表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リレイと不思議な道具達  作者: ペテン師Mark
麗しき人形のシャルロッテ
3/58

リレイの家の魔道具達

「お待ちになって。この壁にある金属のロープと、壁掛けにある鍵を持っていきましょうか」

「えっ、これのこと?」


 リレイは言われた物を取得する。シャルロッテはそれを確認する。


「えぇ、それらよ。なぜ持っていくのかは後で説明するわ」


 リレイは頷くと金属のロープと鍵を持って倉庫を出た。シャルロッテも外へと飛び出す。リレイは倉庫の扉を閉めて鍵を掛けた。そしてはがしていた封印札を貼りなおした。こうすれば中に侵入した事はばれないだろうと。

 リレイは上の階を指差した。


「上の部屋へ行きましょ。今は私の部屋なの」


 リレイがぱたぱたと階段を駆け上がる。シャルロッテは吹き抜けを一気に飛んで移動する。先に自室へ飛び込んだリレイが、金属ロープと鍵を床に下ろした。

 リレイの部屋はベッドと机と本棚とクローゼットがあるシンプルな部屋だった。本棚には沢山の小説が置いてある。


「あら、面白そうな本が沢山あるわね。後で読ませて!」


 シャルロッテは本棚にふわふわと近づいて覗き込んでいる。


「いいよ! 後で感想を交換しようよ。他の人がどんな風に感想を抱くのか気になるから!」


 リレイは本を読むのが好きだった。だから身近に本が好きそうな友達が増えた事を喜んだ。

 と、不意に外が暗くなり出す。太陽の光が失われているかのようだった。


「あらあら、丁度中つ夜の時間なのね」


 シャルロッテが言う中つ夜とは巨大な星の輪が太陽光を遮る為に、昼の間の三十分から一時間ほど暗くなる時間帯の事だ。その間は地表の人々は休憩時間として過ごしている。


「あっと、灯芯に火を灯さなきゃ!」


 リレイが灯り用の油皿に浸った紐に火口箱で火をつける。ぽっと灯りが付き、少女や人形がお互いを視認できるようになった。


「中つ夜の時間ならお布団で昼寝でもすればいいのに」


 シャルロッテはリレイの布団の上にぽんぽんと乗っている。


「寝るのは夜で十分! それよりこのロープと鍵はどうするのか聞いていないわ。何に使うのか教えてよ」


 リレイの興味は謎の道具にあるようだ。シャルロッテは床に下りるとロープと鍵を手に取った。


「この二つが在ればいつでも倉庫の中身は取り出せるの。あそこにある物を寝かせたままにするのはもったいないわ」


 シャルロッテは金属のロープで輪を作った。床の上に置かれた輪の中が水たまりのようになり、やがて鏡のように変わった。


「えっ。なぁに、これ?」


 リレイが不思議な道具に驚く。


「これかしら? これは水鏡のロープと言うのよ。輪を作った中に水で鏡を作り出すのよ。ただそれだけのマジックアイテムなの」


 シャルロッテが得意げに道具を解説する。


「ふぅん。どんな風に使うの?」

「普通の鏡代わりにしか使えないわ。でもね、これも使うと・・・・・・」


 シャルロッテは床の鍵を拾い上げる。そして先端を水鏡に差し込む。水鏡はカチリと音がする。すると鏡は虹色に輝き始めた。


「これはいったいなにかしら?」

「鏡扉の鍵というアイテムよ。これを鏡に使うと、倉庫の中の対になる鏡から出られるゲートに出来るの」


 シャルロッテは水鏡に飛び込んだ。そして懐中時計を拾って戻ってくる。


「うわっ、すごい! うちにこんなものがあったんだ!」

「そうよ。これがあなたのお父さんの所持していた財宝。リキッドは世界中を冒険している探検家で、遺跡の様々なマジックアイテムも集めていたわ。どれも神話級のマジックアイテムよ。この懐中時計なんて、時を止める力があるんだから!」


 シャルロッテが懐中時計をリレイに差し出す。


「へぇー! すごーい! あれ、この時計。針が動いていないね」


 リレイが不思議がると、シャルロッテもあれっと懐中時計を見る。


「ほんとだわ。以前見たときは針が動いていたのに。壊れたのかしら?」


 シャルロッテが懐中時計をかざしたり振ってみたりしている。


「これについてはまたあとで。それよりシャルロッテを私の友達に紹介したいわ!」


 リレイはシャルロッテから懐中時計を取り上げて机の上に置いた。


「あなたのお友達? あたしみたいなのが受け入れられるかしら?」

「ね、中つ夜が明けたら行ってみよう!」

「わかったわ」


 シャルロッテは水鏡のロープを自分の腰へとくるくる巻きつける。そして鏡扉の鍵の壁掛け紐を自分の首にかけた。こうやって持ち運びするつもりのようだ。

 しばらく待つと外が明るくなり始めた。リレイは灯芯の火を吹き消すと、シャルロッテの手を取って部屋を飛び出すのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ