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運命の転生劇 ~乙女ゲームの世界へようこそ~  作者: 無乃海
第二幕 『乙女ゲームが始まる一歩手前』 編
36/117

30話 転生者達の自己紹介

 いつも通り、主人公視点です。


前回からの続きです。全体的に会話が多く、半分以上を占めているかも…。

リナの仰る有名な玩具会社とは、わたくしの父の会社でしょうか?…ゲームは、あまり作製しておりませんけれど。


 「わたくしの前世は、玩具会社の社長である、乃木家(のぎけ)の1人娘ですわ…。改めまして…皆様、前世とは申しましても、わたくし共の会社の商品を手に取っていただき、またご愛用いただきまして、まことにありがとうございます。」


わたくしが全ての動物を育てていた…という内容よりも、ゲームを作製した技術者が、()ず最初にわたくしにゲームをさせ、わたくしが…ゲームに不具合がないかの確認作業を行っていた…という事実に、大層驚かれておられた模様でしたわね…。わたくしは前世の商売人の顔になりまして、すくっと立ち上がりますと、玩具をご愛用いただいた皆様に、現世で…お礼を申し上げましたのよ。もう…皆様、目を点にされており、困惑されていらっしゃいましたわね。()()()()()()お礼を申し上げても、仕様がございませんけれど。それでも、お礼を申し上げたかったのですわ。


わたくしも、学校にも持って行きましたわ。但し、わたくしの場合は、先生方も学校の一部の生徒も、わたくしが会社内部のお仕事(この頃は、主にアイデアの提供と、玩具の不具合のチェックです。)を、任されておりましたのを御存じでした。開発時点でのチェックをしておりますので、学校の方にも特別に、許可を得ておりましたわね…。今更ながらに振り返りますと、このような無理が通りましたのは、

わたくしの家柄がある程度、上位でしたのもございましたでしょう。わたくしが通う学校は、大企業などの家柄の子供達が通う、私学の学校でしたので。


寄付もある程度はしておりますし、学業も一切手を抜いておりません。これでも、優等生でしたのよ。今はまだ…小学2年生頃までの記憶までしか、戻って来ておりませんが…。それでも、何事にも全力で取り組むわたくしが、勉強に手を抜く筈はございません。それに、勉強は好きでしたもの。


 「カノンって、前世は…社長令嬢…なんだ……。」

 「…まあ。道理で…礼儀作法が完璧ですのね?…頭脳明晰なお兄様のお話にも、ついて行かれるだけのことは、ございますわ。」

 「そうか…。何だか、カノンちゃんは、雰囲気が全体的に大人っぽい、と思っていたんだが…。そういうこと、だったんだね…。」


エイジが呆然として呟かれ、ユイ様がご納得されたとばかりに、わたくしの礼儀作法などの所作を、褒めてくださいます。リョー様も頷かれながらも、わたくしが見た目とは違い、大人びた子供だということに、ご納得されたご様子ですが。

わたくし…実は、()()()()()()()()()()ですのよ、とお答え致しましたら、今度こそ皆様に…退()かれそうですわね…。


それまでは、わたくしの隣の席に座られ、この場におられる全員のお話を、ずっと黙って聞かれておられたトキ様は、意味が分かるかの如く、まるで動揺されておられません。そうなのです。トキ様は、最初からこの場に同席されておりますのよ。


 「これで、はっきりと分かったことがある。少なくとも、ここにいる僕を除く全員が、同じ国の同じ時代に誕生していた、という事実だ。後は…年齢的にも、今世での年齢と同じくらいに、皆が同世代だという事実だね。前世では、()()()()()()()()()()だけど、一応は確認した方がいいかな?」


ここでトキ様が、わたくし達の意見を纏められますと、漸く言葉を紡がれます。

全員の視線が、わたくしからお隣のトキ様に移り、先程まで呆然とされた皆様も、新たな緊張感が感じられます。それは、僅かな期待…なのかもしれません。


 「では、一番年長の僕から名乗るとしよう。僕の前世の名前は『深海 涼樹(ふかみ りょうき)』と言って、前世でもあだ名が『リョー』だったんだ。別段…お金持ちでもない、ただの一般市民だったよ。学校も、公立の学校に通っていた。年の離れた…4歳下の妹がいて、4人家族だったよ。』


トキ様の提案に、真っ先に同意されたリョー様が、前世の自己紹介をされました。

なるほど…。リョー様も、一般市民でしたのね…。学校は…地元の小中高の公立でしょうか…。


 「じゃあ、次はオレだな。オレは『龍田 瑛士(たつた えいじ)』と言って、唯の一般人の家だったよ。オレも公立の学校に、通っていたみたいだ。1つ年上の姉貴がいて、よくその姉貴には揶揄われたもんだよ。前世でも、あだ名は『エイジ』だったな…。」


リョー様に引き続き、今度はエイジが前世の自己紹介をされます。なるほど…。

エイジも同様に、一般市民でしたのね…。リョー様には妹さんが、エイジにはお姉様がいらした…のですね?…ということは、前世でのお2人の関係は、アカの他人ということに、なりますかしら…。






    ****************************






 「次は、わたくしが…。わたくしは、前世では『佐々本 梨里奈(ささもと りりな)』と申します。親しい知り合いからは、今世と同じく『リナ』と呼ばれておりました。前世では、わたくしは末っ子でして、兄と姉がおりました。一般市民の家でしたので、学校も公立に通っておりました。」


リョー様、エイジと続かれ、リナが引き続き語り始められます。リナのお話は、記憶を取り戻された時点から、聞かされております。自己紹介を終えられたリナが、わたくしを振り返らえて。次は、わたくしの番でしょうか。先程、正体を明かしましたが、きちんと名乗り直しましょう。


 「先程も少しお話させていただきましたが、わたくしの父は、乃木グループの跡取りでした。わたくしは『乃木 花南音(のぎ かのん)』と申します。母は、わたくしの幼い頃から、入退院するほど身体が弱いお方でして、父は少し頼りのないお方でしたから、母が…ご心配されますの。その為、わたくしが父の会社の仕事に、幼い時からアイデアを出したりしておりました。動物育成ゲームの玩具を開発致しました当時は、わたくしは…父の会社の社員同等の扱いを、受けておりましたのですわ。わたくしは一人っ子ですので、(いず)れわたくしが経営に関わることは、分かっておりましたので、良い社会勉強になりますと、積極的に関わっておりましたわ。」


お話が長くなりますので、一度ここで区切ります。周りを見渡すようにして、皆様のお顔を伺います。皆様、目を丸くされたり、驚かれたりされていらっしゃるご様子です。…もしかして、わたくし…規格外でしたかしら?


 「わたくしの愛称も、今世と同じく『カノン』若しくは、家族など親しい知り合いには、『カノ』と呼ばれておりました。わたくしには兄弟姉妹(きょうだい)はおりませんけれども、姉同然の従姉(いとこ)がおりましたの。母の姉の子供で、1歳年上のお方です。学校は皆様とは異なり、有名企業の社長令息令嬢などが通われるという、私学の学校に通っておりました。」


これで、わたくしの前世の自己紹介は、終わりですわ。…あらっ?……シーンと静まり返ってしまいましたわね…。前世のこととは申しましても、()()()()()()()()()()、皆様と全く異なりますのは、何とも申せず…寂しいものですのね……。


 「最後は、わたくしですね。わたくしの前世の名は、『長谷部 由衣香(はせべ ゆいか)』と申します。わたくしも愛称は同じく、『ユイ』でしたわ。前世では、わたくしも一般家庭で育ち、兄が1人おりました。兄は…今のお兄様とは違って、優しくない人だと思っておりましたが、今思えば…何かと、わたくしの面倒を見てくれていた、優しい不器用な人だったようです。一般家庭でしたので、学校もずっと公立でした。」


最後に、ユイ様がご自分の前世の記憶を、語られます。わたくし以外の皆様の身分は、前世では一般市民であり、この世界で言うところの庶民に当たります。

(今世の庶民とは異なり、裕福な暮らしと人権の自由が、認められております。)

貴族制は、前世の日本にはございませんので、わたくしのような家系が、今世で言うところの貴族と、同等の扱いでしょうか。


乃木家も実は、古い家柄ではあります。少なくとも…明治時代には、商家として存在しておりました。商家の前は、それなりの名家であるようでして、ある程度は由緒ある家柄なのです。前世の日本には、沢山の企業が存在致しましたし、我が家はある程度有名と申しましても、数多くある会社の1つでしかございません。

一部上場はしておりましたけれど、会社名が有名である原因は、扱っている商品が玩具やゲームに関した物でしたので、()()()()()()()()()のかもしれません。


 「カノン以外は皆、一般市民という階級だね。僕は以前から、カノンに色々と訊いていたから、少しは前世の事情も知っている。しかし、僕には…前世の記憶はない。前世の詳しい事情や物について、説明されても…よく理解出来ていない。君達が盛り上がった玩具が、何なのかも分からないし、学校も王立学園と同違うのか、よく理解出来ない。ただ…話しを聞いている限りでは、カノンのことは別として、ここに居る皆は…前世では知り合いではなかった、という認識で良いだろうか?」

 「そうだね。僕も一個人としては、乃木グループの存在は知っていても、カノン嬢を知っていた訳ではない。というか、僕は一般市民だから、乃木グループとの接点が全くなかったよ。」

 「オレも…同じく。カノンとは会ったことがないというか、会うことも出来ない身分だなあ…。」

 「わたくしも…そうですわね。前世では、カノンと知り会うような切っ掛けが、全くありませんでしたわね…。」

 「…わたくしもですわ。カノンお姉様にお会い出来るような、知り合いもおりませんでしたもの。」

 「わたくしだけ、()()()()()()()()おりましたのね…。」


わたくしが、ちょっと切ない気分になりましたのは、事実です……。

 前回からの続きで、Part2となります。まだ暫く続きます。


集まっている転生者5名共に、同じ時代にいた元日本人、だと確定しました。

5人がそれぞれ、前世の自己紹介をしていますので、会話が多くなっています。

特に、カノンの場合、特殊な環境から多くなりました。


※乃木グループ及び玩具の会社は、実在しません。参考にした会社はありますが、

 それが皆さんの想像されている会社かどうかは、伏せさせていただきます。

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