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いつかの日  作者: T2
2/22

翌日も

②  

 アパートに帰り、達也は昔の写真を探した。

 そういえば、こっちには持ってこなかったな、自宅だな、週末に帰ったとき探そう。 

    

 翌日、達也は仕事終わりに、百合の店に行こうと思った。

 食事がとても美味しいこともあるが、百合に会いたい気持ちが大きかった。


 連日、お店に行くと、この気持ちに気付かれたら嫌だな。まして、あのチラシ配りにそう思われることは心外だ。

 店の近くで迷っていた。


「あれ、昨日のお兄さんじゃないですか」

 あ、しまった、コイツに見つかってしまった。


「今日もぜひ来てください!」

 また元気に言われた。

「よく俺のこと覚えてたね」

「お客さんはうちの店の初めてのお客さんですよ、忘れるわけないじゃないですか」


 相変わらず、コイツ調子がいいな、でも、コイツに誘われたからお店に行ける理由がたつな。

「席、空いてるかな」

「大丈夫ですよ」

 

 今日も一番乗りだった。


「いらっしゃいませ」百合の声だ。

「あら、こんにちは、今日もいらしてくれてありがとうございます」

 俺のことを覚えていてくれた。

 それだけで、素直に嬉しい気持ちになり、一日の疲れが飛んだ。


 達也は、カウンターに座った。

「今日のオススメをください」

 言ってから気がついた、そんなメニューはないんだ。


「はい、分かりました、少しお待ちくださいね」

「あれ、オススメなんかあったっけ?」

 振り返ると、チラシ配りがいた。

 あ、コイツ、余計なことを言いやがって。


「オススメは今日から入れたのよ、メニュー表には載せてないけどね」

 百合は達也に目配せをした。

 達也は小さな秘密を共有し、天に上がるような気分だった。


 そして、会計は百合がしてくれた。

「お客さん、また、『オススメ』食べにきてくださいね」

 百合は優しく微笑みながら言った。


 店を出たら、あちらにチラシ配りがいた。達也は見つからないように脇を通って行こうとした。


「あ、お客さん、また来てくださいね!」

 しまった、見つかった。

「時間があったらな」

 達也はぶっきらぼうに応えた。


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