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運命の転生劇 ~乙女ゲームの世界へようこそ~  作者: 無乃海
第三幕 『転生する前のお話 ~前世での日常~ 』 編
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40話 貴方との噂話

 前世・花南音視点となります。


前回までとは、少し時間が経った時のお話です。

 あれから、あっという間に3年が経ち、トキ君は中学生となりました。わたくしはまだ、小学4年になったばかりですから、暫くは通う学校が別になりますわね。と言いましても、同じ系列の小中高の一貫校ですから、すぐ裏側の敷地にありますのが、中学校となっております。ですけれど、ただの生徒であり、子供であるわたくし達にとっては、校舎だけでなく敷地も異なりますと、難易度が高くなりますのよ。それに、お互いの校舎を行き来するのには、教師の許可も要りますし、自由には行き来出来ないことに、なっておりますのよ。


但し、ある程度の知名度がある、お金持ちの家の子供達が通っている学校なのですから、婚約者が居られる…という生徒達も、何組か存在されます。かく言うわたくしも、()()()()()()()()()()()()()おかしくないぐらいの、家柄だったりは致しますわ。ですが、ここは…現代の日本という国ですからね、今時…政略結婚を両親に決められましても、結婚後に自分達で離婚可能ですからね。とは申しましても、誰とでも結婚可能と思われても、困りますわね…。


一応は、恋愛結婚出来るとしながらも、本人もある程度は妥協致しまして、最低でもご自分と同じ範囲に入るお相手を、選ぶことになりますわ。わたくしも自身が跡継ぎとなるのですし、それなりに会社経営に携われるようなお方を、お相手に選ぶことになるでしょう。ですが、例えば平社員のようなお人に、経営の素質がございましても、百歩お譲り致しまして…恋愛までは許可されましても、いざ結婚となりましたら、社員からはブーイングの嵐が巻き起こることでしょう。


それでも…どうしても結婚したいと申しますならば、一度会社や親とは縁を切り、お相手が自分の会社を経営して、その会社が我が社と同じくらいになります時に、漸くお相手として認められる、という長期冷却期間が必要になることでしょうね。その上、試行していなければ認められないのですから、大変な努力が必要となりますかしら…。


わたくしには、そういう余裕はございません。父1人・子1人の会社ですし、わたくしが後を継げない時点で、親戚の何方(どなた)かが継ぐことになりますの。そうなれば、わたくしは乃木グループには、もう…いられないことでしょう。よく…お金持ちのお嬢様って、呑気でいいわね?…と思われておりますと、世間一般的なお話でお噂がございまして、少なくとも…わたくしにはそうではございませんし、寧ろ真逆だと…声を大にして、言いたい気分なのですわ。


わたくしは、乃木グループの子供として生まれたことに、自覚致しました頃から、ずっと…父の後を継いで経営者になるのを、自らの誇りとして生きて参りましたのよ。例え、わたくしの夫となるお人が、社長となられましても、わたくしは社長夫人として夫を支える立場に、そうなる為に努力をして参りますわ。母のように…いえ、母が出来なかったことを、わたくしが実現したかったのです…。こう申しますと、母の望みを叶える為…と聞こえるかもとしれませんが、これは違いますのよ。


わたくしは、母が残念そうにされておられたことに、わたくしも興味を持ちましただけですのよ。母の望みが結果として、わたくしの望みになった…というだけでしてよ。母は寧ろ、裏側からひっそりと補助したいと願っておられましたし、それに対しましてわたくしは、表側から堂々と補助をして行くつもりなのです。謙虚な母とは、無縁なわたくしなのですわ。


この3年の間に、色々と状況も変わって参りました。先ず…1つ目は、わたくしとトキ君の関係でして。下の名前で呼び合う関係となりましてから、トキ君が我が家へ来られる関係となり、当然の如く、わたくし達の周りの人物にも、わたくしとトキ様の交友関係を、知られてしまいましたわ。まだ小学生であるわたくしと、中学生となられた彼に対し、男女の関係だと思われるお人はおりませんが、()()()()()()()()()()()()おられます。婚約が秒読みではないか…とか、実は既に婚約しているのではないか…とか、色々と噂が広まっておりまして。


当のトキ君は、「…別に…良いんじゃない?…花南音ちゃんは…気にしているの?そんなに…僕が噂の相手だと、嫌かな?」と、逆に問い掛けられます。どうして…こんなにもトキ君は、平然としていられるのかしら?…これは4歳の年上の差、というものなのですの?…平然としておられます彼に対し、怒りが湧いてきまして、つい…キツイ調子で申し上げましたのよ。この時は、まだ彼が6年生で、わたくしは2年生でしたけれど…。


 「トキ君は、わたくしよりも4歳も年上ですものね。…平然とされていらっしゃるのは、そういう事ですの?…それとも、トキ君も来年は中学生ですので、こういう事には()()()()()()()()()の?」






    ****************************






 わたくしが投げかけた言葉に、当初はキョトンとされておられたトキ君も、段々と言葉の意味が、分かり始められたご様子で。目をこれ以上、見開けない程に開かれて、プルプルと身体を振るわせられておられます。…あらっ?…わたくし、随分と言い方がキツかったのかしら…。それとも、わたくしの言葉に、顔を赤くされてますし…怒っておられるのかしら?…決して…嫌みではございませんでしたが。


 「………。4歳年上…。そうだよね…。僕は4つも年上…なんだよね?…花南音ちゃんから見たら、年上過ぎ…だよね…。…ああ。何でもっと近い年齢で、生まれなかったんだろう…。僕だって、同級生になりたかったのに…。前の時も…違ったのに。…うん?…僕がこういうことに…慣れてる?…ええ~っ!!…ち、違う!…僕は…ちっとも慣れてない、ない!…僕は…花南音ちゃんだから、その……。」

 「……はい?………。」


……いやいや。意味が…分かりません。初めてお会いした頃から思っておりましたけれど、トキ君って時々…不思議な事を、仰っておられますよね…。別に年上過ぎとは、思っておりませんけれど…。寧ろ、トキ君の婚約者の噂のお相手には、わたくしの方が年下過ぎて、申し訳ないと思っておりましたのよ。…はて?…同級生になりたかった…とか、何故近い年齢で生まれなかった…とか、ブツブツ仰られておられますが…。それは、神様レベルの問題ですので、()()()()()()()()()わね…。


そして途中から、彼はアタフタされながらも、僕は慣れていないんだと、両手を振りお顔もブンブンと振られて、懸命に否定なされますのよ。もう、それはそれは…赤いお顔でして。ちょっとした意趣返しでしたのに…。トキ君は、本気に…なさったのですね…。いつもは平然とした態度で、わたくしを戸惑わせるお人ですのに。今日は…わたくしの方が、冷静さを保っておりましてよ…。


 「…と、兎に角!僕は…気にしていないけど、花南音ちゃんは…気にしているのかな…。やっぱり、そうだよね…。兄にしか思えないよね…。」


シュンと音が聞こえそうな、まるで見えない筈の動物の耳が見えるような、そのようなお顔つきをされては…。明らかにがっかりした…と、肩を落とされるような仕草には、わたくしの母性本能が…擽られましてよ。思わず…トキ君を抱き締めて、「よしよし」と申しながら、頭を撫でてしまいたい気分になりましてよ。但し、子犬でありましたならば、ですわよ。一応は、わたくしよりも年上の男の子なのですし、『よしよし』などとする言動は、失礼に当たるかと…思いましてよ。彼の図体も、わたくしがすっぽりと入りそうな程、大きい背丈な訳ですし、お陰で()()()()()()()済みましたわね。


 「わたくし、別に…嫌とは申しておりませんわ。トキ君が、わたくしとの噂を気にされないと仰るのでしたら、わたくしも…もう気に致しませんことに、致しますわね。」

 「…うん!……いや……うん。………。」


わたくしの返答に、一度は嬉しそうなお顔をされた彼でしたが、何故かその後に、否定されるように首を捻られては、また再度…考え込まれた後、肯定の意味を込められた返答を、なされますのよ。わたくしったら、その間につい…ジトっとした目付きで見つめてしまいまして。だって…はっきりとした態度を、されないのですもの。少々、イラっとしていたのでございます…。何が仰りたいのでしょうね?


 「いや…ね、少しは気にしてくれた、と思ったから…ね。全く…気にされないのも…何だか…ね?」


こめかみがぴくっとして、「何が言いたいのだ、お前は?」という何かのキャラのセリフが、頭に思い浮かびましたわよ?…何方(どちら)かにして、いただけませんでしょうか?…わたくし、これでも白黒はっきりさせないと、気が済まない質でして、今まで後悔した事がないほど、何でもはっきりさせてきたのです。一体、何を…仰りたいのですか!…わたくしは…ちょっとイライラして来てしまいまして、プイッと彼とは反対の方を向きまして。


 「…えっと……。ゴメンね…?…つい…嬉しくなってしまって、調子に乗ったみたいだよ。でも…()()()()()()()()()()は、手厳しい…なあ……。」


……はっ?……トキ君の仰っている意味は、本当に分かり兼ねますわ。こっちのわたくし…とは、どういう意味ですの?…他にも、わたくしの偽物でも居りますと、仰いますの?…それとも、わたくしと同じ名前の人物と、比べてでも…いらっしゃいますの?……失礼ですわ。


時々、変なことを仰るお人。この時はまだ、彼への印象は…このようなものでしたのよ。わたくしを揶揄っているだけだと、思っておりましたのよ、わたくしは…。

 厳密に言いますと、前回のお話からは、3年近く経ったと銘打ったものの、今回の話の内容は、1年後~2年以内の内容が混じったもの、となってしまいました。う~ん。こんな筈では…。


今回は…前回と異なり、花南音が時流を翻弄しているかも…。



※この作品については、今回分が今年最後の投稿となります。次回以降は、来年の元旦以降となる予定です。

※筆者の私生活が忙しくなり、来年以降の更新の頻度を、減らす予定となります。応援してくださる方々には、大変申し訳ありませんが、更新頻度・曜日などを未定とする、不定期更新とさせていただきます。

※現在3作品更新中で、その内の1作品は短期間ものですので、そちらを優先させていただきます。

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