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運命の転生劇 ~乙女ゲームの世界へようこそ~  作者: 無乃海
第二幕 『乙女ゲームが始まる一歩手前』 編
27/117

23話 婚約者は心配性?

 いつも通り、主人公視点に戻ります。


前半は、そちらかと言えば、21話の続きとなる感じですが、前回の番外編の内容がリナによって語られた、という前提の内容となります。


後半は、それらの後日…と言う感じとなりますね。

 「……と、まあ、このようなお話になっておりますのよ。」

 「そうなのですね?…エイジも…現在のご家族の状況だけではなく、前世の夢の影響も受けておられたのですね?」

 「ええ。エイジは能天気に見えるかもしれませんけれど、ああ見えて心の中は結構繊細なのです。まあ、悪く言いますと、意気地なしとか度胸がないとか、なのでしょうけれど。わたくしは…そういうエイジのことは、()()()()()()()()()わ。」

 「…まあ。うふふふっ。仲が宜しいことで。羨ましいですわ。」

 「何を言っておられるのかしら?…カノンこそ、トキ様ととても仲良しではありませんこと?…わたくし、親友として妬けてしまいましてよ?」


先程までのリナの語りが終わって、リナはエイジのことをただ心配しただけ、という風に誤魔化したいご様子で、褒めたかと思えば貶してみたりされております。

もう少し、リナも素直になれば良いですのに…。あのエイジのことを、完璧に理解してフォローが出来るのは、世界広しと言えども、リナぐらいですわよ?


エイジは単純とか単細胞とか、こういう雰囲気のお子様ですけれども、やはり侯爵家の次男だけありまして、今のところは、友人などでもそう広いお付き合いはないのです。エイジだけでしたら、簡単に攻略が可能かもしれませんけれども、侯爵様だけでなく侯爵夫人もリョー様も、家族の皆様でエイジを守っておられるのです。伯爵家未満の貴族の子供でさえも、そう簡単に近づけないと思いましてよ。


勿論、騎士の仲間同士であれば、身分を問わず接しておられるようですし、その関係でしたら、ご家族の皆様も認めておられるようなのです。問題は…やはり、子女ということになりますわね?…生まれた時から決められた婚約者がいるとは言いましても、本人同士に恋愛感情がなく、両想いでないのならば、()()()()()()()()()と思われる下位貴族もおられるのでして。既成事実を狙って…ですわね。


まだ7歳の子供に既成事実とは、ばかばかしいお話だと思われるかもしれませんけれども、この国では真剣なお話なのです。勿論、まだ既成事実を作ることは出来兼ねますが、だからと言って油断してはいけないのです。魔法こそありませんけれども、媚薬のような物は存在すると考えられております。そういう怪しげな物を使って、相手の意志を思い通りにする、と信じられているのです。


それに貴族を誘拐しようとする、悪者も若干いたりするのです。主に狙われるのは結婚前の子女ではありますが、偶に子息も誘拐されることもありますから、用心に越したことはない、ということですわ。こういう悪いことを依頼するのは、()()()()()()()であったりします。実行犯はほぼ庶民の破落戸(ごろつき)という感じの者達でして、それを雇ったり取引したりする者は、敵対派の上位貴族か若しくは、上位に上り詰めたいと思っている野心家の下位貴族か、と幅が広いと申しますか…。

どちらにしましても、悪知恵が働く低俗な貴族ということですが。


更に近年では、もはや親が決めた婚約は古いという考えも、この国で起こっているようですし、親が決めた婚約者=好きになれない人、として支持が低くなっているようですわね。但し、そうは言いましても、上位貴族にはその地位を保つという義務もございまして、()()()()()()()()()()()ものなのです。


最近では、貴族も商売を始めることが許されておりまして、実際に商売を始められる貴族も、段々と増えて来ておりますのよ。努力次第では、裕福になった男爵家の家柄の貴族もおられますわ。どの世界ででも、ご自分達で努力して大成功を収められる方々が、必ずおられるということでしょうか。こうして努力する者が増え、そのうちに前世のように身分差が少ない国へと、変化して行くのかもしれません。


そういう変化が既に起こり始めておりますのか、婚約者が決まっていても、近年ではあまり重要視されていないのです。勿論、上位貴族同士では十分に牽制になりますようですし、家と家との繋がりは強くなります。ですが、結局…ご本人達が成人されてから、正式に結婚される直前になりまして、自分で見つけた恋愛相手と結婚したいと、揉めているようなのですわ。それだけ…恋愛結婚が主流となって来ているのでしょうね?…まあ、今のわたくしには、あまり関係のないことですわ。


流石に、トキ様とわたくしの婚約に異を唱えるお(かた)は、今のところはいらっしゃいませんわね。トキ様がわたくしをあまりにも大切にしてくださっておられる為に、皆様が誤解されておられるのでしょう。そのトキ様のわたくしへの態度と比べますと、エイジのリナに対する態度は、明らかに政略家婚という感じでしたから、狙っておられる子女も多いのでしてよ。




    ****************************






 「そんなことが…あったんだね?…リナ嬢は本当に、エイジには勿体ないぐらいの人だよ。エイジはもう少し、リナ嬢を大切に扱うべきだな…。」

 「本当に、そう思いますわね。でも…リナは案外と、そういうエイジのことを、気に入っておられますのよ。でなければ、リナの性格からしましたら、もっと距離を置かれると思いましてよ。それに…案外とあれで、お似合ですわよね?」

 「そうだね。エイジは時々、お人好し過ぎるところもあるし、馬鹿なこともしていると思うけれど、自分の悪い部分はきちんと認めるし、潔くて好感が持てるよ。僕個人としては、エイジのことは()()()()()()()んだけど、リョーの弟としては…決して、嫌ってはいないんだよね…。」


上手く説明出来ませんけれども、昔から…トキ様は、エイジのことになりますと、何処となく冷たい言葉を仰られたりします…。リョー様とは、昔から仲良くされておられますのに。わたくしとリナと通して、エイジのこともよくお知りになられている筈ですが。エイジと初対面の頃から、彼には冷たい態度を取られていたような気が…。もしかして…エイジが昔、トキ様に()()()()()()()()()()()とか…。

それが本当のことでしたら、わたくし…呆れましてよ。


 「カノとリナ嬢が5歳の誕生会を期に、本格的に前世の記憶が戻り始めている。エイジは今年になってから…ということだから、彼の7歳の誕生会が切っ掛けだろうか…。後は、ユイとリョーの本人達に、確認した方が良いだろうね。安易には、こちらから聞けない部分もあるからね。特にリョーには、ね。」


そうなのですよね。トキ様の言われる通りですわ。どうやら、ご自分のお誕生会が切っ掛けで、皆さま思い出されているようですわ。ユイ様も6月で、5歳のお誕生会を迎えられておられます。わたくしが思うに…5歳~7歳頃のお誕生会で、前世の夢を見るようになるのでは…ないかしら?


 「あの…トキ様は、前世の記憶は…お持ちではないのですか?」


わたくしが今一番気にしております問題を、トキ様に問い掛けます。わたくしの周りの方々には、前世の記憶をお持ちの方々が多く、もしかしたらトキ様も…と期待致しましたのよ。彼は首を軽く振って、全否定されましたのよ。……残念です。


 「僕には…カノ達が言うような、不思議な夢は全く見ないし、記憶もないんだ。だけど……前から思っていたことだけど、君達が話す言葉の意味も…何となく理解出来るし、カノ達にも何だか、親近感が()()()()()()()というか……。」

 「前世の記憶が…全くありませんのに?」

 「…うん。自分でも…不思議だと思うけれど、今のところ、僕にも全く…理由が分からないんだ…。」


ところが…トキ様は、前世の転生者であることを全否定されながらも、わたくし達の前世の言葉が何となくでも分かるだとか、わたくし達にも最初から親近感が湧いていたとか、本当に不思議なことを仰られるのです。彼自身にもよく分からないことだというお話ですし、わたくしに分かる筈がございません。ただ…彼がそういう嘘を吐かれることがないと、わたくしは十分に理解しておりますのよ。


取り敢えず、ユイ様には、わたくしからお話してみましょうか。わたくしならば、本音を言ってくださるかもしれません。ですが…リョー様には、わたくしからお話することは無理ですわね。本来は、友人で在られるトキ様から、お話して頂くのが一番いい方法だと思われます。それでも本音をお話されるかどうかは、賭けみたいなものでしょう。


 「あの…トキ様。ユイ様のことでしたら、わたくしにお任せいただけませんか?わたくしになら、きっとユイ様もお話してくださると思うのです。」

 「勿論、そうしてもらえると助かるよ。ただ…カノが前世記憶保持者だと、ユイに…バレてしまうけど…いいの?」

 「…ええ。そういうリスクはございますけれど、わたくしがお聞きした方が良いと思いますわ。お兄様であるトキ様には、本当のことをお話になりにくいと思います。それに…トキ様には、残念ながら転生者ではございませんので、ユイ様も警戒なされるでしょう。一度警戒なされば、その後わたくしがお聞き致しましても、本音を隠されるかもしれませんわ。」

 「確かに…そうだね…。カノの言う通り…なのかもしれない。ユイのことは、カノにお願いしようかな?…だからと言って、()()()()()()()()からね?…両親も僕もユイのことを、大切に思っている。両親にバレても、きっと王家には監視されないようにしてくれる筈だよ。だから…カノが無理しなくていい。カノの方がリスクがある、と思ってほしい。」


わたくしは、ただ…ユイ様の力になりたいと思っただけ。それなのに…トキ様はわたくしのことを心配なさるあまりに、無理しないようにと仰られますのよ。

トキ様!…ユイ様は…わたくしがお助け致します。少しは…()()()()()()()ませ。

 前半は、前回の番外編でのエイジとリナの過去の遣り取りを、カノンに報告した後、という状態ですね。順番では、前回の番外編→21話→23話ですね。

後半は、再度後日に、トキとカノンのお茶会をしている状況です。

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