彼の日記9
11月21日
昨日盗んだ、患者の資料を見た。僕としたことが、悲しいミスをしてしまった。去年の資料を持ってきたつもりが、今年の資料を取ってきてしまったみたいだ。
僕は今が西暦何年かは知らないんだよ。病院のどこにも書いてないし、カレンダーも日付だけだし。
確かに去年の資料を持ってきたと思ったんだけどな…新しい方から2つ目の資料を取ったと思ったのにがっかりだ。
ちゃんと確認すればよかった。
M-3-Bのところにはすでに、僕の写真があった。かなり髪が長い。僕が目覚めた時には確かに髪がぼさぼさだったな、とか思うと、この何ヶ月かで僕は新しい僕としての人生をちゃんと生きてきたんだなと実感した。
しかしどうしよう。もう一度資料室に侵入するのは難しい。せっかくのチャンスを棒に振ってしまった。まあでも、この病院にいる限りは何かしらの情報はあるはず。
早く知りたいけれど、焦らずまた作戦を考えようと思った。
11月28日
不思議な夢を見た。今日はみるちゃんはいつもより少し長めの検査で、暇だった僕は昼にもかかわらずちょっと寝てしまってたんだ。
ベットの下をネズミみたいな何かが這っていて、僕はそれにいらいらしてベットの下を覗き込んだんだ。そしたらベットの下から1枚の手紙がひらひら落ちてくる夢。そこは今僕が盗んだ資料を隠している場所だったから、ちょっとドキッとして目が覚めたんだ。それで気になって、まさかとは思いながら同じ場所を調べたら、まさか、ね。
そこから身に覚えのない1枚の紙切れが出てきた。びっくりしたよ。それは予知できたことが、じゃなくて、内容だよ。こんなことが書いてあった。
「この紙については絶対に他の人に告げ口しないこと。恐らく君は記憶喪失だろう。そして、君の記憶はこんな所にいては絶対に回復しない。前のことを思い出したければ僕の言う通りにするんだよ。僕たちはなんらかの記憶障害だ。だから念の為、この紙を読んだら下にチェックを入れてくれ。」
下を見ると、正の字が1つと4画目まで書いてある。今までここで治療してきた人が書いたのだろう。前に3-Bは逃げ出したと資料に書いてあったのを見た。もしかしてこの紙を書いた人物だろうか。
記憶を取り戻した3-B。僕も彼の真似をすれば上手く記憶を取り戻せるかもしれない。だけどどうしてこんな所に隠してあるのだろう。やっぱり僕はまだまだ調べなきゃいけないことがあるみたいだ。




