136号、イサムと呼ばれています!
136号と名付けられて以降の2年間はオチビトの割には穏やかな生活でした。大きな掘っ立て小屋のような所に僕と同じように売られた子供達が100人ほど一ヶ所に集められ三、四人の保母みたいな人に世話してもらいながら過ごしていました。
もちろん裕福な生活とは言えません。残飯を毎日粗雑に口に流し込まれ、かといって量はそんなに多くなく腹を毎日鳴らしながらギリギリの生活でした。もちろんみんな赤ちゃんですので、身体の弱い子は何人か亡くなってしまいました。そんな子達はみんなどこかにつれられていってしまいました。僕はそんな子達をみて絶対生き残ってやると思いました。
3歳になった頃、みな歩き、多少喋れるようになり訓練が始まりました。
「おらっ、並べ」
黒いローブのようなものを着たフードを目深にかぶっているおっさんが叫びます。
「ほらはやくしろっていってんだろ!」
そういって動きが遅い子を蹴り上げました。
「ぎゃっ!」
肩に213とかかれた女の子がけられた衝撃で吹き飛びます。そんな光景をみて、僕も体は3歳児でも心は正義とコモンセンスをもつ大人です、黙って見過ごすことはできません。
「ぼ、ぼ暴力はダ、ダメだと思います。」
堂々といったつもりが恥ずかしながら言葉は震えてしまいました。
「なんだお前、この俺に楯突くのか?いい度胸じゃねえか。ならこれからは誰かがミスした時、そいつの代わりにお前を殴るとしよう。オラっ!」
そういっておっさんは僕を蹴り上げました。
「っぐっ!」
スキル 拳の友情が発動されました。
脳内に声が響くと同時に気を失いました。
その日は気を失ったあとすぐに水をかけられて無理やり起こされ、おっさんは自分の吐いた言葉通りに誰かがミスするたびに僕を折檻しました。
それから3カ月間、僕は訓練のたびに蹴られ殴られました。それに耐え忍び自分なり努力をしていたわけですが、その3カ月の間に色々と変化が起こりました。
名前 136号
年齢 3才
力 G
体力 F
魔力 G
速さ G
賢さ E
幸運 D
スキル 拳の友情 拳の忍耐
称号 異世界人 拳伝道師 殴られ屋
僕は訓練していたおっさんに楯突いてから殴り蹴られの暴力の耐え続けていました。暴力がされるたびにスキル《拳の友情》が発現されましたが、効果は感じられずにいました。そんな中で唯一の救いは213と肩に刻印された女の子との会話でした。最初に蹴られた日、ご飯を食べていると彼女はトテトテとよってきてこそこそ話しで話しかけてきました。
「さっきはありがとぉ、あのおじさんこわかったからすごくうれしかったよぉ。わたしは213号ていうの。あなたの名前はぁ?」
「僕の名前は136号。213号て言うんだ。呼びにくいし、にい、いち、さんでニーサてこれからよんでいいかい?」
「にーさ、213号よりかわいい。じゃあ136号はいち、さん、ろくでイサムだね。イサムいいなまえ」
「イサムか、ありがとう136号よりずっといいなまえだ。」
「わたしのことにーさでつけてくれたおかえし。それよりイサムは殴られてていたくないの、いつもなぐられててかわいそう。」
「あれは僕が自分の意思でやったことだから大丈夫だよ。ニーサが殴られてる方が僕はみてられないからね。」
「イサムやさしい。じゃあ今度イサムがなぐられたらわたしがいいこいいこしてあげる。」
それから僕は毎日幼児のニーサにいいこいいこしてもらうことになりました。
まぁ毎日いいこいいこされてるってことはその分殴られているのですが。
ただ一ヶ月が過ぎた頃から訓練のおっさんの態度が変わっていきました。
「おい、またミスしたやつがいるぞぉ、136号こい!お仕置きの時間だ。と思ったがもう殴る蹴るは飽きてきた。今日はデコピンだ。」
そういっておっさんは軽く僕にデコピンをして去っていきました。
そして二ヶ月が立つと
「お前ら何やってる!136号こい!今日はこしょこしょしてやろう。」
そういうと僕をしばらくくすぐってニヤニヤしながら去っていきました。
3ヶ月目に入った頃、いつも通りこしょこしょされてると、頭の中で『おっさんとの友情度がマックスになりました。』と鳴り響きました。
これはどういうことだ?と思いましたが、おっさんの明らかな対応の変化から友情度が上がれば上がるほど甘くなっていくようです。
そして友情度がマックスになって以降のおっさんはもうそこらバカ親となんらかわりなくなってました。
「136号ぉ、俺のことすごい尊敬してるっていってみて。」
「おっさんはすごいよ!」
「おっさんじゃない!オバザって名前があるから!はいっ!」
「オバザは見た目によらず力も強くて機敏ですごいよ!」
「くぅぅぅ、元気わくわぁ!」
そして僕はスキルによって3ヶ月でオバザを攻略しました。