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運命の転生劇 ~乙女ゲームの世界へようこそ~  作者: 無乃海
第四幕 『乙女ゲームの始まる直前』編
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72話 いざ、成人の儀へ……

 今回もいつも通り、主人公視点となります。


今回も…婚約者は出て来ません、参加出来ないので。今回は他にも、登場人物や名前が出て来ます。

 「まあまあ!…普段のカノンと違い、成人に相応しい姿ですこと。流石、わたくしの自慢の娘でしてよ。」

 「…ああ、本当に美しすぎるぐらいだ。これほど美しい我が娘に、悪い虫がつかないと良いが…。今日はトキがエスコートできないから、心配だ…。カノン、今日は彼がいないのだから、十分に気をつけるんだよ?」

 「はい、お父様。」


専属侍女のララに支えられ、自室からエントランスに移動を致しますと、既に用意の整ったわたくしの両親が、待たれておられます。わたくしを拝見されると、お母様からは褒め捲られ、お父様からは()()()()()()のご心配を、されましたわ。


……ふう〜。お父様はどうしてこれほど、心配症なのでしょうね?…前世のわたくしのお父様に、そっくりでしてよ。まさか、気の所為ですわよね……


 「カノン姉上!…とってもお綺麗です!…流石、僕の自慢の姉君です!」

 「おねえさま、きれい!…わたくしも、おねえさまみたいになりたい!」

 「…ふふっ。ラル、ミク、褒めてくださって、ありがとうございます。」


両親から少し離れた所で、我が家の使用人達と共に見送るように、2人は立っておりました。わたくしの弟ラル、そして妹ミクですわ。わたくしの着飾った姿に2人揃って、目をキラキラさせておられます。


……ああ。弟と妹の視線が、途轍もなく眩しくて。


平凡な容姿のわたくしとは違い、弟はお父様に似たイケメンですし、妹はお母様に瓜二つの美少女ですわ。尊敬の眼差しを向けられては、わたくしの方が居た堪れませんわね。それでも動揺せずに済んだのは、前世のお嬢様生活にプラス、現在のお嬢様教育の賜物だと思われます。


 「それでは、行って参ります。」


両親とわたくしは、我が家の馬車に乗り込みました。ラルとミクが寂しそうなお顔をされ、後ろ髪を引かれる想いでしたわ。それでも使用人達と、笑顔で見送ってくださいました。まだ幼いながら、とても聡明でしてよ。自慢の弟妹ですわね。


弟ラルは今月4月で、9歳になりました。ラルとお話をしたり、ラルが遊ぶ姿を拝見しますと、何故か前世の杏里沙ちゃん達姉弟を、思い出しますのよ。不思議なことですが。今年はわたくしの成人の儀の前でしたので、ラルのお誕生会は家族だけの出席となりました。本人は気にしておりませんが、わたくしの所為で可哀そうなことを致しました。


妹ミクは9月で、7歳となります。未だ赤ちゃんの頃を思い出しますが、もう7年も経つのかと思いますと、月日が経つのは本当に早いことですわ。ミクのお誕生会は成人の儀の後ですし、盛大に祝ってあげようと心に決めております。


淡い金髪に碧眼の幼い容姿のわたくしに対して、ラルは淡い金髪に翠眼のはっきりした目鼻立ちで、今から大人顔負けのイケメン候補ですのよ。ミクは淡い金髪に翠眼という比較的多い色素で、将来は母に負けないほどの美女となるでしょう。わたくしは父似の性格で、ラルは両親を足して割ったような性格ですが、ミクは母似の性格で、常にマイペース気味ですわね。


こうして物思いに耽る間に、成人の儀の会場となる王家の舞踏会会場に、到着した模様ですわね。夜会が行われる会場には、夜会会場どころか王城にすら一度も訪問しておらず、現世では生まれて初めてこのように大きな建築物を、拝見致しましたのよ。前世で拝見したことのある西洋のお城と、同じくらいの大きさかしら?


…前世がごく普通の一般市民でしたら、気後れしそうな独特の雰囲気です。わたくしの前世の経験が、()()()()()()()()かしら…?


前世の父や杏里沙ちゃん家族に連れられ、ビジネスとプライベート両方で、海外には何度も訪問したおります。まだ詳細な記憶は戻りませんけれど、その後も海外での取引をしておりますことでしょう。今ははっきりとした記憶はなくとも、身体が覚えておりますわ。何の緊張もなく会場に入場したわたくしは、両親共にご挨拶しておりました。今のところは、わたくしも余裕でしてよ。


一通り挨拶が終わりました頃、王族登場の合図ファンファーレが鳴らされ、使用人により重厚な扉が開かれた後、王族のお出ましとなりました。今ご登場になられた方々は、国王陛下並びに王妃殿下、そして王女殿下と王太子殿下で、いらっしゃいます。わたくしを含む貴族皆が (こうべ)()れ、王族をお迎え致します。


国王陛下の妹殿下が、ラドクール公爵に嫁がれておられ、国王ご兄妹は同じ母方の兄妹というご関係です。お2方の母君は王太后様でして、国王陛下はトキ様の伯父に当たるお方でも、ございます。


伯爵家ご令嬢であられた王妃殿下は、今も中立派を保たれておられ、ラドクール公爵家の派閥でも、()()()()()()()()ナムバード公爵家の派閥でも、何方にも属されておられません。王妃様ご自身はラドクール公爵家の方に、国王陛下の正妃というご立場から、応援していらっしゃるようだとお見受け致します……






     ****************************






 王女殿下は、『グロリア・シャンデリー』と申されまして、現在は16歳になられました。トキ様とは従兄妹(いとこ)で、同い年でいらっしゃいます。王族に多い金髪碧眼の持ち主で、癖毛でウェーブのある髪質の美少女です。ラドクール家で何度となくトキ様の婚約者として、王女様のお話相手をさせていただいたこともございます。


王女殿下は知的で心音の優しい方で、とても親しくさせていただきました。身分で判断されるようなこともなく、民の声に耳を傾けてくださる、ご立派なお方です。わたくしのことも実妹かの如く、親身にご相談に乗ってくださいますのよ。親しい者からは『リア様』と慕われており、わたくしも『リアお姉様』とお呼びしておりますわ。唯…記憶の中では少々自我の強い、我が儘なお人のようでしたが、何故そのような人物となられたのか、甚だ疑問でしてよ?


王太子殿下は、『ソーラル・シャンデリー』と申されまして、わたくしの弟ラルと同じ9歳に、今年なられる予定とのことです。ラルは王太子殿下の友人でもあり、将来は殿下の()()()()()()()()という立場を、既に獲得しておりますのよ。


殿下は5歳のお誕生会でお披露目され、同時に立太子されておられます。王女殿下と同じく金髪碧眼で、将来はさわやか系イケメン殿下に、なられるようですわね。この年にして大変なご聡明で、剣筋にも優れていらっしゃるらしく、シャンデリー王国・第一継承者として、この歳でご立派に役目を勤めていらっしゃいます。


…あらっ?…何故か記憶の中とは、ご年齢が違いますのね?


親しい者からは『ソー様』と慕われ、わたくしもラルも同様に、お呼びしておりますわ。殿下はラルがヤキモチを焼くほどに、わたくしに甘えてくださいますのよ。失礼ながら、わたくしも弟が増えたように感じて、嬉しく思っておりますが。


現在は王族の皆様がご着席され、わたくし達成人の儀を迎えた者達へ、お祝いのお言葉を国王陛下から直々に賜ります。身分の上の者達から順に、陛下の元にご挨拶に参り、陛下のありがたいお言葉を拝聴致します。わたくしは国王陛下・王妃殿下共に、親しくしていただいておりますので、既に顔見知りでしてよ。


わたくしのご挨拶も陛下のお言葉も、定型文で済みましたわ。わたくし個人が王家と親しくさせていただく事情を、大袈裟に誇張したくございませんので、国王陛下にもまた王家の方々にも、そこは十分に理解していただきましたのよ。


お茶目なところがおありの国王陛下は、わたくしに時にはそっと目配せをされたりなさいます。王妃殿下も同様に、意味ありげなお顔をされますのよ。それでなくとも、最近はトキ様との婚約のことで、()()()()()()()()()を付けられるわたくし。言いがかりをなさるお相手が相手だけに、非常に困っておりますが…。ですから、王族と親密だということは、なるべく隠したいのです。これ以上の言いがかりは、流石のわたくしも気分を害しますのよ。


王族への挨拶を終え、わたくし達の後からご挨拶を終えられた、リナやエイジと合流し、楽しく会話しておりました。実は、思い出したのはわたくしだけではなく、2人共そうでしたのよ。見覚えのある人物を、3人でやいやい燥ぎつつ探しております。3人寄りますれば、文殊の知恵となりますものね。


 「…う〜ん。同い年の中には、他に誰も…いないんじゃない?…少なくとも俺がしていた訳じゃなくて、はっきり覚えていないんだ。」

 「そうですわねえ……。あれっ、お姉さんがされていらしたの?」

 「…ああ、そうだよ。俺にも時々、強制的にやらせてくるんだよ……」

 「わたくしは姉と一緒に、遊んでおりました。ウザい兄が…時折、口をはさんできましたけれど……」

 「…兄貴か。俺も兄が欲しいと何度も思ったけど、()()()()()()()色々と問題もあったよな…。別にリョー兄が嫌いじゃないけど、兄弟で比べられたり、実力差があったりすると、自慢過ぎる兄貴を持つ弟は、追い詰められるんだよ……」

 「お2人共に兄弟や姉妹がおられたようで、とても羨ましいですわ。」

 「…あっ、カノン……ごめんなさい。確かカノンは、1人っ子でしたよね?」

 「あっ!…カノン、悪かった……」

 「それほど気になさらなくても、大丈夫ですわ。今のわたくしには、可愛い弟妹がおりますもの。長年の念願が、やっと叶いましたのよ。……ふふふっ。」


…エイジもある程度の記憶が戻られたことで、リナとは前よりもずっと仲良くなられましたのね?


リナという婚約者の支えがあり、エイジも困難を乗り換えられたようです。そういう事実が彼にとっては、もっと大きな心境の変化と、なられましたことでしょう。リナの婚約者への真心が、漸くエイジにも伝わりましたのね。これでわたくしも、安心できそうですわ。


…リナ、本当に良かったですわね。困難を共に乗り超えられましたのなら、もう何が起きようとも…大丈夫ですわよね?

 カノンが成人式を迎えました。王立学園には、成人後に通うこととなります。


未だ登場していませんが、王族である王女と王子も、名前だけ登場しました。



※以下は『王立学園』についての補足となります。


  既に成人したトキとリョーは、去年から学園に通学しています。

  今年から、アリーも通学しています。主人公達は、来年からです。

  王立学園には3年間、在籍します。主に自宅から通学となります。

  学生寮はなく、一部の領地の者は親戚の貴族家に下宿します。

  病気以外の例外なく、貴族は学園に通うことになります。

  特に授業料などはなく、教科書などは学園から支給されます。

  制服は、各自が購入します。無料については、寄付で賄います。

  一部の施設利用、学食の中でも豪華な食事は、有料となります。


以上です。いつかどこかで、本文中に補足する事項もあるかもしれません。

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