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第1話 洗濯機の空象(くうしょう)

洗濯機がない。


 仕事を終えて帰ってきた僕は違和感をおぼえて、ベランダのスペースを確認する。


 やっぱりない。


「松下製 RW-4645」の空象。

枯れた葉っぱやほこりが、もとあった洗濯機の形を明確にしているだけであった。


 朝出勤し、現時刻である21時までの12時間の間に失踪した洗濯機。


あられ「あなたに対する悪意かな?警察に通報したりしないの?」


坂本「しない。」


あられ「どうして?やけに投げやりじゃない。くやしくないの?何者 かわからない他人の汚れを落とすためにこき使われる坂本くんの洗濯機。」


 僕は、赤いシャツと緑のTシャツが渦に振り回され、それぞれの原形はゆがんで絡まることなく同じ方向にかき乱されてゆくのを想像した。

はじめは赤と緑は別々のものであり、違うものが2つあるかのように見えたのだが、時間の経過につれてそれらは2つであるのか1つであるのかわからないような。

そして、もとはシャツであるかTシャツであるのかがわからない物体にかわってゆくのを想像した。洗濯という行為とは、よごれをおとすことであるが、それだけではないんじゃないかな。僕はふと考えた。

 僕は、過労気味の洗濯機には気の毒だが犯人たちも好きなだけ靴下だとか、帽子だとかについたホコリや髪の毛だとかを落とせばいいと思った。

 ただ…何も入れないでスタートボタンを押すことだけはやめてほしいと祈る。せめて、靴下の片方だけでも入れてやってほしいんだと。

 

坂本「そのうち見つかるよ。」


あられ「そうゆうものなのかなぁ?」


小難しい哲学者みたいな容姿。黒髪の中わけヘアスタイルは、80年

代のトレンドドラマに出てくる役者のようだ。

あられは鼻でフフッと少し笑ったあと、ペンと白い画用紙を取り出した。


あられ「わたしが犯人のモンタージュを書き上げる。」


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