プロローグ
「今月の注目作家・進藤涼」
『太陽のリング』で鮮烈デビューを果たした進藤の心境に迫る。
担当記者(以下:担当)「早速ですが『太陽のリング』という作品についてお聞かせ願えますでしょうか?」
進藤涼(以下:進藤)「はい、『太陽のリング』は、自殺未遂で入院している女性と、売れないアイドルが病院内で出会うことから話が始まるんですが、私個人としては恋愛小説でもミステリーでもなく、ハッピーエンドでもバッドエンドでもないというか……(笑)、それは読み手の受け取り方次第といいますか。全てにおいて読者の皆様に丸投げしたような作品だと思っていますので、何度か読んでみてどんな風に感じたか教えていただけたら、私も気付かなかったような結末が見えるかもしれないなと秘かに思っています。本当に、他力本願ですね(笑)。でも一応、私の中では『これ』という結末も存在しています。フィクションなわけですから、解釈の仕方は無限にあってもいいと思っていますしね。」
担当「凄く斬新な丸投げの仕方ですね(笑)。私も読ませていただきましたが、もしかしたら先生の思っている結末と違うかもしれないんですね……後程先生の思う結末についてお伺いしてもいいですか?」
進藤「(笑)もちろんです。担当さんの意見も是非お伺いしたいです。」
担当「ではここからいくつかプライベートな質問も……」
進藤「お手柔らかにお願いします(笑)。」
担当「作家を目指したきっかけなどはありますか?」
進藤「幼少期から沢山の本に触れてきて。日本語で表現することの……パズル感といいますか、どの言葉を使うか、前に持ってくるか後ろに持ってくるか、といったような沢山の選択肢から適切なピースを選んでいく過程が楽しくて……あれ、変ですか?」
担当「いえ、なるほどそういった感覚なんですね。先生の文章は流れるように柔らかいのに隙がないといった印象でしたから、納得です。」
進藤「納得ですか(笑)。」
担当「はい(笑)、では趣味などはありますか?」
進藤「うーん……本当に無趣味でして。強いて言うならショッピングでしょうか。家具屋さんで何時間もうろうろしていたりしますよ。特に買わないんですけどね(笑)、自分の部屋に当てはめて妄想したりしています。」
担当「私それ電気屋でやってます(笑)。では休日は外に出ることが多いですか?」
進藤「それが全然。家から出ることはほとんどないですね、買い物は殆どネットに頼っているので(笑)。」
担当「ネット廃人じゃないですか(笑)。好きなアーティストとか、作業中に決まって聴く音楽などはありますか?」
進藤「決まって聴く音楽はこれといってないんですが、応援している方は居ますよ。内緒ですけど。」
担当「えー、気になりますね。オフレコで伺っても?」
進藤「謎は残しておきたいので、せめてそこだけ謎にしておきます。」
担当「余計気になります……。では最後に読者の皆様にメッセージを。」
進藤「はい。今回は初めて自分の作品を多くの方に見てもらえたということで、本当に夢のような気持ちです。特に難しいお話ではありません。一人の男性と一人の女性の生き様を、皆様にも見届けていただけたらと思います。本当に沢山の方に協力して頂いてこの作品を世に出せたことを嬉しく思っていますし、感謝してもし足りません。これから良い作品を生み出していくことで、恩返ししていけたらと思います。読者の皆様にも色んな進藤涼を知って欲しいので、形にとらわれずに良い作品を書いていきたいです。今後の進藤涼にも期待していてください。ありがとうございました。」
担当「進藤先生、ありがとうございました。今後の活動にも期待しています。」