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運命の転生劇 ~乙女ゲームの世界へようこそ~  作者: 無乃海
第二幕 『乙女ゲームが始まる一歩手前』 編
38/117

32話 国家規模の秘密

 いつも通り、主人公視点です。


29話後半からの続きとなります。

全体的に会話が多めです。単なる魔法の話が、意外な内容に……。

 「昔は…魔法があったのに、廃れたのか…?…何で廃れていったんだ?…トキ兄は、理由を知っているのか?」


魔法が完全にこの世から消えたのは、()()()()()()()()()()()()何かが、過去に起きたのでしょうね…。エイジも興味深々という感じで、トキ様に質問されておられます。彼の質問は、ご尤もですわ。魔法が廃れた原因を、知りたくなりますのは、人間の(さが)みたいなものですわね。周りの皆様も、頷かれておられますし…。


 「…うん。エイジが知りたいのは、尤もだと思うよ。魔法が廃れた原因は、実ははっきりとはしていない。表向きの原因は、この世界全体の戦争だ。500年前に起きた…戦争を、エイジは知っているかな?」

 「500年前?…そんな昔に、戦争があったのか?…う〜ん。勉強で教わった覚えが、ないけどなあ…。普通だったら、そういう昔の戦争とかは、勉強する筈じゃないのか?」

 「トキ…。エイジは、まだ知らないんだ。この戦争の話は、何故か…秘密にされているんだよ。然も…国家規模で。エイジは単純な性格だから、まだその話は早いと、家庭教師が態と…飛ばしたんだよ。」

 「……はあ!?…オイ…ちょっと、兄上!…どういう意味なんだよ!オレが、単純って…!……あの家庭教師の奴~~!!」


エイジのされた質問は、皆様にとっても疑問でもありまして、トキ様は頷かれますと簡潔にご説明してくださいます。その原因と思われる、過去の戦争のお話を知っているかと、エイジに振られまして。わたくし達貴族は、其々の家が雇った家庭教師に、勉強を教わります。エイジも例外なく同様で、教わった記憶がないとお話されるのですが…。それは、わたくし達女子も同じく、教わっていないようですわ。リナもユイ様も、わたくしと目を合わせられて、首を竦めておられます。


 「…確かに。エイジは単純過ぎたよね?…別に悪い意味ではないんだよ。ただ…今までのエイジは、国家規模での秘密を教えたら、何かの弾みで漏らしてしまう…可能性もあったよね?…今の前世の記憶があるエイジなら、秘密を抱えている今のエイジならば、もう大丈夫だろう。ただし、エイジ。これは…()()()()()()()()()()()、よ〜く理解して置いてね?」


…うっ。そう唸るようにして…口籠るエイジは。兄のリョー様に指摘された上に、トキ様にも指摘され、的確なコメントまでされましたわ。同時に、今から聞いたことを漏らせば…君の責任だよ、という内容を含ませられて、止めを刺された訳ですのよ。トキ様の発言の方が、容赦がございませんわね…。


 「…お兄様。わたくしも、教えていただいておりませんわ…。」

 「…うん。知っているよ。君達女子には、話されない話だから…ね。先程から何度も言っている通り、この戦争の話は…国家規模の秘密なんだよ。だから、男子の貴族、その内でも上位貴族…伯爵位までしか、学ばない。そのぐらい…秘密にしたい事項なんだよ。」


確かにエイジは、単純明快な人物でしょうね…。エイジが学ばなかった理由は、理解出来ますが、わたくし達女子も教わっておりません。その疑問を、ユイ様が代表して訊いてくださいます。するとトキ様は、チラッとわたくし女子3人を見渡された後、女性は…知らなくても良いことという、含みを持たせてお話してくださいましたのよ。…なるほど。戦争のことなど…女性は知らなくて良い、という背景もございますのでしょうね。


 「これから話す内容は、確かに重大な秘密事項だけれど、異世界の記憶を持ち、秘密を抱えた君達には、はっきり話すべきだと思う。特にカノンは…知るべきだ、と僕は…思っている。」

 「……わたくし?…どうして、わたくしは特に…なのですの?」


わたくし達の不安げな顔付きから、正確に情報を読み取られたトキ様は、この場にいる全員が聞くべきだと、断言されるのです。ですが…特にわたくしが、ということは…どういうことなのでしょうか?…わたくしが知るべきとは、()()()()()()()()()()()()()()のでしょうか?


 「カノンが特にというのは、(ただ)の僕の勘だから、あまり気にしなくてもいいよ。僕にとっては、カノンが常に優先なんだ。ただ…それだけだよ。」






     ****************************






 結局、約500年前に何があったのかと言いますと、これ以上ないくらいの大きな戦争があった、ということでした。その大きな戦争は、それ以前にもそれ以降にも無いほどの、世界中を巻き込んだ戦争だったようなのです。この今世の世界の全ての国を巻き込んだもので、その被害は膨大だったという、言い伝えがあるそうです。まだ魔法が、各国に存在した時代だったそうですから、その被害は嘸かし…大きなものだったのでしょうね?


兎に角、その戦争で…全世界が、この世界での全ての国が、魔法を失ったのだと…言われているそうなのです。簡単に申しますならば、魔法の使い過ぎで、必要以上に酷使し過ぎた所為で、魔法の能力そのものを失った、というお話でしたわ。


魔法そのものは見たことがありませんが、トキ様のお話に依れば、前世の世界で作られた作品の中の魔法とは、若干の違いが見られます。トキ様も勿論、魔法を直接に拝見された訳ではございませんので、彼が調べられた国家の秘密資料に記載された情報と、わたくしの記憶の中の魔法とを、()()()()()()()()()()なのですが。

(実際には、見比べることも…出来ませんけれど……。)

それに依りますと、以下の違いがありましたわ。


前世の考えられていた魔法は、このようなものがありました。

  ● 魔法の呪文には、決まったセリフがある。

  ● 魔法使いは女性が圧倒的に多く、ホウキに乗って空を飛ぶ。

  ● 魔法を人間に見られると、魔女は魔法が使えなくなる。

  ● 魔法の素という植物の種があり、育てて魔法の素を増やすことが出来る。

  ● 魔法使いになるには、元々魔女の家系でなければ、魔法使いにはなれない。

  ● 物語によっては、男性達の魔法使いも登場することも。

  ● 魔法使いだけの国が、何処かに存在していて、前世の世界と繋がっている。

  ● 魔女っ娘というような見習いが、人間の世界に修行にやって来る。


今世の約500年前に存在した、実際の魔法は以下のようでした。

  ● 魔法を出す時には、特に決まった呪文はなかった。心の中で念じることで発

   動するらしい。また、杖などは特に必要がなく、必要とする者も一部居る。

  ● 魔法使いは、男女関係なく存在し、また家系と言えども、魔法が使える子供

   が生まれるとは限らない。

  ● 魔法使いは、ホウキに乗らないし、基本的に空を飛ぶことは出来ない。

   但し、個人の使える魔法の種類次第では、空中に浮かぶことは可能である。

  ● 魔法を他の人間に見られたところで、関係がなく使える。

  ● 魔法の素はないが、個人の使える魔法次第では、魔法薬のようなものが作れ

   ることもある。

  ● 魔法は、家の家系が影響しているが、必ず魔法が使えるわけでもなく、魔法

   の強さも個人差がある。家系としては、貴族に多く生まれる。

   また、家系に関係なく、突然、魔法が使える子供が、生まれる場合もある。

  ● 本来はこの世界だけで異世界とはつながっていない。

   また、召喚の魔法が使える者が稀に存在し、その人物が召喚の魔法を使用す

   れば、異世界からも、違う世界の人間を召喚することが、可能である。

  ● 魔法使いの見習いとして、他の世界若しくは他国に、修行することもなく、

   また未熟な時から、自国を出ることは絶対にない。


…と言ったところでしょうか?…前世の物語で、絶対に必須と言われていた、杖やらホウキやら呪文やら…は、必要ないようですわね。杖が必要な人は、何もない状態であれば、魔法が安定しないということから、自分の魔法を安定して出す為に、必要としていたようでした。魔法の種類も、自分の家系で()()()()()()()()()、生まれ持つそうでして、突然膨大な魔法を持って生まれることは、稀のようですね。

呪文も…頭に思い浮かべることが、一番大事だそうでして、口に出す必要はないようなのです。稀に、敢えて口に出して唱えることで、魔法を出しやすくしていた者も…おられたそうですが。


これらの魔法の情報が記載された書類は、国家機密の資料でして、王家が所有する図書館…王立図書館に、厳重に保管されているそうですわ。然も、一般貴族が拝覧することが出来ないよう、王家関係者しか閲覧が許可されない、という地下にある部屋に隠されていたと、トキ様が語られておられましたのよ。彼は王家の親族ですし、監視者の一族の立場から、その部屋への入室も認められておられますので。

但し、書類や本を持ち出すことは、王宮と言えども…禁止されているのですわ。

例え国王と言えども皇太子と言えども、その部屋から持ち出すことは出来ない、とのことでして…。それだけ、その地下の部屋には…重要な書類などが、隠されているのでしょう。


トキ様は、これらの魔法に関する事情を、全て覚えておいでになられておられましたわ。それを、わたくし達に説明してくださったのですわ。流石に、将来の宰相候補…と言わしめるだけのことは、ございますわね。


 「この世界から、魔法が全て無くなってしまった最大の理由は、()()()()()()()()()()()()と、言われてようだ。とある魔術師は、その当時の稀代の魔術師と言われており、その魔術師に敵う者は当時、誰も居なかったらしい。この世界の魔法を全て消滅させる為に、この世界中を巻き込んだ戦争を起こすように、魔術師が人々を操った……と、後世では語り継がれている。そう…締め括られていた。」

 引き続き、転生者が集まるという内容のPart4となります。


魔法について、前世での認識との違いを、挙げてみました。

この異世界での魔法というものが、どのようなものであったのかが、分かりやすく伝わっていると、良いのですが…。魔法の話は、まだもう少し続く予定です。


そして、もう少しで第2幕も終わりが、見えて参りました。

今後、第3幕に移行する予定が、あります。

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