのか。