第8話 僕の無実
第8話 僕の無実
「テメー!確か鉱山奴隷だよな?長い懲役の?脱獄だろ?!誰か通報しろ!それでこの馬鹿は終わりだ!!」
アクアさんに目の輝きが戻りつつある。息を吹き返しそうだ。
「そうよ!誰か衛兵を呼んできて!!逃げないようにそいつを捕まえて!!」
周囲にいたグルの冒険者たちが、こちらに殺気を向ける。
「8、9、10、11~。ざっと犯人は11人かなラファ?」
「御主人様、あの柱の裏にあと2人おりますので、13人です」
『なっ?!テメー!!』
隠れていた連中も出てきた。
1対13の陣容にギルドホール内は騒然とする。
ノアさんが呼んでくれたギルドマスターも出てきた。
「お前たち何をやっている!ここはギルドだぞ!喧嘩なら余所でやれ!!」
この反応は、もしかして…
「ギルドマスター、僕はこいつらに嵌められて、鉱山奴隷送りになりました。どう思います?」
「何か証拠でもあるのか?」
あっちゃ~!
ここが黒幕だったとわ…
こりゃは駄目っすわ~~
「証拠はありません…」
「だったらお前の思い違いでは無いのか?それで脱走なんかしたなら愚かだな。懲役が延びただけだ!」
うーん……。どうすれば面白い幕切れになるかなぁ。
俯いて悩んでいると、衛兵たちがやってきた。
「君が脱走兵かい?」
隊長らしき人が聞いてきた。
「厳密には違いますが、衛兵さんの中で偉い方っておられますか?」
「偉いかどうかは、君の判断次第ではあるけど、私は近衛第2大隊隊長ペンドラゴンです。何か申し開きがあるのですか?」
「僕は冒険者アレクと言います。歴史上唯一の〈魔物使い〉三次職〈魔王使い〉をやってます」
『なっ?!』
犯人以外の全員が驚き目を見開く。
「その証拠の金プレートは、そこにいる犯人たちに盗られたのですけどね」
「だったらテメーの自称じゃねぇか!」
「ちょっと待って下さい。1年前に大神殿から〈魔王使い〉の称号が出た男性を探すように指示されています。それが君ですか?」
「はい。そうです」
「でも金プレートがねぇんならやっぱり自称じゃねぇか!」
犯人グループが騒いでいる。
「あなたたち、ちょっと黙りなさい!」
ペンドラゴンさんは冒険者たちを黙らせる。
冒険者たちは忌々しそうに大人しくなった。
「神官さんに会えばすぐに分かる事です。ちょっと来て貰えますか?」
「お断りします。神官さんをこちらに連れてきて頂けませんか?」
アーサーさんは、断られると思っていなかったらしく驚いている。
「なぜでしょうか?」
「ギルマスとその冒険者と受付のアクアさんはグルなので、多分逃げると思うんですよね」
「貴様!言わせておけば、この場で斬り捨ててやる!」
ギルマスが抜刀して構える。
「ギルドマスター!我々に抜刀するとは!」
ペンドラゴンさんもキレ始める…
「い、いや違う!その小僧を斬るのだ!」
「だから私がアレク君を護衛しているのだ!そもそもこれは王命である!」
「くっ…!」
アーサーさんが手配してくれ、神官さんがやってきた。
「うん?アーサー様、おぉ!!この方で間違い御座いません。この方こそ史上初の〈魔王使い〉です」
僕の身分が証明された事で、にがむしを噛み締めている面々。
そしてその顔にもそろそろ飽きてきた…。
すると、いたずら心が芽生えてきた……!!
「神官さんお久しぶりです。つかぬ事をお聞きしますが、神官さんは偉い方ですか?神様の使いの方とお話とかしたことをありますか?」
不思議な事を聞くな?と言った表情だ。
「階級は枢機卿です。偉いかは聞く人次第ですかね?天使様とはお話し出来ますよ」
「この方はヨハネさまと言って、とても偉い方です。枢機卿と言えば最高幹部ですからね」
アーサーさんが補足してくれる。
「神官さんは天使様とはお話し出来るんですよね?それなら大天使さまとはお話し出来ますか?」
「さすがにそれは無理ですよ。恐れ多くて、とてもとても…」
じゃ一気に片を付けるかな。
「ラファエル様、顕現して下さい」
『はい?!』
この時のラファの微笑みは、何やらいたずらっぽく見えたのは気のせいか…?
アレク Lv13 鉱山奴隷Lv3
魔王使いLv7
HP18 MP14 力13 体力12 魔力14 運11
スキル 奇跡のダイスLv4
地中理解Lv1
臣下 大天使ラファエル