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運命の転生劇 ~乙女ゲームの世界へようこそ~  作者: 無乃海
第二幕 『乙女ゲームが始まる一歩手前』 編
43/117

幕間1 夢と現実の狭間で

 一応は、第一幕の中に入っておりますが、幕間のお話となります。

とある人物達?の視点となっています。


※読まれる前のご注意…特に後半部分は、読まれている間に、ご気分を害する内容が含まれております。ハッキリ言って、相当腹が立ちます。ご注意くださいませ。

 私は夢を見ていた。見る夢は、必ずいつも同じ夢である。但し、全く同じ内容ではなく、まるでテレビドラマを見ているように、続いている夢である。そして、夢の最終的な結末には、恐ろしい結末が待っているのだ。但し、私にとっては…であるけれど。()()()()()()()…夢の私だけなのだから…。


その夢の中では、私は…とても身分の高い女性であった。夢の舞台は西洋風の外国で、おとぎ話でも見ているかの如く、ロマンチックな背景の物語だ。私は王家の血を引く高貴な身分の娘で、容姿は今の世界では考えられないくらいに、大人っぽい体型をした美女である。性格はかなりの我が儘だが、胸が大きくてモデルのように美しい容姿に、夢を見た当初の私は、テンションが上がっていた。翌朝に目覚めた時、「…何だあ。ただの夢だったのか……。」と、ガッカリしたほどであった。


しかし、夢を見続けるにつれ、私は…段々とテンションが落ちて来た。夢の中での私の性格が、(ただ)の我が儘の範疇を越えていたのである。夢の中でも…嫌われているのが、伝わって来るぐらいに。ただの…夢だというのに、嫌になる…。性格が…悪過ぎて。自分専用のメイドや従者にも、何かある度に八つ当たりはするし、嫌みは頻繁に言い、態度は横柄で、自分に逆らえば、両親に頼んでクビにするのだ。


今の私には、全く理解出来そうにない。折角…夢の中だけでも、高貴なお嬢様になれたというのに、この傲岸不遜な態度や口調は、身分や綺麗な容姿を台無しにしている、と感じていた。…()()()()()()()()()、良かった。そう思っていた。


そして、初めて…夢の中の物語の結末を、見た時には。夢から目が覚めた私は…。生きた心地が…しなかった。夢の最後の私は、最悪の結末を迎えてしまったのだ。夢から目覚めて、私は汗ビッショリになり、顔の色はすっかり青ざめていた。


まるで、体験して来た…かのようであったのだ。あまりにも生々しくて、身体中がブルブルと震えてしまって、夢ではなかったような雰囲気であり。夢から目が覚めた今も、まるで今起こった出来事のように、鮮明に目に焼き付いているし、覚えてもいた。これは…ただの夢ではない?


初めてこの夢を見た頃は、私はまだ小学5年生になった頃であった。私の家は夢とは正反対で、ただの一般人の国民である。貴族制度はない国で、お金持ちとは言えない家柄である。ごくごく普通の家の娘で。小学校も地元の公立だったし、中学も同様に公立に通っている。今の私の性格も…夢の私とは違って、人見知りが激しいのもあり、真面目で大人しい子だと思われている。夢の私は、ヨイショしてくれるだけの友達しかいないけれど、現実の私には…それなりに仲の良いお友達もいて。要するに、夢の私と現実の私は、真逆の立場にいると思う。


それから2年ちょっと、私はこの夢を思い出した頃に、必ずというほど夢として見ている。今は中学生になったばかりだ。もうこの頃になれば、流石に私も、これがただの夢ではないと気が付いている。何か…意味があるのだろう…と。


それでも…私は夢であってほしいと、本心から願っている。だって…現実ではないはずだもの。この世界に、夢のような国は存在していない。それに…私はまだ中学生だけど、夢の中の私は…高校生ぐらいの年だと思う。夢の私が…別に高校に通っている訳ではないのに、何となくそう思ったのである。


自分でも…1番疑問に思うことは、夢の中の女性=私、だと思っていることであった。この夢の中の女性は、私ではないと…何度思ったことだろう。それなのに、どうしても心のどこかで、夢の中の女性=私、という図式になってしまうのである。何故だろう…?…どうしても、自分だと思ってしまうのだ。やはり…何かある?


この夢には、何かの意味があるのだと思う。本当は…何も知りたくない。だけど、この夢を見続けるのは、正直…とても辛いのだ。精神が…ガリガリと削られて行く感じで。今のところは、ただの夢だと思って、気にしないようにして来たけれど。


これが何年も何年も続けば、私の心が…疲れてしまう。壊れてしまうかも…しれない。何時(いつ)かは…知れなければ、いけないのかもしれない。本当のことを知る時が…来るのかもしれない。しかし…まだ覚悟は出来ないし、今の私では…受け止められないに違いない。


今は…夢が怖い。夢を見る度に、夢の中で私は「もう、止めて!」と絶叫しているというのに、声にはならなくて、私の意志は全く通らない。それに…相変わらず、夢の私は傲慢であり、人でなしだった。夢の中での結末が、夢の私にとっては()()()()()()()()()()()としても。それに関しては、現実の私も納得していた。例えそうであっても、現実の私は…体験したくない出来事であり。


夢の中の…私には、何があっても…絶対になりたくないから…。お願い…気が付いて、夢の私…。今は只管…そう望み、平常を保っている私がいた…。






    ****************************






 わたくしは悪くない。何も…悪くない。悪いとするならば、彼が悪いのですわ。彼がわたくしに、振り向かなかったから。わたくしは…こんなにも身分もあって、こんなにも美しい女性だというのに。何が…気に入らないと言うのよ。


わたくしの性格が悪いのだと、彼は言ったわ。私の…性格?…わたくしの性格の、どこが悪いと言うの?…彼は、私の態度も悪い…と言うのよ。貴族の娘であるならば、当然ではないの?…メイドや従者に命令して、何が悪いの?…彼らに八つ当たりしたとしても、わたくしは悪くないわ。彼らはその為にいるのよ。主人に怒られるのは、当たり前のことでしょうに。彼らは身分が低いのよ。身分が高いわたくしが、何をしたとしても、許されるはずなのに。


それなのに彼は、わたくしが醜悪な人間だと、見下した目をして、わたくしを見て来られるのよ。彼とわたくしは同じ身分だから、わたくしも彼の態度に目を瞑りましたのよ。彼がわたくしに、そっけない態度を取られても、わたくしのダンスの誘いを断って来られても、わたくしの好意を無にされても、彼に対してだけは不思議と、怒りは湧かなかったの。


多分それは、彼が…わたくしと同じく高貴なお人でしたから。彼が単に、わたくしの好みの顔立ちであったから。美しいわたくしの隣に立つのに、相応しい人でしたから。それだけの理由があれば、十分ですわ。


だと言うのに、彼には既に…婚約者が居たのよ。全く()()()()()()()()婚約者が。もう少しわたくしと同じくらいに美しければ、わたくしも諦めがついたかもしれないのに。あの子は…全く美しくない。あの子は…わたくしよりも身分が下で、彼の隣に立つには相応しくない、というのに。何故…あんな子が、わたくしが好きな彼の婚約者なの?…わたくしこそが最も相応しい、というのに。出会ったのが遅かったというだけで、彼は…わたくしを見てくれない。そんな貧相な子供より、わたくしの方が魅力もあるというのに…。


あの子の…どこが良いと言うの?…あの子なんて、美しくもなくて、何の魅力もありませんのに。あの子といらっしゃる彼は、あんなにも優しい態度で、優しい笑顔で応えておられるというのに、わたくしには…氷のように冷たくて、素っ気ない態度と口調でしか接してくれなくて。わたくしには…笑顔でさえ、全く見せてはくれなくて。何がそんなにも、あの子が良いと言うのだろうか?…完璧なわたくしと、どこが違うと言うのよ?…彼の気持ちが…理解出来ない。


だから、あの子が居なくなれば、彼は…わたくしに振り返るに違いない。わたくしがあの子に劣るなど、絶対に…あってはならないわ。わたくしが、わたくしよりも身分が下のあの子に、何かが劣ることなど…ある筈がないわ。きっと…彼は、あの子に血迷わされているだけなのね。わたくしの愛する彼が、あんな子に本気になる訳がありませんものね?


今、わたくしは行動しなければ、彼が永久に手に入らないかもしれない。わたくしが行動しなければ、彼はずっと目を覚ますことがないかもしれない。わたくしにならば、そういう力があるわ。何もわたくし自身が、何かをする訳ではないし、わたくしは()()()()()()()()()()()()のよ。ですから、証拠は…何も残らない。


バレたとしましても、わたくしを罰することなんて、わたくしの父以上の身分の者でなければ、無理ですもの。そんな人物は…数えるくらいでしてよ。わたくしには何も怖いものなど、ありませんのよ。


そう思っておりましたのに。まさかこのように、わたくしが罰せられるなんて…。どうして…わたくしだけが処罰を受けますの?…どうして、あの子は…今も彼の隣に立っておりますの?…おかしいわ、このようなこと…。わたくしが罰を受けさせられるだけでも、おかしいと言うのに。


彼は…わたくしがあの子に手を出したから、絶対に赦せない…と仰っておられて。

わたくしは、何もしておりませんのに。ただ単に命令しただけで。それだけですのに…。どうして、わたくしがここまでの処分を受けるのかしら?…わたくしとしての罪は、軽い筈ですのに。国王様は…何を考えていらっしゃるの?…今の国王は、わたくしの父に感謝する立場ですのに。父を、本気で怒らせたいのかしら?


でもいいわ。結果的に、わたくしの罪は無くなる筈よ。わたくしは、何もしていないのですもの。わたくしは…何も悪くはないのよ。父が行動を起こせば、いくら国王様でも…非を認めることでしょう。わたくしは心が広い人間ですから、国王様が謝ってくださるのなら、許して差し上げましょう。そして、国王様に恩を売れば、彼も()()()()()()しれない。…そうね。いい考えだわ。そうしましょう。

 今回は、前半・後半共に『とある人物』の名前は、伏せさせていただきます。


今後の展開に向けて、この段階ではまだボンヤリとさせた方が、良いと考えておりますので。また、今までに登場した、若しくは…してないかも、伏せさせてもらいます。


※次回は、登場人物一覧を投稿予定としています。

※愈々、第三幕が来週より始まります。ここまで読んでくださった皆様、この拙い作品を読んでくださり、ありがとうございました。第三幕も、よろしくお願い致します。

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