イサム、タイラントオーガにビビります。
オバザと別れを告げた後、バタンと扉が閉まりました。その瞬間僕の奴隷仲間達のほとんどが蜘蛛の子を散らすように逃げていきました。余りの素早さに驚いているとニーサが話しかけてきます。
「意味あるのかなぁ、逃げたところで毎年誰も帰ってこないってことは結局食べられちゃってるだろうし。イサムが仲良くなってもゴミ教官達は権力ないし、あーあここで死ぬのかあ。つまんね〜。」
ニーサ口の悪さがカンストしてるのはともかく、逃げても無駄というのは私も賛成です。とりあえず残ったメンバーで話しでもします。
「ニーサはともかくとしてミト君とナザロさんは逃げなくて良かったのですか。」
顔に大きな火傷跡があるミト君が口を開きます。ちなみに体もめちゃくちゃ大きいです。まだ推定10歳なのにクマくらい大きいです。
「オレタタカイタイ、ケドオレタタカエナイ、ガンジョウナヤツヒツヨウ、イサムオマエイチバンガンジョウ、イイ。」
ミト君は身体の成長に全てを持っていかれたせいか母国語なのにずっとカタコトです。ただそのカタコトの内容がとても恐ろしいのですが。
「ミトのバカはほっときなさいな。私はあなた達といるのが好ましいから残ったのよ。わかるかしら。」
縦巻きロールが足首まであるナザロさんが落ち着いた声色で話しかけてきます。
「ありがとうございます。それでナザロさんはどうしますか。多分タイラントオーガはすぐ来ると思いますが。」
「戦いますわ。前から考えていたのよ。私とミト、ニーサにイサムのスキルを組み合わせれば倒せるかどうかは別としてなんとかなるんじゃないのかしらって。」
ナザロさんのスキルは見たことがありません。どんな作戦なんだろうと考えているとソレは来ました。
空から何かが降ってきました。
ソレはさっきまで僕たちの仲間だった何かを食べていました。
僕たちは動けませんでした。
ソレはこっちを見て話しかけてきました。
「今年は多少楽しい鬼ごっこだった。オマエラで最後だけど鬼ごっこするかい。ソレとも戦ってみるかい。」
3メートルはある巨躯からその声は響いてました。
僕は動けませんでした。声を出したのはニーサでした。
「クソ鬼がよお、なーにお前が試す側みたいな顔してんだよ。逆、逆なの。試されるのはお前だボケ。鬼が鬼ごっことかクソつまんねえことのたまいやがって。気持ち悪いなあ。息も臭そうだし。やる気あるなさっさとカカッテコンカイ。バーカ。」
タイラントオーガは怒髪天になり駆け出しました。
拳を振り上げました。
そしてその拳は僕に飛んできました。ニーサのスキルでしっかりヘイトタンクです。
僕はありえないくらい吹っ飛びました。
そしてミト君が叫ぶます。
「オオオオオオオオオオオオオンンン。」
吹っ飛んだ僕はナザロさんが張った縦巻きロールネットに受け止めてもらいました。
ナザロさんはテンパってる僕に対して言います。
「もう一回。」