彼の日記8
11月20日
今日、医務資料室に侵入してきた。秘密だよ。バレたらどうしようかと思ったけどうまくできてよかった。
医務資料室に入るには、ナースステーションで鍵を取って来なきゃだめだった。こないだ見たシフト表から、看護師さんが1人の時間帯を狙った。この病院では夜間も看護師がステーションにはりついているんだけど、夜中の2時〜5時までの間に1時間だけ、1人しか残らない時間があるんだ。それは前に隣の部屋の男の人が発作を起こした時に気付いたんだけどね。多分休憩の関係だろう。
それで、その時間を狙って僕がこっそりみるちゃんのナースコールを押した。同時に自分のコールを押して、室内に虫がいる、簡単に捕まえられそうだけどみるちゃんが怯えているので来てくださいと呼び出したんだ。
それから室内に羽虫を放って、みるちゃんを起こす。ちなみにこの虫は屋上でこっそり捕まえたものだよ。
みるちゃんが軽くパニックになったところで、捕まえられそうなものを持ってくると言って出て行く。みるちゃんが虫嫌いでよかった。
小さな虫が部屋を飛び回っている。あんな小さな虫、すぐに捕まえられるわけない。かといってナースステーションに近いこの部屋なら、他の看護師を呼ぶ必要もないだろう。僕、今日は冴えてるね。そこでナースステーションに入って、この前侵入した時に確認した鍵置き場から資料室の鍵を盗む。これで医務資料室の鍵はゲットだ。
それで、さっと侵入して2年前の記憶障害部門の資料だけを抜き取ってきた。明日の夜、ゆっくりみようと思ってるよ。
鍵はトイレの近くに落として、看護師さんが出てくる時に捕まえられましたか?と焦ったような口ぶりで言いながら病室に戻ったよ。




