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ⅧーⅡ

遅くなり、申し訳御座いませんでした。

3作品目を書き始めてしまいました.....。

書きたくなったんです。

手がというより筆が滑ったんです。




ムーンライトノベルズに投稿しています。

BL小説となっております。

気になった方はどうぞお読み下さい。

題名→『狂ったβは運命を求む』

暗い......。

寒い......。

身体が動かない......。

此処は何処なのかも分からない。

なんだかこんなこと前にもあった気がする.....。

でも、なんだっけ。

思い出せない。

大事なことだった筈なのに......。


















私は眼を覚ました。

頭は未だぼんやりしているが、意識ははっきりしている。

良かった。

眼鏡はちゃんとしているようだ。

でも、身体が動かない。

分かる範囲で状況を整理していく。

確か、私はリーラと一緒に散歩をしていた筈だ。

ドッグランへ行って、其処から帰ったことは覚えてる。

そして、リーラが急に吠え出して.......そうだ、いきなり襲われたんだ。

よく分かんない人達に。

其処からの記憶はない。

多分、いや、確実に拉致られたようだ。

その上、此処は牢獄のような檻がある場所。

体の感覚はあるので分かるのだが、挙句にご丁寧に両腕両足に枷まで嵌めてくれている。

完璧に監禁されている。

拉致監禁だ。

一体誰がこんなことをと思うが、誰だか分からない。

結構強い薬を使われたのだろう。

思考は出来るが、その他が駄目だ。

精々動かせるといえば瞬きぐらい。

いや、逆に瞬き出来て良かったかもしれない。

瞬きが出来なければ眼が乾いて悲惨なことになっていただろう。

こんな状況になると人は逃避に走ってしまうというのは本当らしい。

にしてもどれだけ強い薬を使われたのだろう。

今やっと指が少し動かせるぐらいだ。

うわぁー、最悪。

これ絶対殿下関係だよね?

ただの平民のシェリア・ファランドが誘拐される筈ないもの。

身代金目的なら貴族を狙う。

こんな平民誘拐したって一銭にもならない。

じゃあ、絶対に殿下じゃん。

原因殿下しかいないじゃん。

絶対に何処かの貴族の当主か令嬢が殿下の実質的婚約者になったらしい私が目障りで起こしたことだよ。

うわぁー、我ながらとんでもなく面倒な人を好きになったものだなぁ。

仕方ないけど。

こんなことになるとは薄々思ってたけど。

えー、これ、如何しよう?

如何も出来ないよね?

私動けないし。

一寸、ヤダァ。

え、このままお姫様タイム?

童話のお姫様みたいに王子様に助けに来てもらうまで待ってるってこと?

はぁ。

凄く私の柄じゃないんですけど。

キャラ違う?

屹度皆もこんな事態になったらキャラなんてなくなるから。

でもって、私は何時までこうしていなくちゃならないんだろうか?

いい加減黒幕が来て、「身の程知らずめが。平民の分際で皇太子の婚約者になぞなろうとするからこんな眼に会うのだ。精々自分のした選択と皇太子を恨むがいい。ワッハッハッハッハッハ!!」とか言ってくれればいいのに。

面倒だなぁ。




「此処におるのか」


「はい。捕らえて牢に繋いであります。しかし薬の影響で言葉どころか動けはしないかと」


「ふん。そうか。まぁ、そんなことは如何でもよい。ちゃんと捕らえられたのであればな」




噂をすればなんとやら。

黒幕の登場のようだ。

歳は40代、いや、50代ぐらいだろうか。

体は横に太く、王族が持つ色を持っていた。

屹度公爵だろう。

色濃いということは、先祖返りかはたまた陛下のご兄弟か従兄弟か。




「この者が?」


「はい。特徴の合致する者を探した結果、シェリア・ファランドで間違いないかと」




名前がバレている。

私の名前は婚約発表時まで伏せることになっている。

なので知っているのは殿下に宰相閣下、両陛下に、信頼のおけるもの数名だけ。

幾ら王家の血筋のものでも知りえない筈......。

ということは、内通者がいるな。




「身の程知らずめが。平民の分際で皇太子の婚約者になぞなろうとするからこんな眼に会うのだ。精々自分のした選択と皇太子を恨むがいい。ワッハッハッハッハッハ!!」




そう言うと公爵 (仮)は従者らしき人を連れて出て行った。

にしても.........本当に言いやがったよ、彼奴。




























あれから数日経った。

薬もだいぶ抜け、言葉は未だ話せないものの、足を曲げたり腕を曲げたりするぐらいには回復した。

逃げる時に足腰が弱っていないように監視がいない時に曲げたり伸ばしたりを繰り返す。


そして、数日で分かったこともあった。

ご飯は少ないながらも一応1日3食で、死なせないようにはしていること。

自力では食べれないので持って来たメイドに食べさせてもらっているのだけど。

メイドは私のことに結構罪悪感というか、何かしらの思いがあるらしく、情報を独り言と言いながらくれたりもした。

此処は王弟であるサルードワイズ公爵の屋敷の地下牢であること。

自分はこの屋敷の令嬢である『マリリア・ルド・サルードワイズ』の直属のメイドであること。

サルードワイズ公爵は自分の娘であるマリリア嬢を殿下の妃にしたいこと。

けれど従兄妹同士の婚姻はこの国では認められておらず、なんとか従兄姉弟妹同士の婚姻を認める法案を出しているが認められずにいること。

殿下が幼い頃は事ある毎に刺客を送り込んでおり、今は殿下が有能なのでそんなことはしなくなったが、如何してもマリリア嬢を妃にし、自分の地位を上げたいと思っていること。

けれどマリリア嬢はそれをよしとはしておらず、両陛下の協力の元なんとか父を止めようとしていること。

それに、マリリア嬢には幼い頃からの想い人がおり、相手もマリリア嬢のことを想っていること。

私に対して酷く申し訳なく思っていること等々。

色んなことを聞かされた。

こんなことを言われても最初は信じられなかった。

前例もあったし。

けど、眼の前にいる彼女が嘘を吐いているとも到底思えなかった。

でなければあんなにも必死に、泣きそうに話したりはしない。

とてもマリリア嬢のことを想っているのだと分かった。

食事も自分が手ずから作っているから問題ないと言われたし、気付かれない程度に色々としてくれている彼女にはとても感謝している。

マリリア嬢も此処に来たがっているそうだが、何分監視の眼がきつく、部屋から出られないでいるらしい。

奥方はマリリア嬢が幼い頃に病で亡くなっており、いないらしい。



メイドの彼女が出て行き、また一人になった。

私に盛られた薬の種類が分からず、解毒しようにも出来ないので自力で何とかするしかない。

これだけで済んでいるのは私だったからだろう。

他の者ならば廃人同然だった筈だ。

とんでもない薬を盛ってくれたものだ。

にしても、暇な日々が続く。

あれ以来黒幕公爵は来ない。

一体何をしているのか分からないが、これ程音沙汰がないのは些か気味が悪い。

何を企んでいるのやら。



それから更に数日経った。

黒幕が来る気配がないどころか助けが来る気配すらないとはこれ如何に。

唯一来るのはあのメイドだけ。

情報を報告しに来てくれるが、中々上手くいっていないようだ。

何せ公爵が隠すのが上手かった。

確実な証拠が上がらないらしい。

いっそ此処に突入して私を証拠とすればいいのにと思ったが、それを察知した公爵が私の居場所を移動させたら元も子もないらしく、公爵に弱みを握られていたらしい内通者は取り押さえられたが、歯の奥に仕込んだ毒で自害したらしく、手詰まり状態。

唯一の頼みの綱であるマリリア嬢は屋敷内に監禁状態。

 詰んだ。

 そう思わざるを得なかった。


 メイドが出て行った後、私はこれから如何しようか迷っていた。

 今のままでは身動きが出来ない。

 何とか動かせられるのは両腕両足の関節のみ。

 立ち上がろうにも身体は言うことを聞かず、これでは移動のしようもない。

 ヤバいと思いながらも太刀打ち出来ないこの状況はとても悔しかった。

 自分の夢であった図書館司書を両親や周りに否定された時よりも明らかに悔しい。

 唯助けを待つしかない自分が不甲斐なくて仕方がない。

 殿下のことだから必ず助けてくれるとは思う。

 あれだけ邪険にされながらも仕事の合間を縫って態々王立図書館に来る筈もない。

 あのお人はチャラそうに見え......実際数々の浮名を流す程チャラいのだが、一度心から好きな者がいれば一途になってしまうことはよく分かっている。

 事実なのだからしょうがない。

 そんなことを考えていると、牢の扉が開かれ、一人の女性が入って来た。

 女性はメイド服を着ており、一瞬あのメイドかと思ったけれど、さっき来たのでおそらく違う。

 では一体誰が...と思い、何とか顔を持ち上げ相手の顔を見ようとする前に相手が私の目線に合わせてしゃがんで来た。




 「ファランドさん。シェリア・ファランドさんですね?」




 優し気な声で語りかけられる。

 私は肯定する為に何とか首を縦に振る。




 「わたくしはマリリア・ルド・サルードワイズと申します。この度は我が父、ガルドス・ルド・サルードワイズが貴女にこのような非道な真似をしてしまい、大変申し訳ありませんでした。簡易的な謝罪で申し訳ありませんが、時間が迫っておりますので正式な謝罪は後日必ずさせて戴きます。兎に角、此方をお飲み下さい」




 そう言ってマリリア嬢が取り出したのは一つの小瓶。

 中には何かの液体が入っているようだ。




 「これはファランドさんに使用された薬の解毒剤です」




 「如何して」という私の思いを汲み取ったかのようにマリリア嬢は答えた。




 「父が取り寄せた物の中に薬がないか調べたのです。薬自体はなかったのですが、おそらく怪しまれないように材料だけ取り寄せ、薬剤師を脅してでもして精製させたのでしょう。早くお飲み下さい。事態は一刻を争うのです」




 私はマリリア嬢の言葉を信じ解毒薬を飲もうとした。






































































































































































 「お待ちになって下さいッ!!!!」




 マリリア嬢はハッとし、声がした方を振り返る。

 鈴のような声だった。

 其処にいたのは質素ではないが何処か上品さがあるドレスを身に着けた女性。

 如何見ても令嬢だ。

 この屋敷に令嬢と名の付く人物は一人しかいない。

 



 「マ、リリア....様....。如何して此処に」


 「如何しても何もありません。貴女が大変な間違いを犯そうとしているから此処にいるにほかありません。一体何をしようとしているのですか。その手に持っているものは解毒薬ではありませんね」




 なんだこの修羅場。

 つまり私はこのメイド服を着ている偽マリリア嬢に騙されかけたという訳か。




 「美帆(メイファン)!」


 「は!」




 メイファンと呼ばれた食事を持って来てくれていたメイドは一気に偽マリリア嬢との間合いを詰め、その顔を思い切り蹴り飛ばす。

 飛ばされた偽マリリ.....面倒だから偽マリで。

 兎に角偽マリは蹴り飛ばされた衝撃で牢の壁に激突し、そのまま気を失った。

 此処の牢は全て石造りなので、(さぞ)かし痛いことだろう。

 



 「ファランドさん。今枷を外します。美帆はその者を此方へ。縄で縛った後に枷を付けて身動き出来ないように致しましょう」


 「畏まりました」




 なんという徹底ぶり。

 緊縛師も吃驚だ。


 そうこうしている内に私の枷は全て偽マリへ行き、自由になったはいいものの、動けないこの状況は如何なものか......。




 「未だ動けない程だなんて......。それだけの薬を使われた状態でよく生きていましたね」




 それは私も思う。

 思考ははっきりしているが、如何せん身体だけが動けない。

 



 「意識はハッキリしているところを見ると、身体に何らかの強い副作用が出ている可能性がありますね。美帆」


 「はい。ファランド様。少し失礼致します」




 そう言われ私は頷くとメイドに持ち上げられ、姫抱きの形になった。

 曰く、おんぶだと遣り難いらしい。

 牢を出て人に見つからないように行くかと思いきや、思いっ切り堂々と人と擦れ違うし、追い越していく。

 大丈夫なのだろうかと思っていたが、なんか大丈夫らしい。




 「この屋敷の使用人達は全員わたくしの味方です。父は兎に角横暴で、理不尽なのです。ですのでわたくし達はそんな父の態度に飽き飽きしており、さっさと消えろこのクソ豚の甘い蜜を啜るしか出来ない能無しがと、このように思っているのです」


 「ええ。わたくし共使用人一同が未だに仕えているのは一重にマリリア様とそのお母様がいたからこそ。今でこそお母様はお亡くなりになられましたが、我等はそのご恩を忘れたことなど一日たりとも御座いません。故にマリリア様の願いを、愛する者と共に生きたいという細やかな願いを叶えて差し上げたいのです」


 「気を付けなければいけないのは父に直属に仕えている三人です。一人は執事なのですが、まるで蛇のような男で、はっきり言って気持ち悪いです。その者の所為で今まで仕えていてくれていた執事さんは父により不当な強制解雇をされてしまったのです。残りの二人の素性は.......よく分かりません」




 マリリア嬢の言葉に顔を顰める。

 何とか表情を動かせるまでには回復したようだ。

 それよりも、分からないとは一体。




 「いきなり父が連れて来た人達で、素性も何もが分からないのです。父は護衛だと仰っていましたが......。兎に角、今この屋敷に父と執事はいません。逃げるなら今が好機です」


「旦那様は執事を連れて会議に出席なさっています。残りの2人は昼間は屋敷にいません。ご安心を」


「安心しちゃダメでしょ」




後ろから声が聞こえ、振り向くと其処には人が1人。

赤い髪にオレンジの瞳をした結構な美丈夫だった。




「今はいない筈では.....ッ!」


「誰が何時も昼に屋敷にいないと言った?」




私達の行く手にはいなかった筈のもう一人が。

赤髪とは対照的に、青い髪に緑の瞳の赤髪より体格のいいこれまた美丈夫。

正直劇団なんかにいれば主役間違いなしの顔だ。

というか、挟まれた。




「で、あんたらはお嬢さんを何処に連れて行く心算な訳?」


「牢に入れておいてくれなければ困るのだが」


「貴方達に言う心算など毛頭ありませんし、勝手に困っていれば良いのです!其処をお退きなさい。こんな非道が許されるとでも思っているのですか」


「許されなくても許されてもどっちでも関係ないし。これもお仕事なんだよねぇ。お嬢さんを置いてどっか行ってくれるならなにも何もなかったことにしてあげる。さあ、如何する?」


「その子さえ此方に渡してくれるなら危害は一切加えず、報告もしないでおく」




2人は余裕の表情を見せている。

此方は動けない私に令嬢とメイドが1人。

彼方は武器を持った武人。

勝てる見込みは低い。

却説、如何しようか。

此処まで読んで頂き、本当に有難う御座いました。

これからも頑張って投稿して行きますので、宜しくお願い致します。

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