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ブックマーク並びに評価をして頂き、本当に有難う御座います。

誤字脱字や内容の矛盾には気を付けておりますが、若し見受けられた際は、知らせて下さると幸いです。

 それはとある城で起こった出来事でした。

 その城では一人の女の人がメイドとしてが働いていました。

 女の人はとても美しく、端正な顔立ちをしていました。

 その上とても心優しく、誰からも愛されていました。

 城で働く者達は皆、女の人の笑顔に癒されていたのです。

 しかし、そんな女の人に嫉妬した一人の醜女がいました。

 醜女は顔は美しかったのですが性格が醜く、誰からも嫌われておりました。

 自分よりも愛されている彼女が許せず、様々な嫌がらせをしました。

 仕事を押し付けたり、嘘の噂を流したりしました。

 ですが、そんな噂を信じる者は一人としていませんでした。

 寧ろ更に醜女は嫌われて行きました。

 自分が嫌われているのは全部女の人の所為だと思い込んだ醜女は、女の人がいなくなれば自分が愛されると信じ、女の人が一人でいる時に女の人を階段から突き落としました。

 まるで女の人が足を滑らせて転落したように偽装して。

 女の人は打ち処が悪く、亡くなってしまいました。

 城で働いていた人達は直ぐに醜女の仕業だと判っていましたが、証拠がありませんでした。

 それから暫くしてです。

 その城に異変が起き始めたのは。

 夜の城を巡回している兵がいました。

 兵は長い廊下を進んでいると先にある曲がり角で、白いものがヒラリと舞うのが見えました。

 不思議に思った兵が走って行き、何なのかを確かめる為に角を曲がりました。

 其処にいたのは、白いワンピースを着た死んだ筈の女の人でした。

 驚いて声も出せない兵に女の人が微笑んだ瞬間、兵は急な睡魔に襲われ、意識が保てず気絶してしまいました。

 朝になり、同僚に兵に起こされた兵が寝ていた場所は気絶していた場所。

 そして兵は昨日の夜になのがあったのかを話しても、夢だといわれてしまいます。

 それから日を追う毎に目撃者は増えて行きました。

 城で働く者達は女の人が戻って来てくれたと喜ぶ半面、未だに彷徨っていることに嘆きました。

 その話は勿論、醜女にも届きました。

 醜女は全く信じていませんでした。

 自分が殺したのだから当たり前です。

 ですが、気味が悪いのも事実で。

 なので醜女は自分の部屋を抜け出して確認しに行くことにしました。

 時刻は草木も眠る深夜二時。

 醜女は目撃情報が多い曲がり角に遣って来ました。

 ですが、何もありません。

 やっぱり夢かなんかを見ていただけかと思い、部屋に帰る為、来た道を戻ろうと後ろを振り向きました。

 振り向いた真後ろにいたのは恐いほど美しく笑みを湛え、真っ白なワンピースを着ている自分が殺した筈の女の人でした。




 「女の人を殺した醜女はそれ以来二度とその姿を現すことはありませんでした。醜女の行方を知っているのは女の人だけ。その女の人は、今もなおこの城で彷徨い続けているのです・・・・・」


 「「「きゃああああああああ!!!」」」

 

 「・・・・・・・」




 今私は同僚の『ミーナ・レストン』の家で、他三人の同僚、『ケイト・メイリー』、『セイラ・チャールズ』、『リンデ・マイラス』と共に怪談話をしています。

 何故こんなことをしているかのかというと、本来なら今日はお泊り会だったのです。

 私達五人は所謂同期で、年齢に差はありますが仲が良かったのです。

 なので誰かの家にお泊りをして女子会を開くことになりました。

 其々家を持っているのですが誰にするかで悩み、じゃんけんの結果、今夜は私の家になりました。

 

 セイラが最近熱いので何か涼めることがしたいと言い出したのが切っ掛けだった。

 それに乗っかったのがケイトで、じゃあ、怪談でもしようかということになりました。

 地元は国外やこの街の外だったりするので、其々が知っている怖い話を言って行くことにした。

 言い出しっぺのケイトから始めり、今はミーナの番。

 話されたのは実際にこの城で起こったという話。

 何というか・・・・・・・。




 「(・・・・・・凄く胡散臭い)」


 「すっごい怖いんだけど・・・・それホントの話なの?」


 「知り合いの王宮勤めの子に聞いた話なんだけど、たまに出るらしいよ。その子は見たことないらしいんだけど、巡回している兵士さんとかがヒラリと舞う白い布みたいなの。しかも火の玉も出るらしいし」


 「えぇ・・・・マジ?」


 「本当か如何かは知らないけど、よく噂はされているみたい。さっきから何の反応もないけど、次はシェリアだよ」


 「はい。では行きます」




 昔々、とある国の国境近くにとある集落がありました。

 その集落の周りには山に森があり、閉鎖的な集落でした。

 その集落の住人達は皆助け合い、楽しく暮らしておりました。

 ある年、集落に大雨が降り、川が氾濫し、土砂崩れも起こり、集落は酷い被害を受けました。

 育てていた作物も何もかもが駄目になり、集落は飢饉に陥りました。

 ですが、集落の周りは山に囲まれていたので集落の男達は山へ入り、獲物を狩ったり食べられるものを採取してくることになったのです。

 そのおかげで集落の者達は多少の犠牲は出ましたが、何とか持ち堪えていました。

 そんな日々が続く中、集落の少年があることに気付いたのです。

 男達が山へ入って食べ物を取りに行くことになって以来死人は出ていない筈なのに、段々と人がいなくなっていることに。

 数日前は向かいの年上のお姉さんが。

 五日前には同い年の子供が。

 一昨日には隣の年下の子が。

 一人、また一人と消えて行ったのです。

 しかもその子達は皆、あの災害で両親を亡くした子供や体の一部がなくなった子供ばかり。

 怪しんだ少年は一人、山に入って行く男達の後をつけたのです。

 男達は狩りに行かず、山の中にある小屋に入って行きました。

 少年は小屋の中を覗こうと、そっと窓に近付き、中を覗きました。

 其処で少年が見たものは大きな机の上に横たえられた一昨日いなくなった年下の子と、その周りを囲んでいる男達でした。

 少年は一体男達が何をしているのか分かりませんでした。

 唯一つ分かったのは、年下の子が死んでいるという事実だけでした。

 顔は青白く、上下していない胸部。

 それだけで十分でした。

 そして男達は年下の子をあろうことか解体し始めたのです。

 それはまるで、鶏や牛等を解体している時と同じように。

 集落一頭の良かった少年は男達の目的や自分達が今まで一体何を食べて来たのかを理解してしまったのです。

 その事実を知った瞬間、少年を性急な吐き気が襲い、胃の中にあるものを吐き出しました。

 勿論出来るだけ静かに。

 そのおかげか、男達は少年の存在には気付いていません。

 少年はすぐさま山を下り、集落に向かいました。

 少年には幼い一人の妹がおりました。

 家に帰った少年は妹を抱き上げ、何とか残っていた僅かな食料を持って、集落から逃げ出しました。

 少年達の両親もあの災害で失っていたからです。

 次は屹度自分と妹だと思った少年は逃げ出したのです。




 「で・・・・・ど、如何なったの?」


 「少年と妹は近くの町の衛兵に事情を話して助けを求めました。最初は疑っていた衛兵でしたが、少年の身なりやその必死さから事の重大さを理解し、直ぐにその集落に数名の部下とともに向かいました。少年に案内された衛兵達が其処で見たものはあまりに酷い光景でした。田畑や家々は荒れ果て、道端には腐った死体が転がり、生存者は誰一人としていませんでした。少年の証言にあった山小屋へ行くと其処には、大量の人骨が発見され、小屋の中はまるで屠殺場のような有様でした。衛兵は本部へ緊急連絡しました。衛兵は少年にこれからのことを伝える為、小屋の外にいる少年の元へ向かいましたが」


 「・・・・・・が、なんなの?」


 「其処に少年の姿はおらず、少年が立っていた場所にあったのは・・・・・・・・一つの小さな亡骸だけでした」


 「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」


 「如何かしましたか?」


 「如何かしましたじゃないわよ!恐過ぎて言葉も出ないわよ!」


 「つまり、その少年は既に亡くなっていたってことよね・・・・・?」


 「それは・・・・・・如何でしょうね?」


 「・・・・・・・」


 「ん?一寸!恐過ぎてリンデが座ったまま気絶してるわよ!?」


 「リンデしっかりして!!」


 「っていうか、さっき話した私の話よりも断然怖いじゃないのよ」


 「でも、流石に実際にあった話じゃないですよね。屹度言い伝えみたいなものですよね」


 「ふふっ」


 「何その意味深な笑みは・・・・・・」






 そんな会話が続き、夜も更け。

 セイラのこの一言が全ての切っ掛けでした。




 「ねぇ、さっきミーナが言ってた怪談あるじゃない?」


 「それが如何かした?」


 「今から行って、確かめてみない?」


 「それは良いね」


 「でしょ・・・・・って・・・・・」


 「「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」」


 「?如何かしたの?ん?シェリー、何処連れて行くの?」




 私は突然現れたその人の首根っこを掴んで、家の外へと連れ出した。




 「何で此処にいるんですか、殿下!!」


 「何でって言われても、来たからいるんだけど・・・・・」


 「そういう話ではありません!抑々如何やって中に。鍵かけた筈なのですが」


 「これ」




 殿下が持っていたのは一つの鍵。

 それは私が玄関の植木鉢の下に置いていた予備の鍵だった。

 



 「何でそれの在りかを・・・・・!」


 「あんな簡単な処に隠しても、隠しているなんて言わないよ」


 「だからと言って、一国の王子が人の家に不法侵入していい理由にはならないでしょ!?それに何で殿下が一人でこんな夜中に出歩いているんですか」


 「だって・・・・・・・最近全然会えてないから・・・・・会いたかった」




 殿下は少し泣きそうな顔で私を見つめる。

 う、そんな眼で見られたら何も悪いことしていないのになんだか罪悪感が・・・・・。




 「そ、それよりも、こんな処に王子が来たって皆が知ったら大騒ぎになります。取り合えず、これに着替えて下さい」


 「え、一体何処からそんなものを・・・・・ハッ!真逆・・・・!」


 「新品なので、安心して下さいね」


 「ア、ハイ」











 「彼女は私の親戚のクラナです」


 「クラナと言います。宜しくお願いしますね」


 


 殿下に私の服(新品)を着て貰い、女装して貰うことになった。

 男性がこんな夜遅くに来ると、色々と疑われかねない。

 元々殿下は中性的な顔立ちをしていらっしゃるので丁度良い。




 「でもなんでまたこんな夜更けに?」


 「たまにあるんです。何時来るとか連絡せずに唐突に。それも時間構わず」


 「今日もシェリーに会いたくなっちゃって・・・・・。勿論寝ていたら起こしたりしませんし、そのまま私もベッドの中に入れさせて貰います」


 「初めて遣られた時は流石に驚きましたけど」


 「それはちゃんと誤ったでしょぉ」




 殿下、演技力が凄かった。

 男に見えない。

 完璧な女の子だった。

 しかも何でそんなにもノリノリなんですかね?

 凄く楽しそうなんですけど。




 「で、行くんでしょ?だったら早く行かない?」


 「うーん、行きたいんだけど、こんな時間から行って開いてる訳なんてないしさぁ・・・・・それに不法侵入で捕まんないか心配で・・・・」


 「あ、それなら安心して私に任せてね!」


 「「「「・・・・・え?」」」」


 「・・・・・・・・・」




 また何か遣らかす気ですね。










 はい、遣らかしました。

 今私達は王宮内部に来て、目的地へと向かっています。

 殿下に案内されて行ったのは王城の裏手にある森の中。

 其処の草で覆われている処に塀に穴が開いている処があり、其処から入りました。

 許可の方は殿下が「バレなきゃ大丈夫」と言っていたので、おそらくバレたとしても自分が許可を出したということにするんでしょう。

 それに殿下が一番乗り気ですし。



 王宮内は矢張り暗く、窓からの星明りと月明かりが唯一の(しるべ)

 殿下はというと、私の腕に抱き着いてニッコニコ。

 長い廊下進んでいると、何処からか「カラン・・・」と何かが落ちる音が聞こえて来た。

 それに気付いたのは如何やら私だけで、殿下を含め誰も気付いていない様子。

 気の所為かと思った矢先に、前を歩いていた四人から短い悲鳴が聞こえた。




 「如何かしたんですか!?」


 「い、いい今、あそこの曲がり角に、なんか、し、白い、ぬ、ぬ、布みたいなのが・・・・」


 「行って見ましょう」


 「え!?ちょ、シェリア!?」




 皆が止める中、私は一人曲がり角まで行きました。

 曲がり角はL字で、左の方向に道が続いている。

 角に着き、その先を見てみると其処には何もなく、唯廊下が続いているだけ。

 何もなかったことを伝えると、皆は安堵した。




 「一体此処で何をしているんですか?」


 「「「「きゃあああぁぁぁぁあああああああ!!!!」」」」


 「あ、宰相閣下。こんばんわ」


 「へ?宰相閣下?」


 「はい、こんばんわ。宰相ですが何か?」


 「「「「し、失礼しました・・・・・」」」」


 「一体何をしているのか、勿論お聞かせ願えますね?」


 「「「「「「・・・・・・・」」」」」」












 「・・・・・何故女性だけでこんな夜更けにこんな処にいるのかはよく分かりました。本来なら罰があります。が、今回は特別に見逃しましょう。・・・・・事情もおありのようですし・・・。本当に今回だけですよ」


 「「「「「有難う御座います」」」」」


 


 最初からの経緯を話し、何とか宰相閣下にお許しを貰えた私達と閣下が外まで送ってくれることとなった。

 話を聞かれている間、閣下はずっと殿下のことを睨まれておいでで、殿下も勿論それに気付いていて。

 殿下は冷や汗をしながら如何言い訳をしようかと悩まれているようだった。

 まぁ、実際に悩まれているのだが。

 



 「それにしても、あの時見えた白いのって何だったのかしら?」


 「白いの、ですか?」

 

 「あ、はい。丁度さっきの曲がり角で、何か白いものが見えた気がしたのですけど・・・・・」


 「ああ。それなら屹度これでしょう」




 そう言って閣下が掴んだのは自分の着ているローブ。




 「あそこには角の曲がった先の壁にはドアがあり、私が出て来た処に繋がっているのです。ですので、私が入った時にチラッと見えたのかもしれませんね」


 「あぁ、成程。そうですよね。王宮に幽霊が出るなんてそんなことある訳ありませんもんね」


 「先程話されていた噂に関しても唯の作り話。実際そんな事件はありませんよ」




 「ですよねぇ」と皆納得しているようだ。

 けど、私が見に行った時に確かに扉はあったものの如何考えてもあの位置から翻ってローブが見えたとは考えられない。

 それに今日は満月で夜にしては明るいとはいえ、あの距離から見えたとは考え難い。

 まぁ、私は実際に見た訳ではないから見間違いっていうのも考えられる。

 私は隣にいる殿下をふと見た。

 殿下はそんな私に気付き、ニコリと笑った。

 出口へ向かう私達に向かって風が吹く。

 丁度暑かったから気持ちがいい。

 さぁ、帰ろうか。








































































































 廊下の曲がり角で白いワンピースが翻った。




------------------------


見取り図です。


赤の矢印=シェリア達の進んで来た方向

青の矢印=宰相の進んで来た方向


挿絵(By みてみん)

此処まで読んで頂き、本当に有難う御座いました。

今回は暑くなって来たということで、少しホラー要素を取り入れてみたのですが、なったか如何かはよく判りません。

これからも頑張って投稿して行きますので、宜しくお願い致します。

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